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|章間|③:耀と姉妹の母

 ◇水城 耀side◇

 優希と恋人になり5日経ったある日、里菜さんと編入の手続きや身体測定などを済ませ、魔法が未だに使えないという事を国に提出する。

それが終わり、いつもの通りの時間に病室へ行くとそこには小鳥遊姉妹がそこにいた。


「あー耀、いらっしゃい、用事終ったんだ?」

「耀お姉さん、こんにちは」

「耀おねーちゃんこんにちは~」


 三人に挨拶される、数日前に初めて会った小鳥遊姉妹からは「耀お姉さんやおねーちゃん」と呼ばれていた。


「そうなのよ、まぁいつもの魔法が使えるか―とか体の異常は無いかとかを見る検査だったんだけどね、それで集まってどうしたの?」


「えっと……まずは耀に話をしてからになるんだけど……この二人をハーレムに加えたいかなと思いまして……」


 気不味そうに尻すぼみになりながら優希が言う。


 まったく……最近格好良くなったと思ったら、こういう所ではまだヘタレるんだもんなぁ……。


「私はいいわよ、というより……優希の力とかは話したの?」

「それは話したよ、その上で二人は是非なりたいって言ったんだけど……」

「ふーん、それで〝妻〟にお伺いを立ててからにしようと思ったのね」

「そういうことです……」


 バツが悪いのだろう、優希の目がブレイクダンスしてかの如く揺れている。


「はあ……優希がしっかり考えてこの子達ならいいと思ったんでしょ? なら私が止める理由は無いわ。余程悪い考えを持っていて、優希を奴隷のように扱おうとか、お金儲けの為に利用しようとか、犯罪をさせようとかなら流石に止めるけど……」


「流石にそんな人は入れるつもりは無いよ……これでも見る目あるし……」

「それなら、良し! でもね、優希が私たちを置いて一人で勝手に決めるのが心苦しいなら、私とちゃんと話し合いましょう。二人もそれでいい?」


 傍で固唾を呑んで見ていた小鳥遊姉妹に確認を取る、すると二人は「はっ、はい!」と元気良く返してくる。


「なので、基本は優希にお任せだけどもし相談があるならちゃんと聞くわ」

「わかった、ありがとう……」


 そう言うと優希は朗らかな笑みを浮かべる、昔っからこの笑顔に何度陥落させられたかわからない、最近見せる凛々しい顔も好きだけど、やっぱり優希は可愛い系なんだもん!!


 そう内心デレデレしているとじーっとみてくる双子の視線があった。


「そういえば耀さんって」

「いつから優希おにーちゃんと一緒にいるの?」


そう小鳥遊姉妹から質問が飛んできた。


「そうねぇ…幼稚園の時からだから、大体13年は一緒にいるわよ」


というと、二人が目を輝かせる。


「じゃあじゃあ優希おにーさんの面白エピソードとかない?」

「あるわよ?」

「耀!?」

「ちょっと冬華! 駄目でしょ!?」

「ええ~じゃあ春華は聞きたくないの?」

「それは……聞きたいけど……」

「じゃあ決まり!耀おねーちゃんお願いします!」


 いつの間にか可愛い妹が二人も出来たみたいだ、私は一人っ子なので嬉しくなり腕を組む。

優希に目をやると組んだ腕で押し上げられた私の胸を見ていた、まあいつもの事だしいいけど……


「それじゃあねぇ……まずは優希が私の胸をガン見している事について話しましょうか?」

「ひっ、耀!?」

「前にも言ったじゃない……バレバレよ?」


 そういって揶揄うと、小鳥遊姉妹も「おにーさんのえっちー」「優希おにーさん……最低です」と乗ってくる。


それからしばらく顔を真っ赤にした優希を、三人で堪能するのであった。



◇◆◇◆◇◆◇◆

優希が検査に行って暇になってしまったので、私は売店でお菓子を買って小鳥遊姉妹の病室へ向かう。


「失礼しまーす」


中に入ると二人のお父さんの鷲司さんとお母さんの姫華さんが居た。


「あっ、耀おねーさん!」

「耀さん!」


二人はこちらに手を振ってくれるが、ご両親が居るのなら私はお邪魔だろう。


「あちゃーご両親が居たんだ、家族水入らずにお邪魔だし私は後で来るね、鷲司さん姫華さん失礼します……」


そう言って外に出ようとすると、姫華さんの凛とした声に引き留められる。


「耀さん、少々お時間よろしいでしょうか?」

「あっ、はい」


促されて椅子に座る、鷲司さんは気まずくなったのか、部屋の隅に椅子を持って行き座る。


「あ、もし良かったらどうですか? そこの売店で買った物なのですが……」


先程買ってきたお菓子を出し出す、スナック菓子なので嫌いかもしれないけど……。


「ありがとうございます、わぁ! じゃ〇りこですね! 私好きなんです!」


そう言って速攻開けて食べ始める姫華さん。


「あーお母さんず~る~い~!」

「そうだよ、お母さん! ほっとくと一人で食べちゃうんだから!」


そうなんだ……二人も好きだから買って来たんだけど、姫華さんも好きなんだ。

少し柔らかくなった空気にほっとしていると、姫華さんと二人の攻防戦が始まった。


「おかーさん! 耀おねーちゃんとお話があるんでしょ!?」

「そーだよ! 何の話なの!?」


二人の言葉にはっとする姫華さん、耳を赤くして「すみません……」と恥ずかしそうにする。


「いえ、もし良かったらもう一個あるのでどうぞ……」

「あっ、ありがとうございます……あはは……」


気まずそうに笑う、双子に取られない様に袖にしまい込む。


「それで、お話って?」

「はい、二人から聞きましたが、耀さんは優希さんとご婚約されたそうですね?」


ニコニコと笑う姫華さん、対照的に私の胃が緊張できゅっとする。


「は、はい……」

「そして、つい先ほど聞いたのですが。春華と冬華を同時に優希さんのハーレ……んんっ……妾にしようと聞いたのですが、本当ですか?」

「は、はいぃ……」


圧が凄い……少し気圧されながら答える。


「はぁ……それで貴女達はそれでも良いの?」


春華ちゃんと冬華ちゃんに向き直り問いかける姫華さん、二人は慣れているのか、ハムスターの様にカリカリと食べている。


「うん、私は元々何があろうと優希さんに生涯尽くそうと思ってたから」

「他の男の人より、数万倍もカッコいいしねぇ~。もう他の同級生とか、子供にしか見えないし……なによりお母さんの娘だよ? 命懸けで助けられたらもう惚れるって~」


春華ちゃんはしっかりとそして真っ直ぐ姫華さんを見て答え、冬華ちゃんは飄々としては居るが本気の目で姫華さんに答えている。


「そうなのね……それでは耀さんに、幾つか質問しましょうか」

「は、はいっ!」

「貴女から見て優希さんはどんな人ですか?」

「どんな人……ですか……」

「えぇ、幼馴染と聞き及んでいますし。私も、人となりは知っておきたいので」


姫華さん……目が怖い……というか、鷲司さんさっき隅に行ったのって逃げたんじゃ……。


「耀さん?」

「え、えっとですね!?」


ニコリと微笑まれた私は、内心で優希を恨みながら姫華さんに過去からの優希についての私の想いを語るのだった。

作者です!

今回も読んでいただきありがとうございました!

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