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第62話:魔王様の町づくり

水を確保した翌日、町の予定地へ向かうと伯爵と兵隊の皆さんが既に到着していた。


「これは聖騎士様! ようこそおいで下さいました!」


「もう到着していたんですね!」


「はい! 聖騎士様の作られた井戸をいち早く見たいと思いまして!」


手にジョッキをもってニコニコとしている、絶対飲んでるな……。


「そうだ、伯爵の軍には大工や職人の方が居るんでしたよね?」


俺が聞くと伯爵が部下へ声を掛けた。


「はい! 今呼びましたので、いくらでもお使いください!」


「あーわかった……それで伯爵達は、いつ到着したんです?」


「はい、昨日の夜ですね。今は天幕も片付けさせてますのでいつでも動くことが可能です!」


「あーあはは……無理させるつもりは無いから、皆は休んでもらって大丈夫ですよ」


そう言うと伯爵は目を瞬かせる。


「ですが、聖騎士様のお時間を取らせるわけには……」


「良いの良いの、俺がやりたくてやってる事だし」


「むぅ……」


納得がいかない様子、こき使って反感持たれるよりは休んでからのが良いと思うからね。


そんな問答を続けていると、先程の兵士に連れられた50人程の兵士達がやって来た。


「お待たせしました、大工36名、木工師16名です!」


「ありがとう、そうしたら少し場所を移動しようか、広い場所が欲しいし」


そう言って丘の反対側に到着する。


「あのぉ……聖騎士様ぁ? 私達はここまで連れて来られても……道具も材料もないんじゃむりじゃ、ないんかとぉ?」


訛りがある喋り方をする、皆と少し兜飾りが違う青年が前に出る、どうやら彼がこの中で一番階級が高いみたいだ。


「あぁ、道具も材料も用意はしてあるよ、それでね。まずはこの世界の一般的な間取りについて聞きたいんだ」


「間取りぃ……ですかぁ?」


「そうそう、大型の兵士はこっちで少し大きめの兵舎にしようと思うんだけど、一般的な兵舎はあんまり見た事無くてね……」


王都にあるのは詰所だし、2~3人が仮眠できるスペースしかない、国境の砦は殆どが天幕だからね。


つまりこの世界での正規軍の兵舎を見た事が無いのだ。


「それでしたら2階建てでぇ、1階は調理や食事のスペースぅ。二階にベッドが並べられてますぅ」


「そっか……じゃあ、トイレと炊事場は共同でも大丈夫かな?」


「はいぃ~大丈夫でさぁ~」


他の兵士の皆も同意する。


「それじゃあ。これが、資材ねっ!」


ドンッと骨組みと屋根用の資材を空間収納アイテムボックスから出すと皆が目を見張る。


「それでこれがっ! ふぅ……道具ね!」


大量の金槌や鋸、後は釘やバール、後はこの世界の鉋やミノを置く、新品なので皆目を輝かせている。


「数は足りるかな? 王都だとこの位しか売ってなくて……」


「いえいえいえ! これで十分でさぁ! なぁみんなぁ!」


「「「「「うぉぉぉぉぉぉ!!」」」」」


新しい道具を使いたい!って感じがもう出てる。うん、良くわかるぞ。


「さて、大工チームはコレで良いとして……家具なんかを作ってた人達は居るかい?」


「それなら私達が……」


おずおずと手を上げてきたのは17前後の比較的若い青年たちだ。


「えっと……兵舎で使うシンプルなベッドだと何が必要かな?」


「そうですね、板と寝藁と布ですね……」


「うーむ……寝藁が無いんだよなぁ……」


「それだったら木屑を布袋に詰めたものでも大丈夫ですかね……」


「木屑ねぇ……こんなのでも良いの?」


取り出した木を風魔法で削る、皆が唖然としている合間に木屑が大量に出来上がる。


それを麻袋に詰めて渡す。


「えっ、えぇ……大丈夫です……」


なんかドン引きされてる、そんなにおかしい事したかな?


「よし。じゃあ、簡素で良いからベッド枠と作ってもらう形で大丈夫かな?」


「はい、ちなみにどのくらいの数が……」


「うーん……数が多くてもこの人数じゃ作れないだろうし……3日に1回のペースでベッドで寝れば良いかな?」


旅を続けてた時や遠征時は基本床で寝てたし、たまにベッドで寝れば良いと思うんだけど……。


「はい、というかそれでも数は相当ですよね?」


「まぁ、明日になれば一般の兵士に自分の分を作らせればいいから、今日は職人組と上級兵士のベッドを作ればいいかな?」


「そうですね……それでも相当な数ですね……」


「うん、だからこんな方法はどうかな?」


俺は地球で言う組み立て家具の説明をする。


「それならば、全体の寸法さえ決まれば組み合わせて完成できますね!」


「一般兵士でも作れるかな?」


「はい、余程不器用でなければ作れるかと……ですので組み合わせる手前まで作っておきます!」


「わかった、頼んだよ」


それから、木工チーム用に板を大量に作り置いて、伯爵の元に戻る。


「あ、ダイバーン伯爵」


「ややっ! これは聖騎士様! どうかなされましたか?」


目の前まで来て跪く。


「兵士の皆を借りたいんだけど良いかな?」


「はい! 先に休息に入っている隊と、狩りに出ている隊以外は大丈夫でございます!」


「それなら良かった」


伯爵に寝藁が無い事を伝え、代わりに麻袋に木屑を入れてマットレス代わりにすることを伝える。


「それでしたらお任せください! 聖騎士様が寝ても極上の安眠をお届けできるように務めさせます!」


「はは……任せたよ。それと大工組と木工組にも人を派遣して欲しいんだ、今はまだ話し合いしてるけど作るとなったら人手は必要だからね」


「は! それでしたら手先の器用な物と膂力ある者達を選定します。数が多いので昼を回ってしまいますが大丈夫でしょうか?」


「うん、大丈夫だと思う。俺も整地と水道管の設置をして来るし」


この世界は水道が無いから面倒なんだよね。


「水道……かん?」


「うん、井戸水を全体に届ける様に地下に水道を通すんだ」


「なんと!?」


「という事で、木屑を大量に作っておくから後は任せたよ~」


ひとまず木屑を作る為に離れるのだった。

作者です。


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