第24話:燃える王都
翌朝、朝日に照らされた数千の軍勢が綺麗に並び立つ、そして朝焼けに照らされる砦を睨む。
「皆! 昨日の夕食は美味しかったか?」
俺の声を魔道具が通り響く。
「「「「「うおおおおおおおおお!!」」」」」
「それじゃあ皆、今日も腹いっぱい食べれる様頑張ろう!!」
「「「「「うおおおおおおおおお!!」」」」」
皆の士気が上がり広く声が響く。
(まさか、食事一つでここまで皆のやる気が上がるのかぁ……)
昔最終決戦の前に兵の皆と宴会をした事あったけど、ここまで士気が上がってるのは初めてだな。
「それでは! 全軍進めぇ!!」
鐘が鳴らされ全軍が進みだす。
皆の足音が地響きに変わり、砦へ向かって行く。
「「「「「うおおおおおおおおお!!」」」」」
「——————!!」
敵が何かを言っているが、聞き取れない位の怒声が響く。
梯子がかけられ皆が昇り、砦の裂け目からは侵入し制圧していく。
「これは……」
「出番無さそうね……」
俺とアミリアが呆けていると、砦を兵士が囲んでいく。
「なんかあれ多すぎじゃない?」
「そうね……普通、全軍で行く事は無いわよ」
そうこうしている内に、後の方で詰まってる兵士が現れ始めた。
「あーあれは駄目ね……誘導するわ」
「わかった、じゃあこれ渡すから、空中から指示出してあげて」
魔道具を手渡しアミリアを抱え上げる。
「それじゃあ、行くよ」
「えぇ!」
飛び上がり砦の上に進む。
「コラー!! 貴方達!! 砦にかかり過ぎぃ!!」
砦の侵入を待っている兵士達が上を向く。
「残った兵士達は砦の向こう側を制圧! 逃げる敵の殲滅をしなさーい!!」
そう言われ皆が砦を越えて広がっていく、散り散りになった敵や逃げる敵を倒していく。
「ふぅ……これで十分よね……」
「お疲れ、これで大丈夫でしょ」
そうして瞬く間に砦は奪還され兵士達は勝ち鬨を上げるのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
それから二日後、道中で敵の奇襲もあったのだが、事前に探知していたので大きな被害も出なかった。
「いよいよ見えてきましたね」
「あぁ、あれが旧王都じゃ」
「本当に似てるわね……」
召喚された王都とは違い所々崩壊してて酷い有様だけど、どこかしら面影がある。
「さて、それじゃあ行ってくるよ」
「任せましたぞ」
「無理しないでね」
「はーい、任せて」
王様とアミリアに見送られ俺は上空に上がる。
「よし! それじゃ、あいっちょ燃やし尽くしますか!!」
魔力を高め自身の周りに滞留させる。
「『我が魔力よ、全てを燃やし尽くす業炎の渦となりて、燃やし尽くせ!——天獄の災火』」
火球の雨が降り建物が、道が破壊されていく。
陰に居た敵や通路に横たわる大型の敵が火に包まれる。
「もう少し勢いを上げるか……『——風よ!』」
城下全体に広がった火に風が吹き、大きな渦となる。敵の悲鳴が響き家が崩れ轟音が鳴る。
「うわぁ、やり過ぎたかも……」
轟々と燃え盛る建物を尻目に戻ると、呆れた顔のアミリアと唖然とした顔の皆が居た。
「ユウキ、やりすぎ……」
「なんか想定以上に燃えちゃった♪」
「いやいや『燃えちゃった♪』じゃないわよ、どうするのさ」
「うーん……今日はほっといて、明日消えて無かったら水魔法で洗い流すよ」
「洗い流すって……流石というか……」
「とりあえず少し疲れたし、少し休んでからもう少し具体的なこと考えようかな」
「わかったわ、それじゃあ行きましょうか」
そう言って腕を取って来るアミリア、彼女に引っ張られ軍の後方へ向かうと皆が天幕を張っている部分へ到達した。
「それじゃあ、『空間収納!』」
「え?」
アミリアが空間収納と言うと何も無い空間から天幕が出て来た。
「えへへ、できるようになったんだ~」
「ビックリした……いつの間に……」
「なんか朝起きたら出来る様になってた」
「そっかぁ~」
驚いているとせっせと中に入るアミリア。
「ほら~ユウキ! 入って来てよ」
そう言われ中に入ると軽装鎧を脱いだアミリアがベッドに腰かけていた。
「ほーら、おいで」
太ももをポンポンと叩く。
「え?」
「ほら! 膝枕してあげるから!!」
顔を赤くしたアミリアに呼ばれてベッドの上の横になる、素足じゃ無いのでそこまで緊張しないが、匂いが漂って来る。
「少し目を閉じてて……恥ずかしいから……」
そう言ったアミリアが俺の顔の上へ手を被せる。
「お疲れ様、ユウキ」
瞼を閉じていると眠気がやって来た。
「ありがとう、アミリア……」
そう言うとアミリアが何か言っていたが寝落ちてしまった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
眠りに落ちてすぐに神様の空間へ飛ばされていた。
「それで、何かいう事は?」
「すみませんでしたぁ!!」
目の前に神様が土下座していた、なんか懐かしいなこの光景。
「うーん、色々言いたい事はあるけど。まずはこうして会えて良かった」
「ふぇえ?」
「いやね、呼ばれて来たのは良いけど。マリアンと会う事も無かったから、本当に帰れるのか心配だったし、しかもマリアンは神託だけ残してるんだもん」
「あ、はい……すみませんでした……」
「それで、俺とアミリアはどうしたら帰れるの?」
「それはですね……」
マリアンが重々しく口を開いた。