第64話:試作のお風呂出来ました
焼いたレンガを冷ます為に放置して他の建物の基礎も作る、2時間程すると伯爵が俺を呼びに来た。
「聖騎士様!」
「あれ? 伯爵どうしましたか?」
「そろそろ昼食の時間ですのでお呼びしに来ました!」
「もうそんな時間か……」
「はい! 本日は我が兵の狩って来たヒルイドリとハヌキイノシシの丸焼きです!」
「それって中々獲れない奴だよね?」
「そうですね……ですが、我が領ですと良く獲れる狩猟方法がありますので」
「へぇ~」
それから昼食をいただきベッド製作班の元で木材を大量に斬る、それを終えると今度は簡易兵舎の為の地ならしをする。
「ありがとうございますぅ~これで一気に進みますぅ~」
「良かった、それじゃあ後は任せたよ」
そして浴場作りに戻るとレンガも完成していた。
「後はレンガを組み合わせて……土魔法で固めるついでに全体の床も作って、最後に浴槽を土魔法とタイルで作る……はい、出来た!」
第一号の完成である、半日かかったけど綺麗に出来た。
「よし……今ならみんな居ないし……」
簡易的な更衣室と目隠しを作りお湯を浴槽に溜める、その後は下で火を焚き温度を高める。
「うーん……まぁこれ位なら良いかな?」
手で温度を確かめるとそこそこ温度が維持されている、先にお湯入れたから奥の方は結構ぬるいけど……。
更衣室で服を脱ぎ体を洗う、それから頭を洗ってると視線を感じた。
「まさか……」
お湯で頭を流し振り返ると、そこには一糸纏わぬクロコが体を洗っていた。
「クロコ!?」
「ひゃう!? ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」
頭を抱えうずくまる、どうやら勝手に入って来て怒られると思った様だ。
「あぁ、びっくりしただけだから大丈夫だよ……でもどうして?」
「えっと皆さんに頼まれて……ユウキおにーちゃんの様子を見に来たら、お風呂に入ってるのが見えて……大きいお風呂初めてだから……」
段々と声が小さくなる、どうやら大きいお風呂に興味が湧いた様だ
「あーそっか……城のお風呂は基本1人用だもんな……」
大きいお風呂は俺達の世界じゃ普通だけど、この世界じゃ初めての事だろうしそりゃ気になるよな。
「ごめんなさい、すぐ影の中に戻りますので!」
「ちょっと待った!」
泡まみれのまま影に入ろうとするクロコを引き留める、このまま帰られたら皆を連れてきそうだし……。
「せっかくだし、一緒に入ろうか」
「ふぇ!? で、でも!」
「あーたまにはゆっくり入りたいから……クロコがそのまま戻ると皆にバレそうだし……」
「あっ……」
どうやら察してくれた様だ。
「という事で、こっちにおいで。髪洗ってあげるから」
タオルを腰に巻いて空間収納から、もう一つのお風呂椅子と女性用のシャンプー等を取りだす。
「ほら、おいで」
「し、失礼しますっ!」
座ってから水魔法でお湯の球体を作りクロコの頭に被せる、軽く水流を作り髪を洗う。
「よし、じゃあ次はシャンプーで洗うから目を閉じてて」
「はいっ!」
シャンプーを垂らして髪に揉みこみながら泡立てる、マッサージしながら髪を洗うとクロコが気持ち様さそうな声を出す、優羽もこんな声出してたなぁ……。
「どう? 気持ちいい?」
「ふぁい……とってもいいれすぅ~」
優羽と同じで、とろけてる声を微笑ましく思い、もう一度洗いトリートメントをつける。
「よし、それじゃあこれ着けて湯船に入ろうか」
シャワーキャップをつけてあげて湯船に入る、ふたりして声が漏れた。
「あ゛ぁ~気持ちいいぃ~」
「ふぁぁ~気持ちいいですぅ~」
久々に足の伸ばせる湯船に体の疲れが染み出ていく……と思う。
◇◆◇◆◇◆◇◆
それからたっぷり疲れを癒した俺とクロコは風呂から上がり牛乳を飲む。
「ぷはぁ! 美味しかった」
「ふぁぁぁ~美味しいですぅ~」
「さて……改良点とかも見えて来たし改修と他のも作っちゃおう!」
「では! 報告してきます!」
「あぁ、クロコありがとうな」
ほかほかのクロコが影に入り帰る、さて……夕暮れまでに後4つ作ってしまおう!
回復した分気合を入れて作っていく、排水やそれに合わせた下水管を作り終える。
「後は給水菅だよな……どうしたもんか……」
サイフォンの原理だっけ? あのホースを使って水を移すやつ。
「だとすると……井戸は中腹にあるし……水道橋を作るのが良いのかな?」
一つの井戸から各所に溜め井戸を作って、そこにパイプを繋げれば綺麗な水は維持できるかな?
「となると、元の井戸を高い位置まで作って、そこから各所に水を流を分けておけばいいのかな?余った分は大きい貯水タンクでも作ればいいし……」
井戸の元に戻り周囲を囲いながら塔にする、代わりに水汲み用の井戸を作る。
それを作り上げてから水道橋を作る、浴場を中心に残りの三方向に伸ばしていく。
「ふぅ……これで井戸の水は大丈夫かな? えっと……次は……」
「聖騎士様ぁ~」
大工チームの上級兵さんが走って来た。
「どうしました?」
「いやぁ、家が完成したから呼びに来たんだぁ~」
「そうなの? 中々早いね」
「んだんだぁ、魔族の中には飛べるやつも、デカい奴も居るんでな早いのよぉ~」
「そうだよな、どんな感じだ?」
「中々いいでさぁ~」
「そっか、資材は足りるかな?」
「そうだなぁ~木材は足りるがぁ、切るのがまにあわねーだぁ」
「じゃあ、カットした木材作るよ」
「ありがてーだぁ!」
到着すると立派な家が5件ほど建っていた。
「おーって、早いな!?」
「あはは~材料が足りねーだけで人数は多いからなぁ~」
「了解、じゃあ大量に作っていくよ!」
空間収納から木材を取りだして躁血魔法で斬っていく。
そして作っては建て作っては建てを繰り返していく、場所を移動して同じ様に作っていくそして日も暮れる頃には500人分位の家が完成していた。
ベッドは300台出来上がったので空間収納に入れては出してを繰り返し配置していく。
「はぁ……疲れたぁ……」
丘の上で出来上がった家を中心の喜んでいる兵士の皆を見る、明日には水道施設が完成するだろうしお風呂も使えるようになるだろう。
「はい、ユウキ」
「ありがとう」
差し出された水筒を受け取り栓を開く……水筒?
ギギギと音を立てて振り返るすると笑顔のアミリアと頬を膨らませたリリアーナ、へた耳になっているセレーネ、恨めしそうに見てるシア、そしてバツの悪そうなクロコが居た。
「や、やぁ! どうしたのかな?」
「へぇ……あくまで白をきるのね?」
「酷いです! 私達とは一緒に入らないのに、クロコちゃんとは一緒に入るんですね……」
「私が小さいなら良いのかなぁ……」
「ずるいずるいずるい……」
「ごめんなさい~」
あっ……これは逃げれないな……。
「お風呂、入る?」
その言葉に皆の顔が、喜色へ変わる。
「「「「「えぇ!」」」」」
作者です。
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