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第17話:第二砦の夜とアミリアの焦り

「いやーあっけなかったわね」


「聖騎士様も聖女様もとんでもないですね……」


「ヴァリシウス将軍も凄いですよ、戦闘中に短縮で魔法を発動して戦えるなんて」


そう、アミリアの時代だと普通な事だが。この時代だと、魔術師や魔法使いといった兵科も無く、個々人がちょろっと魔法を使えるだけなのだ。


「あはは……魔法が使える事もあって、私は将軍職を押し付けられてしまったんですがね……」


凄くめんどそうに溜息をつく、ご愁傷様です……。


「うーん夜明けまで後、数時間はあるのよねぇ~」


悪い流れを切るようにアミリアが伸びをして転がる。


「行軍速度を考えると明日の昼前になると思います、ですので聖騎士様と聖女様は先にお休みを」


「あー俺は必要であれば数日間寝ないで済むので、先に二人共寝てて良いよ、その代わりにヴァリシウス将軍には昼間の交渉事は任せたいですし」


「わかりました。それではお言葉に甘えて」


ヴァリシウス将軍は防御魔法を組み込んだ一人用のテントへ入って行く、アミリアは別のテントに入るかと思ったら中から寝袋と毛布を持ってきた。


「えへへ~、せっかくだしユウキの隣で良い?」


「良いけど、下が石畳だから痛くないか?」


「これでも私、元孤児よ? かったい地面で寝るなんて慣れてるわ」


「そっか、じゃあこっちにおいで」


「ふぇ? ちょっ!? ユウキ!?」


そのまま抱え込んで足の間に座らせる。わたわた慌てているが気にせず毛布の上から抱きしめる。


「寒くない?」


「うっ、うん!? サムクナイヨ!?」


「どうしたのさ?」


「いや、今までユウキからこんな寄って来る事無かったから違和感が……」


「ん~そういえばそうかも?」


おろおろしているアミリアを横目に頭を撫でていると、アミリアも落ちつきを取り戻してくる。


「どう? 落ち着いた?」


「は、はひぃ……」


「でも、どうして急に?」


今度はぐいっと背中に体重をかけてくる。


「あーヴァリシウス将軍とか兵士の皆からアミリアが凄く頑張ってるって聞いて、頑張りすぎて無いかなぁ~と思ったんだ」


今日の昼間にヴァリシウス将軍から聞いた『アミリアが鬱憤晴らしをしている』という噂を聞いたからだ。


(多分、色々と焦っちゃって荒々しくなってたんだろうなぁ、と思うんだけどどうなんだろう?)


「うっ、多分私が荒れちゃってた時の事聞いたのよね……」


気まずそうにアミリアが乾いた笑いをする。


「うーん、それもあるんだけど。アミリアは頑張り屋さんだからね、無理してないか心配になっちゃったんだよ」


「うっ……元々ユウキが凄い人だってのはわかってたし。いや、実際凄い事してるんだけど。それでもどこかで、置いていかれてる気がしちゃって……」


「そっか……ごめんな」


「ううん、それは私のせい。冷静になってればこんな馬鹿げた強さのユウキに追い付こうなんて頭おかしい事なのにね……」


遠い目をして言うアミリア。


「じゃあ明日にでも謝りに行こうか、俺も一緒に行くし」


「うん……ありがと……」


そうして撫でているといつの間にかアミリアは寝てしまっていた。


「きっと、凄い勢いで成長しちゃった時に。それより大きな出来事で焦りが出たんだろうなぁ……」


実際俺も一度経験があった。エアリス達と旅をしている最中に急激に成長した時期があったのだ。でもその直後にユキの村が襲われて大量の死者を出した事。自分が驕っていたことをまじまじと体感したんだった。


「そこからはみっともなかったなぁ……。いくらエアリスの回復があるとはいえ無茶して、死にかけて……あの時聖騎士のミュリにぶん殴られて、エアリスに説教されて……ユフィは興味無さそうだったなぁ」


そんな昔の失敗を思い出して笑ってしまった。




◇◆◇◆◇◆◇◆

「えっと……すみません。その者達は今、王城で女王様の警護についております」


翌日の昼に到着した王様たちの陣営に向かうと、今回の派兵には居ないと言われてしまった。


「そっか……じゃあ戻るか」


「「「「「え?」」」」」


「は、半日はかかるぞ?」


「え? 往復だけなら一瞬ですよ? アミリアこれ持ってて。王様失礼しますね」


アミリアにポートを渡して転移を発動する。すると王城のアミリアと俺の部屋へ転移した。


「んなぁ!? これは神が使っていた転移の魔法か!?」


「はい、とはいっても2~30人が限度ですけどね、後行った場所や目印のこれ(ポート)が置いて無いと駄目ですけど」


アミリアに渡してある指輪も、目印になる事は伝えてないでおく。


「という訳で、戻りますねっ! っとと……」


再度王様と元に戻る、すると諸侯たちが滅茶苦茶驚いていた。


「王よ! ご無事でしたか!?」


「あぁ、私は神の御業をこの身を持って体験した……流石は神の遣わした聖騎士と聖女様であった」


跪いて首を垂れる王様、それに合わせて慌てて膝を着く諸侯たち。


「それじゃあ、ちょっと行ってきますので。王様にこれは渡しておきますね! アミリア!」


「え、えぇ!」


王様にポートを手渡し、アミリアの手をさっと取りそのまま転移した。


作者です。


本日も読んでいただきありがとうございます!

もし良かったら星といいね下さい!

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