第63話:魔王様の町づくり②(お風呂編)
木屑を作り終え、大工チームや木工チームに後で手伝いが来る事を伝え俺は丘の上に来ていた。
「さて、浴場を作るか!」
意気揚々と土魔法で掘りつつ、土台を固めていく。
「こういう時って基礎だっけ? 杭打ちした方が良いのかな?」
全くわかんない……とりあえず『鑑定』して出るかな?
「うーん……『——鑑定』」
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名称【土】・状態【良好】
畑に適した水はけの良い土、柔らかい為建築物を作るなら地盤を固める必要がある。
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「出たよ……便利だな……」
ともかく地盤を固める必要があるのか、大工さん達でやり方わかる人居るかな?
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「おう、それなら俺が教えますぜ!」
周りの兵士より頭一つ出た魔族の青年がこちらに寄って来る。
「それは助かる、どうすればいいんだい?」
「おう、土地を見ないとわからないんだがどこだい?」
「それじゃあ案内するよ」
丘の上まで一緒に歩きながら話をする。
「おう、それじゃあ聖騎士の兄貴、皆が入れる風呂を作ろうってのかい?」
「まぁね、清潔さは大事っていうか風邪や感染症が流行ったら戦いどこじゃないからね」
というか、むさくるしいのと汗の臭いが凄いのだ。
この世界、女性は気にして香水を使ったり毎日身体を拭いたりしているが男衆は基本気にしない……週に一回水浴びをするくらいだ。
「お父様、臭いです」とリリアーナに言われたノクタールさんが白目剥いて落ち込んでたんだよなぁ……。
今では二日に一回のペースでお風呂には入ってる。
ちなみに俺は三日に一回だ……風呂に入ろうとするとブロックされたり、隙あらば混浴を狙いに来るメンバーが多くて毎回ドラム缶風呂で転々としてるのだ。
「それで聖騎士の兄貴、風呂のサイズはどの位だ?」
回想をしていると青年が首を傾げながら聞いてきた。
「そうだね……浴槽は、30人くらいが使えるくらい、深さは標準サイズの魔族は俺の膝くらいの深さで、大型魔族は俺の腰か胸くらいかな?」
「おう、それで数はどの位だ?」
「標準が3つ 大型が一つかな?」
「わかった、それなら丘の上でも大丈夫だな。それでお湯はどうするんだ? まさか一々竈で沸かすのか?」
「あぁ、それなら大丈夫。この世界じゃ使われてないけどいい方法があるから」
冬休みの間にテルマエ・〇マエで勉強したテルマエの施設で使われていたハイポコーストという技術を説明する。
「おう……床下に熱い空気を流してお湯の温度を一定にするのか……」
「俺の知識だと冬場にお湯と合わせて床下を通せば、床暖房って言う形で一般の住宅でも使ってるけどね」
「おう、そうだな! そいつは新しい!」
まぁ俺の発想じゃないけどね……隠してる訳じゃ無いけど俺の世界の事を説明してとなると手間だし……。
そんな事を話していると浴場の建設予定地に到着する。
「それじゃあ地盤作りを始めようか。とは言っても何をすればいいんだ?」
「おう、それじゃあ教えるぜ。建物と同じサイズの穴を掘って、そこに敷石を敷き詰めるんだ、それを叩いて固める。後はその上に従来通りの建て方をすればいいぜ」
「そっか、石はこのくらいの大きさで大丈夫?」
空間収納から拳大の石を取り出す。
「おう、そのサイズだと大きすぎるな」
――バキバキバキ!
「ふぅ……このくらい?」
さっきのを握り潰し細かくしたのを見せる。
「お、おう……その位だ……」
あれ? 引かれてる?
「じゃあこの位のサイズにして……こんな感じ?」
出した石を割りながら敷き詰める、量はこのくらいで良いのかな?
「石の高さはこのくらいでいい?」
「お、おう……十分だ……」
それからは流石に石が無くなって来たので土魔法で作りながら敷き詰めた。
「さて……次は……『——クリエイトロック』」
その上に一枚の石を創りだして被せたら終わりだ。
「あれ? どうしたの?」
振り返ると青年が頭を抱えていた。
「おう……自分の常識が跡形もなく消えたのが信じられなくてな……」
そうか……あまりに自然と石砕いたりデカい一枚岩を作ったりと、結構ヤバいことしてたな……うん……。
「と、とりあえず、先に進もうか。竈に使うレンガが欲しいんだけど……売ってなかったんだよね……」
「おう、耐熱レンガ? レンガは皆自作だ、この国の土は竈にも使える土だぞ、水を混ぜて粘土にして固めれば竈にも鍛冶にも使えるぜ」
「へぇ……『——鑑定』」
調べてみるとこの魔王領の土は俺達の世界とは違い水と混ぜると泥濘化しやすいらしい、しかも知らない物質がありその物質が水分子とくっつくとある程度火に強くなるらしい。
「凄いな……」
「おう、だからこの国は火事が極端に少ないんだ」
「そうか、魔族は体質で火を噴いたりするもんな」
「おう、そうだそうだ」
水と混ぜて成形していくその後は火魔法で焼いてみる事にした。
作者です。
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