第66話:婚約披露パーティーの準備
アミリア達に襲われ……絞られた1週間後、魔王城はノクタールさんによって突如発表された婚約披露パーティーの準備を行っていた。
「とはいっても、これも作戦なんだけどね」
「でも、お陰で早めに婚約披露が出来ますから上々です♪」
「でも、私達も良いのですか?」
「良いんじゃない? セレーネも僕もそれなりに希少種族だし」
衝立の向こうで衣装合わせ中の俺の嫁さん達がわいわいとはしゃいでいる。
「それにしてもユウキ殿、本当に良かったのかい?」
「何がですか?」
「いや、戻って来て早々にをすると決めたじゃないか、何かリリアーナが無理を言ったのかと思ってね……」
「あーあはは……本当は、押し切られました……」
「そうか……我儘ですまない……」
ノクタールさんさんが申し訳なさそうにする。
「いえ、丁度いい機会でした、このままじゃずるずると先延ばしにしてたので……」
少なくとも全部にけりが付いてからで良いかなと思ってたからいい機会だ、後回しにし続けてたのは本当だし。
「それなら良かった、世継ぎも期待できそうだしね」
「うっ……」
「いやーまさか〝3日〟も部屋から出てこないとは思わなかったよ」
「すみません……」
「人族って凄いんだね……いや、ユウキ殿だから凄いのかな?」
ニヤニヤしながら聞いてくるノクタールさん、流石に恥ずかしいぞ……。
「事が事だから、流石に一般の侍女は向かわせられなかったんだが。まさか老齢のサキュバスが精気浴び過ぎて若返ってきたからね、流石に驚いたよ……」
「俺もあんな恥ずかしい事起きてたとは思わなかったです……」
最初に部屋に来た老齢のサキュバスが、俺達の部屋で浴びた精気で若返ってしまい、最後の方は部屋の周りに、御高齢のサキュバスが集まってしまい一波乱になってしまった。
「ははは、この世界では〝サキュバスの来る閨は良い子が生まれる〟と言い伝えがあるんだよ、だからサキュバスが城勤めに居るんだ」
「そうなんですか?」
「あぁ、それに助産師としての腕も良くてね。最初に向かわせたサキュバスはリリアーナを取り上げてくれたんだよ」
「知らなかったです……」
「ちなみに、『新魔王様と、新魔王妃様のお子を取り上げるのが楽しみです』って言ってたよ」
「あはは……気が早いですね……」
「新魔王様、お妻君様方の合わせが終わりました」
仕立て屋さんの蜘蛛族のお姉さんが衝立の向こうから出て来る。
「ありがとうございます」
「いやー皆様、素晴らしいですね~仕立て甲斐がありますよ!」
「あれ? 仕立てるんですか? ドレスの調整だけかと思ってました」
「これは結婚式では無くて、あくまで婚約披露パーティーだからね出来るだけ好きなドレスのが良いと思ったんだ」
「それに正式な結婚式用のドレスは種族、部族ごとに特徴や仕来りがあるのでそれを踏まえたドレスとなりますから!」
「そうなんですね、じゃあ完成はまだ先か」
「そうなりますね、では6日後までには試作品をお持ちしますね!」
「あぁ、頼む」
「お願いします」
「ではでは~」
器用に計八本の手を振って、蜘蛛族のお姉さんは出て行った
「かっこ良いなぁ……」
「おや、ユウキ殿は手が速いね?」
ニヤニヤしながら言って来るノクタールさん。
「んなぁ!!」
「どういうことですのユウキ様!」
「うぅ……スタイル良かったですもんね……」
「酷い! 抱いたらもう用済みなのね!」
衝立の向こうから出て来る皆。
「あー違う違う。俺の世界にある娯楽でね映画って言う中に出て来る物語の主人公に似てるんだ」
空間収納からBDプレイヤーと映画のBDを取りだす。
――♪♫♬♩——
音が流れ、映像が流れる。
「んな!?」
「なにこれ……」
「凄いですわ!」
「ほえ~」
「流石ご主人様……」
ぐるぐると警戒しながら見る皆、流石に言語は翻訳が無いので理解できない様だが食い入るように見ている。
チャプターを飛ばすと丁度主人公が新しいスーツを得て敵と戦っている。
「これは……ユウキ殿の世界にも蜘蛛族は居るのだね……」
「あー違いますね、これは空想の産物で、実際に蜘蛛族は居ないんです。使える手が多いと便利だねって発想から来てるかと」
「そうなのかい、ユウキ殿の世界は発想力が豊かな人が多いんだね」
「そうですね、躁血魔法のイメージは、映画の世界で機械……魔道具みたいなもので行ってる感じですね」
「ほう、ではきっかけさえあれば実現は可能なようだね、ユウキ殿の世界は凄いね……」
「カッコいいわね……」
「私にも出来るかしら?」
「いいなぁ~」
「これがあればご主人様にバレない様に天井に……」
うん、確かにかっこいいよね……俺も躁血魔法で再現できるとは思って無かったけど、後シアは変な事に使おうとしないの……。
「流石に、結構むずいかしいんだよね、魔力で探知しながら一本一本感覚で動かしてるんだ」
「むむっ……難しいです……」
リリアーナが躁血魔法で二本腕を作り動かそうとする、だが、同時に動いてしまい上手く別々に動かせない様だ。
「そうだね、自分の手に纏わせて手の長さを変える感じで試してみて?」
「こう、ですかねっ!?」
躁血魔法で椅子を掴もうとするが狙いが外れたり、上手く掴めない様だ。
「はぁ……難しいですわね……」
「そこはね、俺は長い事こういった空想作品に触れてるからね、多分異世界の人よりしやすいんだと思う……」
魔法も漫画やアニメ、映画や小説の中で培われた想像力があるからね。
「ユウキ様……」
「何だかよくわからないけど、ユウキってやっぱりすごいわね」
「ですね……流石です!」
「ぐへへ……触手プレイ……」
シアは本当にこの世界の人間なのかな……想像力が日本人っぽいんだけど……。
「さて、私は仕事があるから戻るね。ユウキ殿、少しの間挨拶やらで忙しくなると思うが頑張ってくれ」
「うっ……頑張ります……」
作者です。
すみません……爆睡で更新遅れました……。
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