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第5話:三人の勇者登場

それから落ち着いたダメ女神と幾つかの取り決めを行って戻って来ると、少しの間眠る事にした。


「……お姉様! 駄目です!」


「いいえレナ! この男やっぱり信用ならない!」


「で、でも!」


「私だって恩人には手を上げたくないわ! でもここで隙を見せたらいつ仕掛けてくるかもわからないのよ!」


騒がしさから目を開けると、置いてある武器から選んだようで手頃な長さの剣を振りかぶっていた。


「「……あ」」


「何やってるんだ二人共……」


「えぇぇぇぇぇい!!」


パニくったアミリアちゃんが剣を振り下ろす、それを真剣白刃取りで受け止める。


「なぁ!?」


「危ないなぁ……」


「だから言ったじゃん! お兄様には無理だって!」


「それで、どうしてこうなったの?


「それは……」


力の抜けた剣を受けとり、そのまま空間収納アイテムボックスへしまう。


「その前にこれ外していい?」


縛られた手と足を指差し問いかけると、レナちゃんが手早く外してくれた。


「お兄様、終わりました」


「ありがとう、レナちゃん」


頭を撫でると少しくすぐったそうにする。


「それでアミリアちゃんは、どうしてこんなことしたの?」


「それは……貴方が私達の事を知ってるから……」


「あーそういえばそうか……」


どこから話すかなぁ……。


「まぁその前に朝ご飯にしようか……」


そう言うと二人のお腹が、可愛らしく鳴いた。


◇◆◇◆◇◆◇◆

「それであなたの事話してくれるのよね?」


朝食を食べ終え、三人で水筒からメアリーの淹れてくれた紅茶を飲む。


「そうだね、まず二人もわかってると思うけど。俺はこの世界の人間じゃない」


「えぇ、貴方の強さとその能力の万能性、この国じゃ見ない髪色と瞳の色、極めつけは昨日見せてくれた《《紙》》や見ず知らずの道具ね」


今はレナちゃんが、クレパスでお絵描きをしている物を見て溜息をつく。


「信用してもらえるなら良かった。それで俺がこの世界に呼ばれた理由は。この世界に居る『邪神』を倒してもらいたいんだって神様が」


そう言うと昨日のダメ女神が現れた。


「「!?」」


「初めまして人の子よ、私はマリアンこの世界の神です」


あのダメ女神ってマリアンって言うんだ……そう言えば自己紹介してないや。


「マリアン様ですって!? どうしてその名前を!?」


「お姉様、私たちの神様はアストマリウス様じゃないんですか?」


「それは経典の中で呼ばれている別名です、恐らくこの世界では教皇や王にしか知らされてないはずです」


なんか凄い威厳を持って話してる、昨日の土下座と泣きながら謝ってる姿とは別人だ。


「そうです……でも貴女の事、教皇の手先じゃ無いと証明できることは?」


「そうですね……アミリアが何歳までおねしょしてたか言えばわかりますか? それとお魚が大嫌いとか」


そう言うとアミリアちゃんが顔を真っ赤にする。


「わわわ、わかりました!! 認めます! 認めますからぁぁぁぁ!!」


「それでは、話を戻しましょう、彼は私が教皇に呼びかけ召喚した【勇者】です、最強の強さです!」


そう言って胸を張るマリアン。


「こんなヘラヘラした人が……」


「そんなにヘラヘラしてたかなぁ……」


「胡散臭そうな感じがプンプンでした!」


アミリアちゃんにジト目で見られながら言われる。


「うぅ……酷い……」


「まぁ、優希さんの事は異世界から召喚されたという事。わかっていただけましたね?」


「はい!」


「癪ですが……マリアン様が言うのであれば……」


「さて……わかって貰えたのは良いとして、俺はこの神様の手伝いをしないと元の世界には帰れない訳なんだ」


「それがどうしたのよ……帰るならさっさとお手伝いをして帰ればいいじゃないの」


プイっとそっぽを向くアミリアちゃん対照的に悲しそうな顔をするレナちゃん。


「冷たいなぁ……それで、一つ聞きたいんだけど君達はこの先どうするの?」


「この先?」


「うん、この先の暮らしだね」


「それは……」


暗い顔で考え込むアミリアちゃん、わかってはいるのだろう、このまま停滞しただけじゃ妹を死なせてしまうか、それともあの教皇に捕まって身も心も利用されるだけになるか。


「優希さん……」


マリアンが悲しそうな目を向けて来る、心苦しいけど自分から動かなければ変えられないのは事実だ。


「それじゃあ質問を変えよう、君は将来何になりたい?」


「私は……!?」


考え始めた所で家のドアが吹き飛ばされた。


「あーあ……ったく何でこの勇者様がこんな仕事を……」


「しょうがないでしょ、ここに国家転覆を目論む犯罪者が居るのだから」


「幼き姉妹と聞いておりますが……仕方ないですね片方のみ生きてれば問題無いとの事です。さっさと終わらせましょう」


ずかずかと入って来た三人の勇者が俺達を見つける。


「誰だお前?」


「あれ? コイツ追放された雑魚勇者じゃん」


「雑魚がスラムですか……お似合いですね」


三人の嘲笑を無視して立ち上がる、空間収納アイテムボックスに入れて無かった刀を手に取り二人に笑う。


「じゃあアミリアちゃん、軽い食後の運動して来るから。どうするか決めといて」


「え?」


「という訳でマリアン、場所借りるよ」


そう言って三人の勇者と共に転移した。

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