第61話:井戸を作ろう②
「お待たせしました!」
「ありがとうクロコ、助かったよ」
クロコの影転移で、予定地に到着する、幽霊さん達が目を白黒させている。
「皆、お待たせしたね、ここが井戸の建設予定地なんだけど、わかりそう?」
「むむむむむ……ユウキさまの魔力が強すぎてわからないです!」
彼女の発言に他の幽霊さん達も頷いている。
「そっかー、じゃあさっき説明した事をやってみようか!」
「はい!」
幽霊さんが散らばって地面へ潜っていく。
「ユウキおにーちゃん、よくわからないんだけど……幽霊さん達は何をしているの?」
「えっとね、幽霊さん達は地中に潜って、地下水を探しているんだ。水の存在をわかる人達が居るからね」
「へぇ~凄い!」
そんな話をしていると幽霊さん達に伸ばしている魔力に反応があった。
「おっ……早速見つけたみたい……」
魔力を通して呼びかけられる場所の上に来るすると、したからメイド衣装の幽霊が出て来た。
「水源あった?」
「(コクコク)」
「よし、じゃあ退避しててね。『抽出』と『躁血魔法』!」
簡易的なドリルを作り掘り進める、土は同時に空間収納へ固めて入れていく。
掘っていくと空気が薄くなるので風魔法で空気を取り込む、大体30メートル位掘ったら泥が混じって来た。
「そろそろかな? 水は近い?」
メイドさんに聞くと頷いてくれる、それを聞いて掘り進めると水が出て来た。
「おー! 水が出て来た!」
「凄いです!」
「(コクコク!)」
「ただ、井戸水に適してるか鑑定しないと」
鑑定をかけると、その水は毒素が多く飲み水には適していないとの事だった。
がっかりしながら地上へ戻る
「解毒しては飲めないんですか?」
「うーん……薬の毒と違って水全体に混じってるからねぇ……その内俺の奥さんの1人に解毒の魔道具を作ってもらおうかな?」
そうすればリーベルンシュタインでも井戸水には困らないだろうし、こっちの世界に輸入も出来るだろう。
「(しょぼん……)」
そう考えてるとメイドさんが落ち込んでいた。
「気にしないで。今回はハズレだったけど、ここの地下には水が出るってわかったから、大きな進歩だよ!」
そう言って励ますと元気が出たのか、別の所を探しに向かった。
「おっ……今度は別の幽霊さんが見つけたみたいだ……」
反応があったのでそちらの方へ向かった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
それから数時間、呼ばれては堀り、呼ばれては堀りを繰り返す。
だが、水が少なかったり、水質が悪かったりと難航していた。
『ユウキさま! 見つけました!』
そして更に深い所へ向かった少女から連絡が来た。
「よし、じゃあそっちに向かうから、地上に出て来てくれ」
「はい!」
少女の潜っていた場所の上に立ち掘り始める、風魔法で空気を取り込みつつどんどん深さが増していく。
「うわぁ……空が小さい……」
影の中から頭を出したクロコが驚く。
「そうだね……あとどのくらいだろう……」
「もう少しです! だんだんお水のある感覚がはっきりしてきました!」
そして他の幽霊さん達も集まって来る、皆で固唾を呑んでいる状態だ。
「お! 水が湧いてきた! って量が多いな!」
底をから水が湧き出て、みるみる内に膝までせり上がって来た、慌ててみんなと外に出る。
「ふぅ……びっくりしました」
「そうだね~あんな風に湧き出るなんて知らなかった……」
「死んでから初めて見ました!」
「(こくこく)!」
「「「!!」」」
幽霊さん達も驚いた顔をしている、意外と知らないんだなぁ……と、思っていると穴から溢れ出してきた。
「あ、やばいこのままだと水がもったいない事に!」
「ど、どうするんですか!?」
「(おろおろ)!?」
「先に貯め池作るね『わが魔力よ、砂を生み、石と化し、数多のものを創造せよ——クリエイトロック』!」
魔法を使い25メートルプール2つ分の貯水池を作る、穴の出口に接続して水の流れを作る。
「よし! とりあえず貯水池は出来た……次は!」
同じくクリエイトロックを発動し続け土管を作る。
「すっ……凄い……」
「凄いです……」
「「「「「(コクコクコク)」」」」」
◇◆◇◆◇◆◇◆
15分程で穴を舗装し終えた俺は座り込む、一気にやったのでかなり疲れた……。
「結構精密な作業だった……これなら掘り進めるタイミングで内側をコーティングして行けばよかった……」
頑張った甲斐もあり、現在貯水池へ流れ込む水は綺麗なものとなっていた。
「ユウキおにーちゃん凄いです!」「ユウキさま凄いです!」
他の幽霊さん達も喜んでいる、達成感があるのか皆でわちゃわちゃしている。
すると朝日が皆を照らし始めた。
「さて……帰るかぁ~」
「「はい!」」
「「「「「(こくこく)!」」」」」
それからクロコの影転移で城に戻ると、幽霊さん達とリリアーナが待っていた。
「おかえりなさいませ優希様、どうでしたか?」
「ただいま皆、無事成功したよ。井戸と貯水池まで作れたし少しの間なら問題ないと思う」
そう言うと皆が、先程と同じ様に喜び始めた。
あ、幽霊同士で胴上げし始めた。
「そうですか、それでしたらダイバーン伯爵へお知らせしますね。伯爵、とても気合が入ってましたので飛んで行くと思います」
「あはは……無理はしない様に伝えてね、伯爵自身に兵士の人達にも」
「はい、きっと喜びますね♪」
胴上げされる幽霊さん達を、それに混じるクロコ眺めながらリリアーナと笑い合った。
作者です。
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