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第28話:リリアーナ・ノーブルブラッディ

「はい。ノクタール様へアミリア様との結婚をご提案しに来ました」


俺のその言葉にアミリアが息を呑み、セレーネとシャリアは目を見開くシアはビクンとしたが表情は変えてない。


「ユウキ殿、一体どうしてだね?」


「それは……『それは、私から説明させて下さい』」


アミリアが立ち上がり俺の言葉を遮る。


「私は元、エルシア王国の王女です! 母は謀殺され、父も今は行方知れず。国は栄えましたがそれも魔王領の土地を奪う形でです。それに、このままあの王を放置しておけばもっと戦火を広げます、この世界は邪神という存在に脅かされる危機があるのに……」


その言葉に、ノクタールさんが眉をピクリと動かす。


「それはどういうことだ? 邪神なぞ文献にすら載っていない様な口伝での伝えしかないぞ」


「それは私から説明をさせていただきます……」


部屋の中にマリアンが現れた、しかも凝った演出で。


「貴女は一体……」


「マリアンです、貴方も知っているでしょう」


「マリアン様!?」


すぐに椅子から降りて片膝をつくノクタールさん。


そしてなんかおろおろし始めるマリアン、なんでそこでヘタレるんだよ……。


「あー、ノクタール様。マリアン様が顔を上げて椅子に座って欲しいとの事です」


俺が言うと元の位置に戻るノクタールさん。


「ユウキ殿……貴方は一体……」


「勇者ですよ、早く元の世界に帰りたいのでマリアン様に色々と協力しているんです」


「はい! 優希さんは本当に力になる方です!」


「マリアン様……今は外交の場ですので、真面目にして下さい……」


「あ、はい。すみません……」


俺に釘を刺されて小さくなるマリアン。


◇◆◇◆◇◆◇◆

「という事で、アミリアが王になる為……もういっそエルシアと併合しても良いと思ったので。今回の提案をさせてもらったんです」


ノクタールさんに邪神の事や今回の目的とか、諸々詳しく説明して反応を待つ。


「ふむ……少し、考えさせてくれ。今はそれどころでは無いのだ……」


そうノクタールさん言った直後、部屋の扉が乱雑に開かれた。


「魔王様! お嬢様が!!」


入って来たメイドが、悲痛な声を上げる。


「くそっ! すまない皆様方私は少々席を外させてもらいたい! シャリア、皆様の話し相手になってくれ!」


そう言って、部屋を飛び出して行った。


「あ、はい……かしこまりました」


「どうしたんですか?」


「お嬢様の体調があまり芳しく無くて……」


「へぇ……それなら、俺が診た方が良いかもしれないね」


「そうね、ユウキ様の魔力なら……」


「じゃあ、行ってくるよ。魔力で追えるし」


「そう? じゃあお任せするわ」


「あの~私は?」


「マリアン様はそこにいて下さい、あんまり力も回復してないんでしょ?」


「はい……」


「それじゃあ、アミリア、レナ、セレーネは待っててね。シア、万が一は無いだろうけど頼んだ」


「わかったわ」「はい!」「任せろ」


俺はノクタールさんの魔力を追って、部屋の外に出た。


◇◆◇◆◇◆◇◆

廊下に出てノクタールさんの魔力を探知する。


「さて。結構、遠いな……」


城の最上階に位置する尖塔から魔力が見つかった。


「飛んで行くか」


窓から出て飛行魔法で上に上昇する、空いていた窓から廊下に入ると扉の開けられた部屋が目に入る。


扉をノックして入ると中に居たノクタールさんと目が合う。


「ユウキ殿!? どうして?」


「御息女の治療の為にノクタールさんの魔力を追ってきました」


「そんな事が出来るのか、ユウキ殿は……」


「とりあえず体調を見てみますね『——鑑定』」


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【リリアーナ・ノーブルブラッディ】 性別:女 年齢:180歳 種族:吸血鬼(神血種)

ジョブ:吸血皇女 Level:389

所持能力スキル:【体術】【吸血】【魅了魔法】【5元素魔法】【操血魔法】【剣術】【状態異常無効】


称号:神種の吸血鬼・吸血鬼の女王・正統後継者。


備考:魔王領の正式な主、身体が強くなく体調を崩しがち。

両親と血の繋がりはあるが【神血種】という先祖がえりを果たしている。

その為吸血する際に適合する血が現在絶えている。

体調不良の原因は貧血。

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「うーん……貧血か。とりあえず『——復元ヒール』」


復元で回復させると顔色が良くなった。


「うっ……うぅっ……」


「リリアーナ!」


「お父様?」


すぐに目を覚ましたリリアーナさんが、ノクタールさんを認識して微笑む。


「よかった……ありがとうユウキ殿」


リリアーナさんの手を握るノクタールさんが涙を滲ませながら感謝の言葉を浮かべる。


「良かったです、でも適合する血が無いので。このままだと又同じことになります」


感動的な場面だが言わざるを得ないので苦々しく言う。


「そうか……どうしたものか……」


ノクタールさんが難しそうな顔をしている。


「お父様……その……」


リリアーナさんがノクタールさんに耳打ちする。


「あぁ、彼はこの世界の人間じゃないのだ……」


するとリリアーナさんが俺の事を見てくる、穴が開くレベルで。


「えっと? どうしたの?」


「お名前をよろしいでしょうか?」


「上凪 優希です、リリアーナ王女」


「カミナギ様……こちらへ来ていただいてもよろしいでしょうか?」


「はい、わかりました」


そうしてベッドの傍へ近寄る、恰好が恰好なので寄らずに治療したんだけどなぁ……。


「もう少し……手をみせていただきたいのです……」


「えっと……良いんですか?」


ノクタールさんに確認する。


「あぁ構わないよ、娘の言うとおりにしてやってくれ」


「わかりました」


そうして広いベッドに片膝を立ててヨガの様なポーズで手を伸ばす。


「すみません、カミナギ様」


手を差し出した瞬間、引っ張られて体勢を崩す、その瞬間首筋に軽い痛みが走った。

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