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第32話:探し物とミローズ潜入

皆を屋敷に届けた後、俺達は王城の書塔へ来ていた。


「えっと……リリアーナさん、マジですか?」


「はい♪ この塔と、隣の塔全部が書庫です♪」


「うへぇ……」


塔の案内板を読むそこに書かれている1階から5階までの各フロアーが国の歴史。隣の塔は物語や調理書、農耕や工業製品の設計図が置かれた資料館となっている。


「それで……恐らく、優希様の探している資料は。上層階の一般侵入禁止区域の古書が収められた所にあるかと思います」


「しらべておいてくれたのか、ありがとう。でも凄い量になるよな?」


「はい♪ しかも古語で書かれているので私では判別できませんので、捜索は優希様と研究者の方数名となります♪」


笑顔で告げるリリアーナ、この量を考えると少し気持ちが萎えて来る。


「わかった……それで話は変わるけど、シアは?」


「はい、シアさんは今、優希様の命でミローズ領へ向かいました」


「噓……ポートを渡そうと思ったのに……」


「ポート? それは一体?」


「えっと、俺の転移の位置を正確にするる事が出来るアイテムだね」


「そんな便利なものが……、一応緊急事態を告げる魔道具は持たせましたが……」


よく見るとなんか見覚えのあるアイテムが……。


「あれ? この魔道具?」


「これですか? 古来より伝わっている形なのですが……どうしたのですか?」


空間収納アイテムボックスから同じ形の魔道具を取り出す。


「まぁ! つまりこの形は優希様がもたらしたのですね!」


「ま、まぁ俺ってよりユフィ……エルフの発明家が作ってくれたんだよ」


「そうだったのですね……これで魔道具の歴史方面からでも調べられますね」


「そうだね、そういった歴史の本もあるのかな?」


「えぇ、資料塔の方ですが存在はしてます……よね?」


司書の1人に問いかけると、司書さんは分厚い目録を取り出した。


「魔道具の歴史……魔道具の歴史……、かなり冊数が多いので探しましたらカミナギ様にお伝えしますね」


爽やかに笑うお爺ちゃんが答えてくれた、あの人が司書の統括さんらしい。


「ありがとうございます」


「それでは、私これからアミリアさん達と手合わせがありますので、これで失礼しますね」


「わかった、後で息抜きがてら見に行くよ。くれぐれも怪我無くね」


「はい♪ 無事勝って見せますわ♪」


鼻歌を歌いながらそのまま出て行った。


「さて……やりますか」


肩を回しながら塔を登って行くのだった。



◇◆◇◆◇◆◇◆

それから5日後の夜、資料探しも一旦目途がついたのでミローズの都市へやって来た。


「門が見えたね……今日は一応、只の旅人として来てるから。忘れないよ様に」


リリアーナ達を見回しながら言う。


「あのぅ……聖騎士様、この首輪必要なのですか?」


ロップルが少し不満げに言うが、俺が答える前にセレーネが答え始める。


「必要ですよ、前にも話した通り。この人間領は魔族や獣人の差別がありますので所有物としての証である首輪や奴隷紋は必要ですよ」


堂々とメイド服で胸を張るセレーネ、今日は俺とリリアーナが商人夫婦、アミリアが見習いでセレーネとロップルさんが小間使いの奴隷として偽装している。


「まぁ、数日の辛抱だから我慢してね。一応職人ギルドには向かうし、中も見たいでしょ?」


「はい。それにしても、こうやって奴隷にならないといけないって、この時代は少し悲しいですね……」


確かに、あの時代は人も魔族も獣人も種族関係無く仲が良かった。そう考えると今代の王様になってからなんだよな。


「まぁ、そんな国に疲弊してるって事なんだ。だからここに居る」


「でも、まさか聖騎士様が魔王様になるなんてねぇ~」


「あはは……それは俺も予期してなかったからね……っと、そろそろ門が近づく、皆任せたよ」


「「「「「はい! 旦那様!」」」」」


そうして門へ近づくと、昨日シアから貰ったミローズ家の家紋が入った証文を老齢の門番へ手渡す。


「行商人か、荷馬車を改めても?」


若い門番がきびきびと聞いてくる。


「あぁ、大丈夫だよ」


「ほう……奥方様に奴隷が二人、小間使いが一人か。おったまげた、皆美人揃いだな」


皆をみて、びっくりしてる様な面持ちで目を見開いている門番。


「あぁ、領主様や貴族様との商談の席に連れ歩くからな。器量の良い小間使いが居た方が商品を飾り立てられる。どうだ、好感触だろ?」


「へぇ、確かにその嬢ちゃんの付けてる宝石、思わず買いたくなっちまうよ」


セレーネに纏わせた宝飾品や髪飾り(ロップルさん作)を品定めするように見る門番。


「ほう……何か、気に入ったのはあるかい? 奥さんや思い人に送るには丁度いいものが揃ってるよ。何なら少しまけてやる」


「ほう……だが残念、カミさんも居なけりゃ不治の病にもかかってないよ。それと……あんちゃんは奴隷も取り扱ってるのか?」


「あぁ、一応な。この間は取引先が一つ潰れちまったし、困ったもんだよ」


「そうか、残念だったな。ほら、確認が取れたぞ」


ウルベリックさんの証文を返してくれた後、通用門を通された。


「あ、そうそう。ここだけの話だが、宿を取るなら職人街にしとけ。平民街はお貴族様が居て獣人を嫌うのが多いからな」


肩を竦ませながら先程の門番が言う。


「あぁ、ありがとう。そちらへ行ってみるよ」


銀貨を指で弾いて放ると、受け取った門番もにこっとして業務へ戻った。


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