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第81話:最終決戦に向けて・出立

城のホールへ到着すると、諸侯の方々が待っていた。


「お待たせしました、遅れてしまい申し訳ありません」


遅れたと思い謝ると、皆上機嫌だった。


「いえいえ、我々は昨日からここに居ましたので!」


「そうですね~魔王様考案のお料理美味しかったですよ~」


「いやぁ……油で揚げた肉がアレだけ美味いとは……」


上機嫌で口々に言う皆、どうやらこの人たち、昨日から飲んでた様だ。


(よく見るとワインの瓶とか樽とか転がってるよ……)


「ユウキ殿、おはようございます」


「あっ! お父様!」


「あぁノクタールさ……酒くさっ!」


しな垂れかかって来たノクタールさんは滅茶苦茶酒臭かった。


「とりあえず、離れて下さい!」


「そうです! お父様は離れて! 優希様のお召し物が汚れる!!」


「あうぅ~酷いリリアーナ! 折角出来た男の子だぞ!?」


しなを作って泣くノクタールさん、この人こんなに酔うのか……。


「義理ですよね! それと引っ付くのは妻の役目です!! ほら! アミリアとセレーネくっついて!」


「へ?」「ふぇ?」


左にアミリア、背中にセレーネがくっつけられる、ちゃっかり右手はリリアーナが占拠している。


「ひゅーひゅー良いぞ魔王様~」


「うむうむ、世継ぎは問題無さそうだな!」


「昨日も凄かったと聞く!」


「よし! もう一度乾杯だ!」


「「「「「かんぱ~い!!」」」」」


酔っ払い共が乾杯をする、っていうかノクタールさんも混じらないで!?


「まったくぅ……今日は出陣の日というのにぃ……」


「まぁまぁ~良いじゃない~」


「ともかくぅ男共ぉ! ちゃんとしなされぇ!」


「「「「「はい……」」」」」



◇◆◇◆◇◆◇◆

それからすっごくグダグダした出陣式は終わり、沿道の市民から言祝がれ王都を出発した。


「すみません優希様……」


申し訳無さそうにするリリアーナ、俺達はその姿を思い出して苦笑いをしている。


「あはは……あそこまで酔いつぶれたノクタールさんは初めて見たよ……」


「しかし、ユウキが全員の酔いを醒まして、叩き出したのには笑ったわよ」


「凄かったですね……出陣の挨拶中に魔法を使って喝を入れてしまうなんて……」


「流石に飲み過ぎだからねぇ……」


流石に馬に乗るのにぐでんぐでんに酔われてても困るし状態異常回復で一気に酩酊状態を解除したのと、シアにあの苦々茶(元気になるお茶)を淹れてもらったのだ。


「何人か鼻の良い魔族が気絶してましたしねぇ……」


シアは俺になんてもの飲ませたんだよ……。


「お陰で出発がスムーズになったけどね」


長くつづく行軍の列を見る、城から出た時点で近くに待機していた各貴族の兵が計3000、どこからともなく列を形成していた。


「昨日の件で被害者出て無くて良かったよね」


「そうね、でも兵士の一部があれで委縮してるみたいなの」


アミリアが肩を落とす、どうやら昨日の邪神の姿に一部の兵士がビビッてしまっていたらしい。


「うーん、マジかぁ……」


「優希様の見立てでは、戦闘になるとお思いなのですか?」


「うん、確実になると思う」


「そうですか……」


「まぁ、無血開城になる様にするし。何なら数が多くなければ俺が対処するよ」


「その時は私達も戦うわ!」


「そうです、優希様だけに背負わせません!」


「そうだよ! 私達は夫婦なんだから!」


その瞬間セレーネの刀が光り出した。


「え? えぇ!?」


「セレーネどうし……えぇ!?」


浮かび上がったセレーネの刀が勝手に飛んで行く。


「ユウキさん、どうしましょう!?」


「どうしよう……」


列から外れ馬を止める、それから地図を確かめる。


(あの方角は宝石獣カーバンクルの里か、何かあったのかな?)


「アミリア、リリアーナ、ちょっと行ってくるよ。シア、居る?」


シアを呼ぶと足元からシアが飛び出してくる。


「どうしました? ご主人様」


「少しの間、馬を任せても良いか?」


「はい、大丈夫ですよ、姫様達と一緒に進めば良いですか?」


「あぁ、後もう一人分は……」


「それなら私がもう一頭曳くわ」


「わかった、アミリア頼む」


「えぇ、任せて」


「リリアーナ、少し抜けるけど普通に行軍しててくれ、戻りは『転移』で戻るよ」


「かしこまりました、お任せください!」


「それじゃあセレーネ、行こうか」


「はい!」


お姫様抱っこをして飛翔魔法で飛ぶ、刀の飛んで行った方向に向かうと里が見えて来た。


「なんか……」


「祠が光ってますね……」


刀が刺さった祠の扉からは光が漏れていた。



◇◆◇◆◇◆◇◆

刀を回収して中に入り進むと、そこにはマーレルさんがぷかぷか浮いていた。


『やっほーお久しぶり二人共』


「「お久しぶりです」」


『ゴメンねぇ、いきなり呼んじゃって』


「それは大丈夫なんですが……」


「何か御用でしょうか?」


『うん、刀を通して見てたんだけど、あっちの王都に侵攻するんだって?』


「ま、まぁ……邪神の居場所をきいて倒すのもあるし、遠からずともですが……」


『うんうん、なので私も付いてくわ!』


「「えっ? えぇ!?」」


『なによー不満なの?』


「不満は無いですが……」


「ここから離れちゃって、大丈夫なんですか?」


セレーネが首を傾げて質問する。


『大丈夫大丈夫! 私はここに縛られて無いから! それに暇だし!』


あっけらかんと言うマーレルさん。


「そうなんですか……」


「なら、大丈夫なのかな?」


そしてセレーネの刀にすっと入って行った。


『それじゃー、レッツゴー!』


マーレルさんの元気な声が響いた。


作者です。


本日も読んでいただきありがとうございます!

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