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第21話:ダイコン魔王の最後と聖剣の聖女

「………………」


互いに剣を構え相対する俺とアミリア。


「………………!!」


一気に踏み込みアミリアの肩を軸に追い越す。


「させるか!」


振り返りざまの横薙ぎをバク宙で回避する。そのおまけに空中で身体を捻り斬撃を入れる。


ガキンッと金属がぶつかり合いアミリアが後ずさる。


「くっ!」


「囲め囲め! 聖女の援護をしろ!!」


相変わらず騒ぎ立てるオッサン、余計な事しないで欲しいな……。


「………………っつ!!」


魔力で威圧を放ち駆け寄る兵士を足止めする、オッサンも腰を抜かしへたり込む。


「なんて威圧感! はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


アミリアが魔力を込め聖剣が光る、大振りの一撃を弾くとくるりと回ったアミリアがローブごと俺の左手を切り落とす。


(痛ってえええええ!!『回復ヒールイラプションぜろ!』)


傷を瞬間で塞いで、切り落とされた左手はぜる様に燃やさせ灰にする、すると周囲から歓喜の声が上がる。


(よし、これでオッケーだ)


「………………!」


今度はこちらから連撃を与える。


「くっ! 重い!!」


「………………」


「きゃあっ!」


隙を見て防御している剣ごと蹴り飛ばす。


「………………」


「ひいいいいいい!?」


くるりと振り返りおっさんに視線を合わせる。


「っつ! だめっ!!」


「ぎゃふっ!?」


首を刎ねる。ゴトンと首が落ち静寂が訪れる。


「貴様ぁぁぁぁぁぁ!!」


一息で近づき剣を構えたアミリアが高速の連撃を放つ。


「………………!!」


それに合わせてこちらも連撃を入れる。


(想像以上だな……)


アミリアの成長を好ましく感じていると遂に俺の剣が折れた。


「今だ!! はぁぁぁぁぁ!!」


胸を貫かれる。そしてアミリアへ倒れ込む。


「……魔道具忘れずにな」


そう小声で言うとアミリアが、台本通りに蹴り飛ばす。俺はローブに仕込んだ油に火を点け転移する。


「あちち……いやー痛かったし暑かった……」


中に着てたぼろ着を脱ぎ空間収納アイテムボックスに入れる。


服を着替えて腕を再生して服を着替えると魔道具が鳴る。


「よし、ちゃんと使ったな『——転移』」


アミリアの元に転移した。



◇◆◇◆◇◆◇◆

「アミリア! どうした!?」


歓喜の渦の中にいるアミリアの元に転移するとぐしゃぐしゃの泣き顔をしたアミリアが居た。


「うわあああああああ!! ユウキィィィィィィ!!」


抱き付かれたアミリアを宥めつつ周りを見ると、オッサンと近衛の死体は綺麗に並べられていた。


「状況はわかった、アミリアあれをやるよ」


「……ぐすっ……わがっだ……」


遺体を片付けようとしている兵士を止め遺体を復元する。


「詠唱は覚えてるよね?」


「うん、ちゃんと覚えてる」


「「『戦いの中で散り、悔い残した者よ、その魂を神の奇跡をもって呼び戻そう!——リザレクション』」」


しんと、静まり返った中、光の玉が降りてきてオッサン達へ戻る、すると皆が目を覚ました。


「あ、あれ? ワシは?」


「一度だけ使える神の奇跡を使いました」


「神の……奇跡?」


「えぇ、ほんの一度きりの奇跡、蘇生魔法を使いました」


「えぇ、俺とアミリアが二人そろった時にしか使えない魔法で、二度目にこの魔法を使ってももう生き返れないです」


「んなぁ!?」


「しかも、この二度目の生は善行を行わねばすぐに、神に手よって奪われるものです」


「そ、そんな……」


「まぁ、傲慢な態度を直さなかったり、領民を見下したりや神の神子である聖女様を敬わないと罰を受けるって事」


「そんな、聖女様を敬わないなんて事が!」


「聖女様を《《平民なぞ》》って、舐めたよな?」


ニッコリと笑いながら詰めると、オッサンは脂汗を滲ませる。


「一度目は見逃すよ? 心を入れ替える事を願ってるよ。でも二度目は無いからな?」


コクコクと頷くオッサン。


「あぁ、俺と聖女様は暗殺も毒も効かないからな? ふざけた事考えるなよ?」


頷いた事を確認して離れると、アミリアに対して跪き、頭を垂れる。


「この度は神の奇跡により、私めと近衛を助けていただき、ありがとうございました!」


「「「「「ありがとうございました!!」」」」」


「い、いえ。全部ユウキが居てくれたからです、私に足りない所を全て補ってくれるのでいつも助かっているのですよ」


にこりと笑うアミリア、そして周りのみんなの視線がこちらへ向く。


「それで、アミリア。勝った?」


「えぇ、ユウキの作ってくれたこの剣でバッチリと倒したわ」


「凄かったです聖女様!」


「あの魔王と同じレベルで打ち合ってたもんな!」


確かに、練習で打ち合った時より速くて鋭かったもんな。


「そっかー見れなかったのは残念だな……」


まぁ知ってるけど。


「しかし、アイツは何だったんですかね?」


「燃え尽きちまったもんなぁ……」


そこには燃え尽きたローブの灰だけがあった。


「ふぅ……」


気が抜けたのか倒れそうになるアミリアを支える。


「大丈夫か?」


「流石に疲れたわ……」


「それじゃあ、よっと……」


「ひゃぅ!? ユウキ!?」


アミリアを抱えると周りから歓声が起きた。


「それじゃあ一度報告と休息の為に戻ります、明日には俺もアミリアも戻りますので無理な攻城はしないで下さいね。怪我人は後で俺達の所へ来てください、治しますので」


オッサンを見据えて言うとすぐに立ち上がった。


「は、はい! 皆、今日は撤退だ! 各兵は互いに援護しながら引くんだ!!」


よっぽど効いたのか慌てながら撤退の指示を出すオッサン。無茶な攻城戦で犠牲になった兵はどれだけ蘇生できるかな?


そんな事を考えながら馬を操り、戻るのだった。


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