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第27話:この旅の目的

魔王領都へ到着魔王と謁見、

アミリアの輿入れの相談、だが優希と婚約を望まれる


シアの襲撃があった日から二日、やっと魔王領の主都へ到着した。


「それじゃあお兄さん、このまま王城へ行きましょう」


「「「「え?」」」」「……」


「セレーネちゃんの事、報告もしないといけないし、それに謁見を申し込むとなると手続きやらなんだで1日は待たせられるわよ?」


そうか、でもどうするかだよなぁ……。


横目でアミリアを見る、今回訪れる目的に関して心なしか考えていることが多くなった。


(あまり先延ばしにし続けるのも、限界があるよなぁ……)


「とりあえず、謁見には行きます、セレーネの事を報告しないといけないですし」


「わかったわ、それじゃあこのまま馬を進めましょう」


そう言ってシャリアが門番へ話をしに行った。


「……ユウキ」


アミリアが不安そうな顔をしている。


「大丈夫、アミリアなら出来るから」


アミリアの震える手を握り、励ますとぎこちないけど笑ってくれた。


「お待たせ、それじゃあ行きましょうか」


そのまま馬車は走り出す。


◇◆◇◆◇◆◇◆

謁見の間から少し離れた部屋に俺達は居る、特に問題も無く謁見が終わり魔王様も話をしたいとの事で居室に通されていた。


――コンコン。


「待たせました、ユウキ様。こちらノクタール・ノーブルブラッディ様です」


サキュバスの正装? やたら豪奢なマイクロビキニに着替えたシャリアが男性を伴って入って来た。


「先程は失礼したね、私はノクタール、ノーブルブラッディ家の当主でありこの国の王をやらせてもらっているよ」


柔和な微笑みを携さえながら右手を差し出してくる。


「私は、この世界に呼ばれた勇者の上凪優希です。現在は聖女アミリア様の護衛を務めさせていただいてます」


「わ、私は聖女のアミリアです、この度はご拝謁賜り大変に感謝をしております」


綺麗なカーテシーをした後、握手を交わす。


「こちらは妹のレナで、現在はアストマリウス様の神子を務めております」


アミリアの紹介にこちらも立派なカーテシーを行う。


「それで、その子が今回保護してくれた子だね?」


ノクタールさんの視線がセレーネを捉える。


「は、はいぃ! わた、わたくし! セレーネ・ランシルと申します! 今はご主人様の元で護衛兼お手伝いをさせていただいております!!」


カチコチになりながら頭を下げる。


「フフッ、今代の虹の子は随分緊張しいなんだね」


「「「虹の子?(ですか?)」」」


俺達三人が首を傾げる。


「なんだシャリア、説明してなかったのか?」


「はい、確証が無かったもので」


「そうか、それじゃあ私から説明しよう。虹の子とはね彼女の様に虹色の髪を持つ宝石獣カーバンクルで、定期的に先祖返りする子なんだ、宝石獣の中で見るのは君で二人目だ」


「そうなんですね、凄いなセレーネは」


「あ……はぃ、ありがとうございます……」


恥ずかしそうに顔を赤らめながらはにかむ。


「それで、そちらのお嬢さんは?」


ノクタールさんがシアへ目を向ける。


「彼女はシアで元々暗殺者をやっていた子です、王国で薬漬けと洗脳で操られてたんですが今は治療してアミリアの護衛をやってもらってます」


「ほう、素晴らしく強そうだね、彼女が護衛ならそこいらの相手は勝ち目が無いな」


「お褒めに預かり光栄です」


恭しく一礼をしてアミリアの背後に控える。


「うむ、挨拶はこれ位で良いだろう、それでユウキ殿どうして彼女達に【悦楽プレジャー結約コントラクト】の契約魔法をかけているんだい?」


少し訝しげな目で見てくる。


「えっと……シャリアが使った奴隷契約の魔法を使ってるんですが……」


「やっぱりか……シャリアよ何でこの魔法を教えたんだ……」


「だって私サキュバスですよ? 普通の契約魔法なんて忘れました。それに普通の契約魔法じゃユウキ様に魔力を通せませんでしたよ……」


「ん? 普通? 今、普通って言ったよね?」


俺のその言葉に大きく頷くノクタールさん。


「そうだ、ユウキ殿が使ったその契約魔法は【淫蕩契約】といってサキュバスが得意とする魔法なんだ。つまり性奴隷用の契約魔法なんだ」


「ふぁ!?」


驚いてシャリアを見ると気まずそうに目を逸らす。


「それに、シャリアの……サキュバスが得意とする魔法は【性魔法】でね、その殆どが『性』に関するものなんだ」


「そうだったんですね、じゃあ二人が時折もじもじしてたのは……」


「あぁ、わかりやすく言うと『発情』というものかな」


ノクタールさんの言葉にセレーネとシアを見ると、顔を赤らめながらそっぽを向く。


「「…………///」」


(そうだよ……お腹に契約紋が出るなんておかしいと思ったんだよ!)


とりあえず椅子を引いて地面に正座して頭を下げる、つまり土下座だ。


「ごめんなさい!」


「頭を上げて下さいご主人様!? 私は、その……それでも良いと思いましたので! 寧ろご主人様のモノになれて嬉しいので!!」


「いや、いい……その、僕は嫌じゃ無いし……」


「とりあえず……解除するよ!」


「「いやいい(です)!!」」


二人が止めに入る、でも流石にそれは。


「まぁ、ユウキ殿。二人が良いと言っているんだ、説得するならまたじっくり話し合うべきだと私は思うよ」


一方的に破棄をしようとしたらノクタールさんがやんわりと止めてきた。


「わかりました。二人共、後で話をしようか」


二人共コクリと頷いた。


そうして椅子に座り居住まいを正す。


「それで、この国に来た目的は?」


引っかかっていたことが解消されたので本題に入ろうと促された。


「はい。ノクタール様へアミリア様との結婚をご提案しに来ました」


そう言うとアミリアが息を呑んだ。


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