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第39話:パーティーに出た理由

会議という名の立食パーティーに潜入した俺、聞き耳を立てて様々な話を拾っている。


『そういえば聞きましたかね、男爵殿。王都の噂を』


『噂というと例の失踪事件ですか?』


『耳にしていましたか……』


『話題になってましたからねぇ……』


(失踪事件ねぇ……【邪神の萌芽】の件もあるし。嫌な予感がする)


続いて聞こえてきた話題にも耳を傾ける。


『どうしました伯爵?』


『あぁ、ウルベリック卿。実は私の息子が騎士学校の遠征途中に大怪我してな。城の救護施設に入って以降連絡が取れないのです』


『それは大変だ、手紙のやり取りは?』


『勿論やっているよ。だが、一向に返って来ないんだ』


『そうか、それは困ったね』


肩を落とす伯爵さんを慰めるウルベリックさん、うーんなんとなく繋がるな……。


あっちもこっちも王都で起きる怪事件と失踪事件の噂だけだな。


「あくまで噂は噂だけど……これだけ話に上がると、情報を調べる価値はあるな」


「あのぉ……商人殿?」


おずおずと年若い貴族が声を掛けて来た。


「どうしましたか? レイスト子爵様」


鑑定で相手の名前を確認しつつ返すと、子爵は驚いたような顔を見せる。


「驚いた……私なんて北方の小貴族なのに知っているとは……」


「いえいえ。皆様、私のお客様になられますので、事前にウルベリック卿よりご来賓の方々を教えていただいているのです」


「そうだったのですか、ですが私の顔までは知らないはず……」


「えぇ、ですのでレイスト子爵様のお顔を拝見させていただきまして判断させていただきましたのです」


「そうなのですか?」


「えぇ、北方の方は目元に特徴的な日焼けがありますので判別がしやすいのです」


日本でいうスキーヤーのゴーグル焼けみたいな日焼けなのでわかりやすかった。


「そうですか、よく言われますので、それであれば納得できますね」


「それで、レイスト子爵様。何かお入り用ですか?」


「あぁ、丁度この会議の後、妻との結婚記念日があってね。そこで妻に送る品物が欲しいのですよ」


「そうなんですね、本日は奥様のご参加は?」


「それが身重でね、今は気候も安定している王都の別邸にいるよ。出来れば驚かせたいのだが、私はてんで宝飾品のプレゼントのセンスが無い。だから商人である貴殿に聞こうと思ってね」


「そうですか……それでしたら我が妻に聞いた方が良いですね。お恥ずかしながら私も妻に任せておりますので」


苦笑いしながら伝えると子爵も笑いだす、ウルベリックさんに断りを入れてリリアーナを呼んで貰った。


「旦那様? どういたしました?」


「あぁ、リリナ。こちらのレイスト子爵様なのですが奥様との結婚記念日の贈り物を探しているみたいなんだ。もし良かったら話をきいてくれるかい?」


「わかりましたわ、では子爵様。奥方様の事をお聞かせ下さい」


「わかった、妻は――」


よし、これでまずは1人目。


リリアーナに任せ俺が戻ると俺を探していたであろう貴族たちに声を掛けられた。


「おお、商人殿。こちらにいらしたか」


「探しておりましたぞ」


「先程の宝石獣カーバンクルの少女が身に着けていた宝飾品についてなのだが……」


次々と声を掛けられ応答していく、上々だ。



◇◆◇◆◇◆◇◆

そしてパーティーはお開きになり、持ってきてた宝飾品の殆どが売り切れた。


「わぁ! 聖騎士様ありがとうございます!! これだけあれば好きなもの買えるぞぉ!!」


ロップルさんを回収して今日のを渡すと、ほくほく顔で喜んでいる。


「そういえば、ユウキさん。なんで宝飾品を、市場でなく《《貴族》》相手に売ったんですか?」


「それはね、これがちょっとした魔道具なんだ。まぁ見せた方が速いね『——探知』」


指輪に反応するくらいの位置で探知を発動すると淡く光り出す。


「わわっ、光りました!!」


「あーそういう事」


「「「???」」」


アミリアはわかったみたい。リリアーナとセレーネはわかるが。なんで作った本人のロップルさんがわからないのよ……。


「えっと、使った素材に魔力で精錬した金属を使ってもらってるんだ。それで、その作った宝飾品対して俺の魔力をぶつけると、こうして薄っすらと俺の魔力を発するのさ」


「あーだから聖騎士様の魔力が滅茶苦茶こもってたんですね!」


「つまり、この宝飾品が簡易的な魔道具になるって事ですか?」


「そう、アミリアやリリアーナなら俺の発した魔力と込められた魔力が違う事はわかるでしょ?」


そう聞くと、アミリアとリリアーナが目を瞑って「むむむ」と眉間に皺を寄せる。


「うぅ……私はわからないですぅ……」


「私も、全くわからない! どうして細かく判別できるの?」


「まぁ、アミリアは成長のお陰だし、リリアーナは半分身体が魔力だからね」


「私も頑張れば出来ますか?」


「うーん……宝石獣カーバンクルの魔法の使い方が、イマイチ解明できてないからわかんないけど、ユフィに鍛えて貰えれば多分出来るようになるよ。無くても魔道具作ってくれるだろうし」


元の世界に戻った時に金守君の分も、魔力認識が出来る眼鏡みたいなの作ってもらいたいし。


「わかりました! よーしがんばるぞ~!」


「でも、それって何の為にやったの?」


アミリアが顔を上げて聞いてくる。


「うん、それをこれから説明するよ」

作者です。


本日も読んでいただきありがとうございます!

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活力になるので!!

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