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第63話:魔装ホルス

そしてそれから森を走り、渓谷を飛び越えたその翌日の朝、俺達はリリアーナが捕らえられた館へ到着した。


「大きい館ですね……」


「そうだね、それにしても凄いな。ここまで綺麗に手入れされてるなんて」


ぱっと見どこかの貴族領にでも存在する様な洋館だ。


「よし、それじゃあここからは事前に話した通り二手に分かれよう」


「わかりました!」


「それと、助けた後はこれを使って」


防御魔法の魔道具を3つほど渡す、数が少ないのでまた大物の魔石を取りに行かないとなぁ……。


「使い方はこれに魔力を込めると発動するよ」


「わかりました!」


元気に頷くセレーネ、暴発させなきゃいいけど……。


「数少ないから暴発させない様にね」


「き、気をつけます!」


あわててお手玉をするセレーネ、そこまで慎重にならなくて良いんだけど……。


「それじゃあ『——探知』」


館の中を探知すると子供達はリリアーナと離されて閉じ込められている様だ。


「子供達は2階の、あの部屋に居るよ。それで、その下の部屋は人が多い。多分敵が多く居るんじゃないかな?」


「わかりました! それじゃあ私が先に子供達のいる部屋に侵入します!」


「了解、任せたよ」


そう言うとセレーネは軽々と塀を越えて行った。


「さて……セレーネは気付かれた様子は無いし俺は正面から行こうかな『魔装——ホルス』」


軽く準備体操をして魔装を展開する、ハヤブサの様な兜にウジャトの目が現れ、背中には翼が生える。


「よし、良く見える」


ウジャトの目は探知魔法や鑑定魔法を常時発動してヘッドマウントディスプレイの様に表示され千里眼に近い能力を備えている。ユフィの千里眼には負けるけどね。


館の内部がざわざわとし始めたタイミングでセレーネが侵入を果たす。


「じゃあ俺も!」


助走を付け飛び上がり、門を壊しながら館へ突入する、その衝撃で何人か吹き飛ばされた。


「翼をしまってと……さてゆっくり歩いて行こうか」



◇◆◇◆◇◆◇◆

◇リリアーナside◇

「まさか貴女があの魔王の娘とはね……」


子供達が引き渡される日、私は敵の頭領に呼び出されていた。


「そうですね、あの里へは偶然居たのですがまさか人攫いに遭うとは思いもしませんでしたわ」


「すまないねぇ……それで、お前さんはそのまま返す訳にはいかなくなっちまった訳だが……」


「お断りしますわ、私には旦那様がいらっしゃいますから」


「チッ……察しが悪いねぇ……仕方ない、いい金になると思ったんだけどね!」


相手の頭領が魔法を詠唱し始める、同時詠唱で細かい魔法攻撃を放ってくる。


「剣よ!!」


血で作り出した剣で魔法攻撃を叩き落していく。


「まだまだ! こんなもんじゃないよ!!」


その言葉の通り沢山の攻撃が飛んでくる。


「面倒……ですわね!」


「それじゃあ終わらせてやるよ! 石になりな!!『——エメ・エクスタ』」


光の矢のようなものが私の左腕を貫いた、その直後刺された部分から左手が石化していく。


「……ふっ!」


左手を切り落として石化を止める、落ちた手は石になってそこで石化の進行が止まる。


「わーお、すぐ腕を切り落とすなんて、良く出来るわね」


「結構痛いんですわよ、腕を切るのって」


「怖い怖い、私は味わいたくないわね! 『——エメ・エクスタ』」


「くっ!」


剣を変化させて光の矢を防ぐ、片っ端から石化して落ちていく。


「ほらほらほら! まだ逃げるのかい!!」


段々と数が増えて行き体に当たってしまう。切り落として再生を繰り返すが段々と魔力が足りなくなってくる。


「あぁ……優希様……すみません、私はもう……」


遂に最後の剣も砕かれ全身を矢が襲う。


その瞬間私の前に誰かが飛び込んで来た。



◇◆◇◆◇◆◇◆

◇優希side◇

館に入り襲いかかって来る相手を片っ端から切り捨てていく。


「!? この魔力は、リリアーナか!」


ウジャトの目を通してリリアーナの劣勢が伝わって来る、どうやら相手の石化攻撃はリリアーナとは相性が悪すぎる様だ。


「仕方ない……」


館が中でリリアーナのいる場所が三階なので天井をぶち抜いて空に飛び立つ、そこから空中で一回転して突っ込んでいく。


「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


叫びながら天井へ突っ込んだ。




◇◆◇◆◇◆◇◆

土煙と共に天井をぶち破りリリアーナの前に飛び込む。


「あぁ……優希様……」


「ごめんね、待たせちゃったかな?」


リリアーナをみると両手両足が石化し、その石化が進行している様だった。


「石化ねぇ……『——解呪ディスペル』」


――パキンッ。


甲高い音と共にリリアーナの石化が戻る。


「とりあえず血を吸ってね」


「はい……ありがとうございます」


首元にかぶりつきながら喉を鳴らすリリアーナ、すると次第に魔力が増してくる。


「なんなんだ貴様は!!『——エメ・エクスタァ!!』」


相手が光の矢を放ってくる、これがリリアーナを石化させた技か。


「人のイチャイチャに割り込むなよ三下!」


リリアーナを傷付けられたのもあり語彙が強くなる。それと同時にもう片方のウジャトの目が発動する。


「んな!?」


飛んできた光の矢は俺達に届く前に消える、ついでに周囲のリリアーナの手足も石化から戻った。


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