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第61話:情報収集と敵の正体

「復活しました!」


膝の上で震えていた【人化】を解いたセレーネを30分程撫で(もふって)いると自然と普段の調子を取り戻していた。


「よかった、それじゃあバルドルさんにお礼を言ってこないと」


「あ、私も行きます!」


いつもより少し長めのしっぽを振りながら後ろをついてくるセレーネ。


「それじゃあ服を着たら向かおうか」


「はわわ……そうでした!」


◇◆◇◆◇◆◇◆


ここにいるといわれていた広間の扉を開けると、。そこにはバルドルさんと数名の魔族がいた。


「おぉ魔王様! 奥方様の調子は戻りましたかな?」


「はい、助かりました。それでこの集まりは?」


「この者たちは昼番の見張りの者たちで魔王様のおっしゃられていた昨晩から開戦までの見張り番をしていた者達です」


相当バルドルさんが怖いのか皆一様に顔を青くしているか、歯の根が合わなくなっている。


「そうでしたか……それは丁度良かったですね」


全員に鑑定をかけると、二人程協力者と出て来た。


(ただ、協力者と言っても一人は妹を、もう一人は弟を人質にされてるのか……)


まぁ、何かあったら助けてあげれば良いでしょ。


そうして集められた理由と尋問が始まるとすぐ、その二人が泣きながら謝り始めた。


「貴様らあぁぁあぁぁ!!!」


「あっ!!」


バルドルさんが雄叫びを上げ巨木の様な腕を振り上げる。


――――バギン!!


「ふぅ……危ない危ない……」


「魔王様!?」


咄嗟に二人を庇い空間収納アイテムボックスから出した大盾で受け止める。


「バルドルさん、落ち着いて下さい」


「どうしてだ魔王様! なぜ誘拐犯を庇うのですか!?」


「この二人は敵に脅されて仕方なく手を貸したんです、それに今ここで一番に謝ったのは彼等です!」


「うっ……それはそうだが……」


「それにこの人たちを罰した所で、リリアーナや子供達は帰ってきません!」


「ぐぬぅ……」


腕の強化を戻して渋々と引き下がるバルドルさん。


「だが、何も罰を与えないのはワシの気が済まない……」


「それならリリアーナに判断を仰ぎましょう、当事者ですし。それまではトイレ掃除でもさせてて下さい」


「「うっ……」」


トイレ掃除と聞いて二人の顔が青くなる、駐屯地とはいえ野営地のトイレはかなり汚い、ちゃんと仕事をしないと感染症等が発生するためにすごく重要だ。


そう言うとバルドルさんも他の皆も嫌そうな顔をする。


「魔王様も人が悪い……」


「魔法があるとはいえ、綺麗にするのは大変ですからね」


「あいわかった、魔王様の恩情に感謝してこの者達への私からの罰は1週間のトイレ掃除だ、次からは、なにかあればすぐに私を頼りなさい」


そう言って涙を流しながら二人を抱くバルドルさん。


「いやいや話は終わってないんだけど!」


「そうでしたな、これは失敬」


それからはその二人に襲った連中の人数や容姿、後は肝心の魔族が居るかどうかの内容だ。


「そうか、妖魔女族ようまじょぞくの一族で『パリカー』という種族の1人か……」


「その『パリカー』の種族ってどんななんです?」


「うむ、本来は彼女たちはそこまで悪い事を考えたりする種族ではないが、魔力が異常に高い……稀に『稀代の悪女』という先祖返りが居てのう……」


「それでその『稀代の悪女』が悪さしてるんですね」


「まぁそういう事じゃな……」


「よし、それじゃあ情報も入手したし追いかけようか」


「はい! わかりました!」


◇◆◇◆◇◆◇◆

◇リリアーナside◇

私達を乗せた馬車は3日3晩走り抜け人間領の深くまで入り込んでいた。


「さぁ、お前達……ってこの女は異常に魔力が高いね」


「あぁ、でも子供達が居るから大人しいもんだ」


顔の半分が入れ墨で眼球は作り物の女が思案をする。


「まぁ良い、今回の取引相手が来るのは3日後だ、その間はちゃんと手入れしておくんだよ。手を出そうものならあそこのオブジェの仲間入りだよ」


顎で指された先に石になった男達が居る、中には腕や首の無い石像もいる。


「わ、わかりやした……それでこの女は?」


「同じ様にしな、見た感じ良いとこのお嬢様だ、身代金を要求すれば一儲けできるからな。私は街まで行って情報屋に話をつけて来るよ」


そう言って女性は烏に姿を変え飛んで行った。


「ほら、お前達、まずは風呂だ! おい女! ガキのメスはお前が洗え、逃がそうとするなよ」


「わかりましたわ、皆さん行きますわよ……」


女の子を伴って豪華な浴室へ通される、あの頭領が使っているのだろうか凄く手入れが行き届いている。


(ただの金稼ぎで攫った人質を売るなら良かったのだけれど、隙が無いわね)


ずっと警戒をしていて『不用意な動きはさせないと』そう感じさせる様な動きだった。


「さて……どうしようかな……」


あの頭領以外は容易に倒せるが、私の血液も石に固められたらかなり不利だ、とすると取引相手が来るまでは動かない方が良いわね。


「あー早く旦那様に会いたいなぁ……」


お風呂ではしゃいでる子供達を見ながらそんな事を考えていた。


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