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第84話:ミローズの夜と愚王の秘策

互いに軽く自己紹介を終え、天幕からミローズに移りナタリアさんの計らいで食事を御馳走になる事となった。


「魔王様は、この後どうするのですか?」


「そうですね、全体で進むのにおおよそ4日か5日ですかね……」


「そういう事では無いのですが……奥方様達はどういたしますか?」


「そうですね……私はこのまま就寝します、かなりの強行軍でしたので……」


「私もですね……山越えはきつかったです……」


苦笑いをするアミリアとセレーネ、確かに今日は山を一度に渡ったのでかなり強行軍だった、兵士の皆も今日は疲れているだろう。


わたくしは、一度天幕に戻ります、朝早くにやる事がありますので、その準備を……」


リリアーナが言っているのは、今日の移動を頑張ったので兵士の皆にお酒を飲ませたり少し豪華な食事を出して良いと伝えてあるからだ、輜重隊の様子や馬の疲労度合いを確認してくるのだろう。


「そうですか……では、お部屋をご用意させていただきますね」


ベルを鳴らすとメイドさんがやって来た、ナタリアさんは寝室の準備をと伝えるとメイドさんは急ぎ出て行った。


「それじゃあ、ナタリアさん俺は一度リリアーナと一緒に戻りますね」


「優希様? 私だけで十分ですが?」


「それでも、二人でやった方が早いでしょ?」


「それはそうですが……」


リリアーナがチラッとアミリアの方を見る、ナタリアさんの前だし聖女アミリアを気遣えと言ってる様だ。


「ユウキ、リリアーナを手伝いなさい。先に私はセレーネと部屋に戻ってるから」


「はーい、私ももう眠いのでぇ~夜にお強い二人は仕事をお願いしますぅ~」


そこそこ吞んでいたセレーネが結構眠そうだ、招待の席だし眠らない様に踏ん張ってる。


「かなり眠そうだな……アミリア任せても大丈夫か?」


「えぇ、任せて」


そう答えたタイミングで先程のメイドさんが戻って来た。


「それでは、お先にお部屋へ案内いたしましょう」


ナタリアさんが席を立ち扉を開ける。


「それじゃリリアーナ、ユウキを任せたわ」


「ユウキしゃーんおやすみなさいですぅ~」


かなり眠そうなセレーネにアミリアが肩を貸し退出する。


「では、魔王様と、魔王妃様はこちらへ」


残ったメイドさんに連れられ俺達は鐘楼へ向かう。


「魔王様、気を悪くしないで下さい、奥方様はああ見えてかなりのお酒好きで久々に呑めると思い気合が入ってたんです……」


半ばまで進んだ頃突如メイドさんに謝られた。


「そうなんですね……こちらも強行軍だったので余裕が無くてすみません……今度はウルベリックさんも交えて皆でお酒を呑みましょうと伝えて貰らえれば……」


「はい、後でお伝えしますね」


それから鐘楼登り切り、リリアーナを抱え空へ飛び立つ。


「ありがとうございます、戻りは部屋に直接向かいますので」


「かしこまりました、ではいってらっしゃいませ」



◇◆◇◆◇◆◇◆

そして翌朝、キリッとしたナタリアさんと共に城を出る、領都を抜けるのは昨日済ませていたので早朝からの出発だ。


「ナタリアさん、元気ですね……」


「はい! お酒いっぱい飲めましたし!」


「そうですか……」


そしてアミリアが馬に乗り出て来る。


「おはよーユウキ、ナタリアさん」


「おはようアミリア」


「おはようございます王女様」


馬上から降りて恭しく一礼をする。


「お待たせしましたぁ~」


「すみません、時間がかかってしまいました……」


セレーネとリリアーナが出て来る、リリアーナは出陣式の為装飾の多い鎧に着替えていて時間がかかってしまった。


「大丈夫ですよ、こちらも無理を言ってしまい申し訳ありません」


そして俺達全員は正面に向き直ると、300騎程の騎士がこちらを見て来る。


「我々ミローズ騎士隊、300と少ない手勢ですが、アミリア・フィルレイシア様の手足となり姫様の王位継承をお手伝い致します!!」


――ガンガン!


騎士たちが剣で盾を叩く。


「ありがとうございます、皆様の助力に感謝いたします!」


「うおおおおお!!」


鬨の声を上げる騎士たちの鎧が朝日に照らされる。


「それでは行きましょう!!」


「うおおおおお!!」


一際大きい声が響き、出発したのだった。


◇◆◇◆◇◆◇◆

◇バルダーンside◇

魔王の婚約パーティーに刺客を送った1週間、やっとあの魔王の影から怯える生活が終わり、久々に快眠を貪った日の夜ワシはとんでもない情報を密偵から聞いていた。


「ふっっっっっっざけるな!!」


届けられた報告書を机に叩き付け思わず吠えてしまった。


「あの時の小娘が聖剣をだと!!」


あるはずがない、聖剣は私の手元にあり今も封印されているはずだ……。


「クソックソッ!! 何が正統後継者だ!!」


「それと、もう一つ、悪い情報が……」


「何だ!!」


ワシは頭の血管が切れそうになり、薬を飲み落ち着かせる。


「今、王都に居る兵の半分が離反、ここから近くの平原に拠点を敷いています」


「そ、そんな……」


「どうやら兵の間にも正統後継者の話は出回っている様で、今までの反戦派が丸々寝返ったようです」


「クソッ!! 日和見の貴族が兵を出さないから受け入れていた反戦派がこんなタイミングで寝返るなんて……」


このままじゃあのクソガキの軍が到着したら我々の戦力じゃ勝ち目がない……。


「仕方ない……密偵どもをかき集めこれを井戸にでも蒔いてこい」


とっておきを密偵に手渡す、これを飲ませた奴等が居れば王都は混乱するだろう。


「それと……もう一つ、不明な丘が王都のすぐ近くに出現したとの事」


「そんな事はどうでもいい!! 早く蒔いてこい!!」


「は、はい!!」


密偵を鞭で叩き追い出す、ワシは聖剣の確認の為に聖剣への隠し扉を開く。


「よし、存在するな……そして連れて来たコイツも上手く調教できているな……」


幽鬼の様な男を見下げワシは笑う、あの小娘が正統後継者だと?


だったら、コイツをぶつければいい。


「あはは! あはははは!!」


ワシは抑えきれない笑いを漏らす、これで勝ったも同然だ!




















「………………ア……ア……レ……」

作者です。


本日も読んでいただきありがとうございます!

もし良かったら☆やいいねをくれると嬉しいです!!

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