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第76話:最終決戦に向けて・貴族との会食④

「「空を裂く奇跡?」」


俺とアミリアが首を傾げる、何の事だろう……。


「それって……アレの事かしら?」


アミリアが腕を振る、『空喰い』の動きをしている。


「あぁ……でも空を切り裂いた事は無いよな?」


「そこはほら、伝わってる内に変わったんでしょうね」


「それしか無いかぁ……」


結論づくとアミリアはバルドル伯爵に向き直る。


「わかりました、訓練場でやりましょう」


「そうかそうか! 楽しみだ!」


「じゃあ皆さん訓練場に行きましょう、アミリアとバルドル伯爵は着替えてから来て下さい」


「おう!」


「はい」


◇◆◇◆◇◆◇◆

訓練場に向かい二人を待つ間に防御魔法の魔道具で観客席を作る、それからシアにお茶を用意してもらう。


「まったくぅ、バルドル伯爵にはこまったものですねぇ」


「仕方ないですよ、それに僕達の知っている聖女の伝承が正しければ敵国を絆せますそうすれば被害は出ないでしょうし」


「そ、それに魔王様の最近やっていた事もありますし、そうすれば降伏しか無いでござるから」


「何か魔王様がするんですか!?」


「あーあはは……出来ればやりたくないんだけどね……」


山の半分くらいは栄養素の高い土なので、資源として残したいし、山の大きさも硬い岩盤層での三分の一くらいにするつもりだ。


そして作戦の中身を説明すると、知っていたレティアス伯爵以外唖然とする。


「欲しいのは政権だからね、出来るだけ無条件降伏を迫るつもりだよ」


これに軍の離反を含めれば敵の戦闘能力はほぼ皆無だ。


(ただ、懸念点はあるけどねぇ……)


〝萌芽〟と〝薬〟あれがどのくらい量産されてるかだけど……。


(いざとなったら、王都の人も助けないといけないし出来るだけ離反してくる相手の戦力は確保したい)


「まぁ、取らぬ狸のナントカと言うし、蓋を開けないとわからないよな……」


そして着替え終えた二人が入って来る、アミリアはいつもの軽装鎧を着ている。


バルドルさんはフルプレートアーマーでガチガチに固め、大きな斧を担いでいる。


そうして向かい合うと、二人が刃を落とした武器を構える。


「それじゃあ二人共、やり過ぎないように」


「ええ!」


「おう!」


「始め!」


俺が開始の合図をするとバルドルさんが仕掛けた、というか何でアンタから仕掛けてるのさ!?


「うおおおおおお!!」


———―ガギンッ! ――ギャリギャリギャリ!


重い金属が響き双方の武器が火花を散らし削れていく。


「ぐぬぅ!? なんと! 受け止められるとは!?」


「ぐぅ……おもいぃぃぃぃ!!」


受け止めたアミリアがくるりと回転してズレる、その直後地面を砕く音がして土煙が舞う。


「はぁぁぁぁぁ!!」


回転したアミリアの剣戟がバルドルさんの手をプレートの上から弾く、凄い音がして仰け反りたたらを踏むバルドルさん。


「なんという力ですわねぇ……」


「あのバルドル殿が仰け反るとは……」


「ガクガクブルブル」


「すごーい!」


人間と思って居たであろう貴族の皆が驚きに満ちている。


「そろそろ、仕留めるわ!」


距離を取ったアミリアが構える、全身から魔力が溢れ剣に集まる。


「あ、あれ不味い」


「「「「「えぇ!?」」」」」


俺のつぶやきに皆が驚きながらこちらを見る。


「止めなくてよろしいのですか?」


リリアーナが不安そうな顔でこちらを見る。


「あぁ、不味いと言っても重傷者が出るとかじゃないから」


「へっ?」


「いくわよ! 『空喰そらぐい!!』」


「来い!!」


一気に距離を縮め剣を振り上げる瞬間、魔力に耐え切れなくなった模擬剣が砕け散る。


「えっ? きゃあぁぁぁぁ!?」


「ぬうぉぉぉぉぉ!?」


魔力が解き放たれ空中のアミリアが吹き飛ばされる、それを空中でキャッチして床に降りる。


「大丈夫? アミリア」


「え、えぇ……ありがと……」


アミリアを立たせると土煙の向こうを見る、するとバルドルさんはプレートアーマーの上半身が吹き飛び尻餅をついていた。


「うん、大丈夫そうだねバルドルさんも」


それからアミリアとバルドルさんに回復魔法をかけてバルドルさんの鎧は『復元』で元に戻した。


「はい、直ったよ~」


「魔王様……かたじけない……」


「まぁ故意じゃないとはいえ、アミリアが壊したものだしね」


「それで、納得した?」


鎧を手渡しながら聞くと貴族の皆が頷いてくれた。


「あてくしは魔王様のお手伝いをいたしますわ」


「僕もです、聖女様を是非手伝わせて下さい」


「吾輩も問題は無いでござる」


「はーい! 私もお手伝いしまーす!」


皆が快く答えその場は解散となった。



◇◆◇◆◇◆◇◆

そして翌日、いつもの時間より少し早く目が覚めると、雲一つ無い快晴だった。


窓から見える城下には沢山の人が溢れていてお祭りの雰囲気が各所で溢れている。


「んんっ~良く寝たぁ……」


大きく伸びをして立ち上がる、すると扉がノックされた。


「あれ? ご主人様もう起きてたんだ」


「うん、さっき起きたんだ。シアはどうしたの?」


「お姫様達の準備が終わったし、ご主人様はこの時間寝てるから潜り込もうと……」


「たまにシアの香りが残ってると思ったらそんなことしてたのか……」


「え~いいじゃんいいじゃん、僕だけ普段から我慢してるんだし~」


そう言いながらも抱き付きて来るシア、最近彼女はかなり甘えるようになってきた。


「まぁ、今は止めないけど……向こうの世界行ったら控えるようにね……」


「はーい!」


わかってるのかわからない声で返答するのだった。

作者です。


本日も読んでいただきありがとうございます!

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