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第33話:シアのご褒美とアミリア

◇アミリアside◇

「うぅ……体中が痛い……」


朝起きると私は全身が痛く、鉛の様になっている。


結局シュンさんフユさんアリスさんに剣先すら触れる事は出来なかった。


――――♪♬♫——


朝の時刻を伝える鐘が響きシアが入って来た。


「アミリア様~起きないと……ってどうしたんだい?」


「えっと……神様達に鍛えられていたのよ」


何言ってるのこの人みたいな顔された……。


「いやいや、流石に神様って。無理あるだろ、どんだけ荒唐無稽なこと言ってるんだ?」


「出来るなら私も夢であって欲しかったけど、数時間はボコボコにされて回復されての繰り返しだったわ、いてて……」


筋肉痛で上がらない腕を持ちあげながら言うとシアが優しい目をし始めた。


「そうか……ご主人様と会わなさ過ぎて遂に壊れたか……」


「酷い言い草ね!」


「だってホントの事でしょ? もう1週間も逃げ回ってるんだよ!?」


「うっ……」


「ともかく、今日の朝食はご主人様も来るから来るんだよ?」


そう言われて、嬉々とした心が浮き上がると同時に、この不格好な自分を見せるのが恥ずかしくなった。


「無理、私、今日朝食、食べない」


私はデュベを口元まで持ってくると、ベッドに倒れ込む。


「とは言っても、今日も聖堂で公務だろ?」


「うぐっ……」


どもる私に、仕方ないとばかりに肩を竦めるシア。そうして外へ出ていく。


「スープとパンなら食えるだろ? それにノクタール様に話して今日の公務は取りやめにして貰う」


そう言ってシアは部屋を出て行った。


「ありがとう……」


何だかんだ普段は言いつつも甘やかしてくれる、今は姿が見えない従者にお礼の言葉を呟いた。


◇◆◇◆◇◆◇◆

「という事で、ボクは今日一日アミリア様についてませんので」


寝起き一番に俺に馬乗りになったシアが口を開く。


「どうしてシアは俺の上に乗っかってるんだ?」


「え~たまにはご褒美下さいよぉ~」


「ご褒美って……なにが欲しいんだ?」


「ん~お休み♪」


「あれ? 休みあげてなかったっけ?」


「うん」


「そっか~、休みあげてないのは問題だよなぁ……」


「という訳で! お休み貰いまーす!」


ぴょんと飛び降りてシアは扉へ向かう。


「そうだ、嫌じゃなかったらセレーネもどっかに連れ出してやってくれ」


「良いですよ~じゃあセレーネもお休みってことで♪」


「あぁ、よろしく頼む」


そう言うとシアは満足そうに外へ出て行った。


「さて、朝食には少し早いけど着替えるか……」


◇◆◇◆◇◆◇◆

朝食を食べる為に食堂へ向かうと、道中でシャリアと出会った。


「あら、ユウキ様じゃない♪」


「やぁ、シャリア。珍しいな」


「これでも幹部をやってるのよ、偶にはここに来るわよ」


「そういえばそうだったな、今は何してるんだ?」


「最前線で調略と停戦の話し合いを受け持ってるわ」


「そっか、大変だな」


「そうね、向うも厭戦ムードだから大きな被害は出て無いけど正直困ったものよ……」


面倒臭そうに肩を竦めるシャリア、やっぱり無益な戦いはしたくないよなぁ……。


「うーん、ノクタールさんはずっと忙しそうだし。アミリアは最近忙しいみたいだし」


「そうねぇ……本当に気付いて無いのかしら(ボソッ」


「ん? 何か言ったか?」


「いーえ何も、せっかくだし今日はアミリアちゃんと一緒にいてあげたら?」


「そうだな、二人が付いて無いし護衛の代わりとして付いておくか」


「…………これで良く奥さん大量に持てるわね(ボソッ」


「ん?」


「アミリアちゃんに何か買って行ってあげなさいな」


「何かお勧めの品は?」


「そういうのは自分で見つけなさいな……と言いたいとこだけど今日は時間が無いだろうし城下の大通りにあるお菓子が女の子に人気よ」


「ありがとう、アミリアに持って行くよ」


「そうね、それが良いと思うわ。それじゃあまたね」


食べ終えたシャリアが、席を立ち食堂を出て行った。


「さて、それじゃあ準備してアミリアのとこに行くか……」



◇◆◇◆◇◆◇◆

◇アミリアside◇

私が全身の痛みで呻いているとノックが響いた。


「シア? 空いてるから入って良いわよ?」


「えっと、シアから聞いたけど。大丈夫かい?」


「ユユユユウキ!? あぐっ……」


ユウキをみて飛び起きた私が体の痛みに呻ぐ。


「無理しないで良いよ」


そのまま寄って来たユウキが回復魔法を掛けてくれる。


「ありがと……」


「でもどうしてそんな全身痛くなる様な事を?」


「えっと……なんか私が頑張る為に、力を貸してくれるって人が居て。それで夢の中で鍛えて貰ってたの」


そう言うとユウキも、なにか変な物を食べたんじゃないかと言った顔をしてくる。


「何よその顔……」


「いや、まぁなんか思い当たる節があって……まさかな……」


「ふーん……ともかく助かったわ……痛いのが大分良くなったわよ」


「そっか、それじゃあお菓子を買ってきたけど、食べれそう?」


そう言ってユウキが出してきた包は今城下で話題になっているお菓子屋さんのだった。


「それ、有名なお菓子のお店じゃ!?」


「まぁ、シャリアに教えて貰ったんだけどね」


「それでも良いのよ、話題になってるけど食べれなかったし」


私は包みを開けながら色とりどりのお菓子を取り出す……がイマイチ気分が乗らない。


「ねぇ……ユウキ。このお菓子私は少しで良いわ……」


私がそう言うとユウキが驚いた顔をしていた。


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