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第43話:巡回中?デート?

「さて、巡回とはいっても片っ端から喧嘩腰で動くのは禁物だしゆっくりと見て回ろう」


「そうですねユウキさん」


流石に巡回中に目立つ訳にはいかないし様付けやご主人様呼びはしないでもらっている。


「しかし大通りは活気がありますね」


「そうだね。でも、いくら治安が良くてもこういった場だとスリなんかをする人、居ない訳じゃないから」


「そうなのですか……」


「出来れば貧民街……もとい低所得者層の地域を見て回りたいんだよね、そうするとこの国の水準や福祉がわかるし」


そんな事を言うとセレーネが目を丸くしている。


「ん? どうしたのセレーネ?」


「いえ、ユウキさんって本当に凄いんだなぁと思って」


「あはは……これでも将来は政治にもかかわるからね……腹芸は得意じゃないけどこうして色んな地域を見て、感じ、それを自分の国に生かすにはどうすればいいかくらいは出来るからね。色んな世界を見て回れる特権だよ」


「尊敬します! 流石ユウキさん!」


目をキラキラさせながら答えるセレーネ、あんなに警戒心むき出しかつ死んだ様な目してたのに元気になったなぁ……。


「さて、立ち話ばかりじゃダメだし、それじゃあ見回りを再開しようか」


「はい!」


それからお昼まで見回り大通りから裏路地まで見回ったけど特に異常などは無かった。


居たのはネズミ捕り用の猫みたいな家畜魔獣くらいだった。



◇◆◇◆◇◆◇◆

「さて。一度、詰所に戻ろうか」


「はい!」


両手に道中色んなお店の人から貰ったものを抱えながら歩く。


「しかし、なんでこんなに物を貰ったんだろう?」


「ですねぇ……お店の人は縁起が良いからと言ってましたけど……」


そうして詰所に戻り隊長さんに聞いてみると驚いた顔をされた。


「そうか、カミナギ様はこの国の人では無かったんですね」


「えぇ、なのでよくわからず貰ってしまったんですが、大丈夫でしたか?」


「あっはっはっは! 大丈夫ですよ! まぁ原因はセレーネ様にあるんですが」


そう言うとセレーネは何がなんだかわからない顔をしていた。


「セレーネ殿、つまり宝石獣カーバンクルは、その身に宝石を宿すことから商売繁盛の象徴でして、こういった彫り物が存在するんですよ」


そう言って見せてきたのは獣状態の宝石獣を模った木彫りの彫刻だ。


「へぇ~凄いですね。しかも可愛らしい形をしていますね」


日本でいう招き猫扱いなんだろう、愛らしい姿に掘られた宝石獣の彫り物を見ていると袖を引かれた。


「ん? どうしたセレーネ」


「あの……ユウキさんには私が居ますので……」


「お、おう?」


よくわからないといった感じで返事をすると隊長さんがニヤニヤしている。


「そうですね、カミナギ様にはセレーネ殿という特別な宝石獣がいらっしゃいますからね、彫り物は不要ですね」


「!?!?!?!?」


隊長さんの言葉に顔を真っ赤にして手を放すセレーネだった。


◇◆◇◆◇◆◇◆

それから他の隊員を見に行く隊長さんと別れ、二人で昼食を終える。午後からは南の残りと職人街がメインの東地区だ。


「ユウキさん、この先に孤児院と平民街があるそうです」


お昼に隊長さんに貰った、大まかな地図を覗き込むセレーネの前を歩きながら周囲を見回す。


「そうか、じゃあ一旦孤児院を見に行こうか」


「そうですね、行きましょう!」


これから孤児院に向かい、入り口に差し掛かった頃。セレーネに気付いた子供達が駆け寄って来た。


「セレーネさんだ!」「おねーちゃん!」「あの隣の人は誰だろう?」「旦那さんかな?」「え~セレーネお姉ちゃんだよ?」


なんか色々ざわざわしながらこちらを見て来る子供達。


すると庭で子供達の相手をしていたアミリアと同い年位のシスターさんがこちらへ駆けよって来た。


「セレーネさんこんにちは。今日は、一体どのような用事で?」


「今日はユウキさ……ご主人様と、兵士の方々のお手伝いで市内の見回りを行っているのですよ」


「そうなのですね、いつもありがとうございます」


そんな二人の会話を見ていると子供達が俺をじーっと見ている。


「こんにちは、もし良かったらお菓子でも食べるかい?」


先程貰った中にあったお菓子を空間収納アイテムボックスから取り出すと、皆がざわざわとし始めた。


「今、いつの間にか出してたよな?」「うん、瞬きしたら出してた」「オレまばたきしてないけど何もないとこから出してたぞ」


ざわざわしている年長組と違い、ちびっ子たちはお菓子に興味津々だ。


「ほら、おいで。手を綺麗にしたら食べていいよ」


土遊びをしていた子達も居るので水魔法を20㎝くらいの小さめの球にして子供達の前に差し出す、試しに手を洗う所を見せると皆手を洗い始める。


「はい、じゃあこれで拭いてね~そうしたら一枚づつ取るんだよ~」


皆がすこし大きめのクッキーみたいなお菓子を頬張り出す、バターと砂糖を使ったちょっと高級な焼き菓子だ。


「ん~美味しい!」「甘い!」「サクサクしてる~」「これ砂糖入り?」「だよな、果物の甘さじゃないもんな」「おにーちゃんもう一つ!」


食べきってしまった子供達にもう一枚あげていると、いつの間にかちびっ子たちに纏わりつかれていた。


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