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第28話:旧王城戦終了~そして帰還へ~

王城の外に出ると皆の視線がこちらに注目していた。


「倒し終えたよ!」


「勝ったわ!!」


「「「「「わぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」」」」」


歓喜に湧く皆を見ながら進むと、馬がやって来た。


「聖騎士様! 聖女様! こちらを!!」


よく見ると先程乗って来た馬だった。


「どこからともなく現れてお二人の事を待っていたんです」


「——ブッルル」「——ブルル」


「そっか、ありがとうな」


「ん~ありがと~」


軽く首元を撫でていると顔をぐいぐいと押し付けて来る。


「乗れってか?」「——ブッルル」


どうやらその様でぐいぐいと押し込んでくる。


「わかったよっと」


乗ると気分が良さそうに足踏みをする。


「それじゃあ、任せたぞ」


軽く合図をするとゆっくりと歩き出した。


「うおおおお! 聖騎士様!」


「あれ、聖女様じゃないか!?」


「うおおおおお! 聖女様!」


わいわいがやがやと騒ぎ始める兵士達、それに応じる俺とアミリア。


そして本陣へ到着すると王様が待っていた。


「ありがとう、お二人のお陰で平和が守られました」


「いえ、俺達は自分の為にやった事ですから」


「そうね、私達はあくまで、未来の自分の為ですから」


「それに、これから、この世界が平和に続くにはこの時代の皆さんの力が必要ですから」


我ながらくっさい台詞を言ったな~とか思ってると。隣でアミリアが噴き出す。


「いやっ……ごめんっ……でもユウキがそんな真面目なこと言うなんて……」


「自分でも臭いなぁとか思ってたけど言わんでくれ……」


恥ずかしくて頬を掻いていると皆が笑いだす。


「さて、喜びの所悪いが。聖騎士殿と聖女殿はこれから?」


「そうですね、マリアンさーん?」


するとマリアンが派手な光り方で降りて来た。


「お待たせしました人の子よ……」


「いや、そういうの良いので」


「ふぇぇえ~カッコつけさせて下さいよぉ~」


「いや、つい……長くなりそうだったから……」


「とりあえず紹介しますね、彼女はマリアン。この世界の神様で友達です」


友達と言われたマリアンが俺をバッと見る。


「え? 今、優希さん私の事友達って!?」


「いや、これだけしょっちゅう会ってるし、そりゃそうだろ。というか俺そこまで鬼じゃないぞ?」


「えぇええぇぇ!!」


なんだそのビブラート鳴らす「えー」は?心外だなぁ……。


「じゃぁ良いか……それでマリアン、どこに行けば帰れる?」


「あぁ! しゅみません! 優希さんは鬼じゃありません神様ですぅ!! えっと……この時代に飛ばされた時の湖に行けば帰れます!」


「そっか、ありがとうなマリアン」


笑いかけるとおろおろとするマリアン。


「はいぃ! で、でも多分3日後の満月の日じゃないと難しいです!」


「そっか、じゃあ急がないとな……」


「すみません。私の力もまだ十分に使いきれなくて……」


「いいって、マリアンはあの勇者達の育成とか色んな事任せちゃってるし……」


「うぅ……優希さぁん……」


泣きそうになるな!何でそんななんだよ!!


「ともかく、もう時間は無いし出発するか……」


「あ、あの聖騎士殿そちらの方は……」


今更になって硬直してた王様が聞き返してくる。


「もう一度紹介しますね、彼女はマリアン。この世界の神様で友達です」


「やはり聞き間違えじゃ無かったんですね……」


「えぇ、人の子よ。先程は見苦しい姿を見せてしまいましたね」


「いえ! 滅相もありません! 神々しくお美しい姿です!」


王様に褒められて少し口の端が上がってニヤケている。


「あーマリアン? 王様と話してても良いけど。俺も挨拶したい場所あるからもう行っていいか?」


そうマリアンに問いかけると、慌ててこちらを向く二人。


「あ、わかりました! では湖に着いたらまた呼んで下さい!」


「聖騎士様、本当にありがとうございました。女王が聖女様とお話したいと言っていたのですが……もし可能であれば王城に顔を出していただけると幸いです」


「わかりました、街まで着いたらそこからアミリアを送りますね」


「はい! お二人の事は忘れませぬ! この世界で長く覚えていただけるよう伝えたいと思います!」


深く頭を下げた王様にもう一度会釈してアミリアを抱える。


「それじゃあ! お元気で! 『——魔装・ホルス!』」


「楽しかったです!!」


ちょっと派手に魔装を展開して飛び立つと下から歓声が沸き上がった。



◇◆◇◆◇◆◇◆

そして3日後、俺達は召喚された湖の祠へ来ていた。


「よくよく見ればここって宝石獣カーバンクルの里だったね」


「そうね、あの日と同じ満月が湖に映って綺麗ね」


とまぁしみじみ感じていると、横から声が飛んできた


「ねー聖騎士様! 何で私簀巻きにされてるのぉ!?」


「え? そりゃグランツさんにそうやって運べって言われたし……」


「だからってひどいですよぉ!!」


「まぁまぁ、連れて行ってあげるんだから大人しくしてて」


「うぅ~聖女様ぁ~」


半泣きになりながらロップルさんがアミリアに助けを求める。


「あはは~私も優希とぐるぐる巻きで飛ばされるから……」


「ひどいですぅ~!」


ロップルさんの抗議をスルーしているとマリアンがやって来た。


「お待たせしましたぁ~、ってその方は?」


「あーなんか付いて行きたいって言うから……駄目か?」


「大丈夫ですよ、それじゃあ戻りますね!」


マリアンが柏手を打って何かを唱えると俺達の身体が光に包まれる。


振り返ると皆が手を振っていた。


あるものは両手を、あるものは涙を流しながら。


そして最後は晴れやかな顔をした王様と王女様が仲睦まじい様子で手を振っていた。



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