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第15話:第二砦・侵入

「なぁ、アミリア……本当に来るのか?」


「えぇ、せっかくだし。それにユウキがついてるもの!」


そう言って装備を確認して笑うアミリア。確かに数日後に戦う場所だし見れるなら見といた方が良いか。


「よし、それじゃあ一緒に行こうか」


「やった!」


夜間用の黒い服に黒い外套を纏い、アミリアを抱え砦の壁を超える。


「まずは『——超広域探知』」


砦の周囲を調べ、敵が居ないかを見る。探知には何もひっかからない。


(この数日で野生動物の狩場も変わっちゃったからなぁ……)


小型の野生動物は砦の付近の林に、大型の動物は森の奥の方に住処を移していた。


「よし、小型の動物くらいで、敵も特には引っかからないな」


「凄いなぁユウキ、薄い魔力を飛ばして位置を把握してるのね」


腕の中に居るアミリアが驚きながら言う。


「わかるのか?」


「うん、なんかわかるようになった」


「そうか、じゃあ一度やってみるか?」


興味がありそうだったので聞くと首を振る。


「いいわ、明日の昼間にやるから」


「OK、その時は教えるよ」


「えぇ、任せたわ」


「さて、見えて来た……」


「あそこが……ってなんか半分崩れてない?」


アミリアが指差した先は、砦の一部が崩れた場所だった。


「大型の敵が通るから、どうしてもあそこを起点に崩れてるんだよ」


「大型……」


アミリアが息を呑む、多分想像してるのはあの壁を遥かに超える位のモンスターなのだろう。


「アミリア。多分、考えてるより敵は小さいぞ? 大体20メートル……第三砦の城壁と同じくらいの高さだな。」


「そうなの? 20メートルとかいうのはわからないけど、もっと大きいと思ったわ」


砦近くの林に降りてアミリアと共に眺める、第二砦は防壁が13メートルと低いので大型だと簡単に突破されてしまうのだ


「一旦ここで休憩したら、潜入するか」


「え? 潜入するの?」


アミリアが目をしばたたかせる、敵の数も最低限だし潜入しても良いかなと思うんだけど……。


「うん、探知で見た限り敵の数が少ないから入っても大丈夫かなと思うんだけど……どうする?」


そう問いかけるとアミリアはニヤリと笑う。


「良いわね、やってやりましょう」


「それじゃあ、もう少し休んでから向かおうか……」


空間収納アイテムボックスから飲み物を取り出しながら手渡す。



◇◆◇◆◇◆◇◆

「よっと……」


崩落している部分には篝火が焚かれているので少し離れた所から入る。


「ありがとうユウキ」


お姫様抱っこをしていたアミリアを降ろして、互いにフードを被る。


「それじゃあまずは、貰った地図がそのまま使えるか見て回ろうか」


「了解」


なるべく音を立てない様に歩いて行く、アイツら目は良くないのに耳は良いんだよぁ……。


(まぁそれも誤魔化しが効くんだけどね)


砦の中を確認しながら歩く。常時探知を発動してるが根本的に数が少ないのかあまり引っかからない。


「うっ……」


何個目の部屋かわからないが扉を開けた瞬間、鼻が曲がるほどの腐臭がした。


一旦扉を閉めて、風魔法で臭いを散らす。


「ふぁにふぉふぉ、ほふぉいにおふぃなんだふぇど……(何ここ、酷い臭いなんだけど……)」


「ここは遺体の廃棄場だね……襲われたのも1週間程前だろうし兵士の皆は丁度腐り始めてるだろうな」


ただ不可思議な点が多い、遺体の損傷具合が様々なのだ。


「とりあえずちょっと調べるし、臭いがキツイなら少し離れてて良いよ」


そう言うとアミリアは少し悩んで大きく頷いた。


「いいえ、私も行くわ」


「わかった……とりあえずこれで我慢してね」


ハンカチを空間収納から出して渡すと、鼻と口を押さえるアミリア。


「良いわよ」


「じゃあ開けるな……」


再度開くと腐臭と目が少し痛くなる空気が廊下へ漏れ出る。


中に入り数体遺体を見分すると、肌の露出させやすい腕や太ももといった部位が欠損している。


(これは、食われたのか……逆に鎧ごと切られて中身が出てるのはそこから食べられてる)


「ユ、ユウキ? 何かわかった?」


「うん、とりあえず出ようか……」


廊下に出て外へと場所を移動する。


「ここなら大丈夫かな? お疲れ様」


「ふぅ……しんどかったぁ~。それで何かわかったの?」


「うん、相手は食事の為に遺体を食ってた。それで、知能が足りないのか鎧を剥いだりせずに肌の露出した部分からしか食べて無かったんだ」


「うっ……あまり聞きたくなかった……」


「あー、ごめんごめん。でも、これで大体敵がどういった存在かわかったかなぁ……」


「そうなの?」


「うん、食事をしてるのは上級の敵だけで、下級の敵は食事をしない、食べ残しの数も30人に満たない位だからね」


「でも、もっと食べられたという事は?」


「あるかもしれないけど、装備も放り込まれてたからね」


「うっ……よく見てたわね……私はあんまり直視できなかったわ」


「まぁ仕方ないよ、ひっちゃかめっちゃかだったし」


「正直なんか混じってたとしかわからなかったのよね……」


半分以上腐ってたもんなぁ……。


「よし、残りも探索して帰ろうか」


「そ、そうね……」


さっきの事を思いだしたのか、少し青い顔をするアミリアの背中を擦るのであった。


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