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第35話:ノクタールさんの考え

「ちょちょちょ!? どういうことですか!?」


思わず立ち上がりノクタールさんに問いかける。


「あー言ってなかったね、アミリア様と何度かお話をさせてもらってね、今回の婚約は断らせて貰ったんだ」


「でも、なんでそれが俺の結婚に!?」


「まぁ、それもなんだけどアミリア様は、こんなおじさんより君と結婚したいそうなんだ」


あはは~と笑うノクタールさん、おじさんというけど見た目は30代位だ。


「それに、私の趣味は年上の童女……つまり『長命種の見た目が童女』にしか心動かされないのです!」


いや、そんな事堂々と言われても……。


「それに政治的には君が欲しい、正直取り込むならアミリア様より君の方が有効に使えるんだ」


「うっ……」


言いたい事はわかる、正直現代の政治でも異世界の政治でも『最も重要なのは比類なき武力』という事くらいは。


「でも、リリアーナの意思は?」


「あぁ、それなら問題無い。正直この結婚が無ければリリアーナは死ぬしか無いからね」


「それってどういう……」


「吸血鬼のしきたりでね……そもそも他人を吸血して生長えている存在が忌避されず、国を持てているのかわかるかい?」


ノクタールさんが真剣な顔で聞いてくる。確かに吸血鬼は普通の魔族より強いのは知ってはいるが数は少ない。武力が政治に直結する世界故にこれだけ民衆に頼られているのは当然だ。だが他人の生を糧にしている存在を民衆は許容しているとなると。


「それは、吸血鬼のしきたりで特定の相手からしか吸血しないから?」


「そうだね、ほぼ正解だ正確には番になる存在からしか吸血出来ない、その掟を破りし吸血鬼は同胞の手によって誅殺されるというものだ」


「でも、俺は別世界の人間だ。血を与えるだけならバレないですよね?」


「それは徹底的に隠せば何とかなるけど……吸血鬼にとっての吸血はもう一つ重要な意味がある」


「意味って?」


そう聞くとノクタールさんは少し恥ずかしそうにする。


「その、性交に当たる行為なんだ吸血って……」


「へ?」


ナニイッテルノコノヒト?


「しかも子供を作るには吸血で得た血と性交で得た魔力……私達はマナと呼んでいる力を女性の中で混ぜ合わせ子供が出来るんだよ」


「えぇ……じゃあ何でリリアーナさんを俺に吸血させたんですか……」


「カミナギ様を一目見てリリアーナと同じ波長があったんだ、これは吸血鬼に備わってる本能というやつでね、適合する血を持つ者同士がわかるんだよ。それに合わない存在は拒否反応が出るんだ」


「つまり最初から俺とリリアーナさんを結婚させたかったという事ですか……」


「まぁ単純に言えばそうだね、交換条件としてアミリア様との婚約を受けても良いと思ったけど、カミナギ様が魔王になるなら、私が結婚するよりカミナギ様と結婚する方がスムーズに進むと思ってね」


「でも、俺が魔王になるのを嫌がったら?」


「その時はリリアーナに全てを諦めてもらうしかない、しきたりを破ったり特例を作ると国の根幹が揺るぎかな無いからね」


「それ、俺の意思無いじゃないですか……」


「ん? 政治とはこうゆうものだろ?」


けろっとして言うノクタールさん、やっぱり大人には勝てないなぁ……。


「それにカミナギ様の事はそれなりに信頼してるんだよ、一目見た時から」


「それってどういう事ですか?」


「だって、赤の他人であるアミリア様をここまで護衛してるし、いつでも守れる位置に置いてたよね? それに私が不審な動きをしたら即殺せる様にしてたし」


「そこまでは考えて無かったですけど……」


「え~嘘だぁー謁見の時、『え?私死ぬの?』って思ったからね」


「それは……すみません……」


「ともかく、ここで今。答えを返して欲しいけど。カミナギ様には考える時間も必要でしょう。ですので数日待ちますその間にお答えをしていただけると嬉しいです」


「わかりました……」


「それと、出来ればリリアーナとアミリア様とも話していただけると……」


「それは大丈夫です、ちゃんと二人と話し合います」


「それは良かった、では私は一度仕事に戻らせていただきますね」


「はい、わかりました。お時間取って頂きありがとうございます」


「こちらも、すぐにカミナギ様と話せて良かったよ、では色好い返事を頼むよ」


そう言ってノクタールさんは部屋から出て行った。


「ふぅ……」


「優希さん……あの……」


マリアンが申し訳なさそうに声を掛けて来る。


「ん? どうしたマリアン?」


「ごめんなさい、私のせいでこんな事になってしまい……」


「あぁ、それは仕方ないよ、マリアンだって困ってたんだろうし……やらかされたのは非常に腹立たしいけど……」


「ひぐぅ……すみません……」


「他に話すことはある?」


「特には無いのですが……この宝玉を持ってて欲しいとの事です」


先程ホログラフィックが出てきた結晶を手渡された。


「わかった、持っておくよ」


「あ、でも空間収納アイテムボックスにはしまわない様にだそうです」


「そうなの? 了解」


宝玉を受け取ると穴が開いているので紐を通して首にかける握りこぶし位だし邪魔にはならないだろう。


「ともかく一度二人と話し合わないとなぁ……」


溜息をつきながら今後の予定を考えた。

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