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第64話:鳳さんと両親の写真。

鳳さんに向き合い、ここに来た目的を説明する。


「それでね、鳳さんに謝らないといけない事があるんだ」


「謝らないといけない事ですか? それはいったい?」


「それは、鳳さんのご両親の事なんだ」


そう言うと鳳さんの目が開かれ、目が合う。


「どういうことですか?」


「えっとね……鳳さんのご両親は生きてるよ」


そう言うと、掴みかかられる。


「何か!! 知ってるんですか!!」


尋常じゃない力で揺さぶられる、視界がぐわんぐわんする。


「ちょちょちょっつ! 頭が! 脳が! シェイクされる!!」


「教えてください!! 教えてください!!」


「ちょっ、すとっぷ……おえっ……」


胃も揺さぶられたせいか朝に食べたご飯が競り上がって来る。


「ちょっ、限界……おろ(以下自主規制)」


◇◆◇◆◇◆◇◆


「すみませんでした!!」


鳳さんにはなんとかぶっかけずに済んだ……その代わり床がたいへんなことになってしまったので魔法で綺麗に掃除をする羽目になった。


「ともかくね、鳳さんのご両親は異世界で存命なんだけど、どこにいるかわからないんだ」


「えっと……でも生きてる事は、何故わかったんですか?」


「それは……今から見る事は内緒にしてね」


「はい、わかりました」


理映りえ! 今来れる?」


「はいはいー、どうしたの優希君?」


羽根を生やした理映が、空中に来た扉から入って来る。


「えっと、説明すると。この人神様です」


「ふぇ? はぃ? ええええええ!?」


そうして一通りの理映についての説明を終え、鳳さんに向き直る。


「という訳で里菜ちゃんのご両親は、異世界で生きてます」


「え? でもそれじゃあ、あのダンジョンは……」


「漫画とかに出てくるミミックってモンスターいるじゃん」


「あぁ、今期のエルフが良く食べられてる奴ですね」


「見てるんだ……」


「えぇ、漫画も全巻揃えてます」


「凄いなぁ。まぁ、話を戻して、あの見れるっていうのは獲物を誘引するための疑似餌みたいな感じなんだ、それにつられて奥まで入った所をがぶりといくみたい」


「そうだったんですね」


「それで、恐らく獲物が一人か二人の時に、自分のとこまで来る階段の入り口を出現させてたんじゃないかな?」


「私も、ソロで回っていたので、恐らくそれに釣られたのかと……」


「まぁ、対策案をゴンさんにも伝えたし、これ以上はいたずらに増えないと追うんだけどね……」


一応ホームページと登録されているメールアドレスに通知が行くのと、世界各地にも情報を伝えてくれるらしい。


「ありがとうございます」


「というわけで異世界を探す為に、鳳さんのご両親の写真が欲しかったんだ」


「そうなんですね……わかりました。ですがアルバムなどは全部実家で……」


「そうなんだ、じゃあ今日退院出来そうなら早く戻ろうか」


「わかりました、では看護師さんを呼びますね」


そう言って枕もとのナースコールを押す。


「そうだ、神様パワーで鳳さんのご両親の生存はわかるのに、居場所はわからないの?」


「それ、私も気になりました」


「えっとね、判断方法なんだけど、死後の魂は一旦僕の元へ集まるんだ、それで判断したんだよ」


「そういう事だったんですね……」


「という訳で、僕もう戻っても良いかな? 今日ちょっと仕事が多くてさ……」


気まずそうに神様が言う、そんなこと言うなんて珍しい。


「すみません、ありがとうございました」


「ありがとう理映、またその内行くよ」


「はーい、待ってるね~」


そう言って扉に入り消えて行った。


◇◆◇◆◇◆◇◆

それから半日ほど鳳さんの検査を待ち、死んでしまった方の体や顔を復元したりしていた。


「それでは、お世話になりました!」


鳳さんが看護師さん達へ礼をする。


「それじゃあ、行こうか、手に掴まって」


「は、はい!」


ぎゅっと掌を握られたのを確認して転移をする、それからすぐに鳳さんの実家へ向かった。


「ここです……」


「…………っつ!」


外観は綺麗だったが室内は、乾いた血が至るとこに付着していた。


「あの事件の当時のままです、私のこの気持ちが消えない様に残してました」


「そっか」


生きているとわかっても、鳳さんは唇を嚙みしめたままだった。


それからご両親の寝室と鳳さんの元部屋があった2階へ向かい写真を探す。


「えっと……両親のアルバムは……ありました!」


鳳さんが見つけた写真を見せて来る。


そこには仲睦まじく笑い合うご両親と、鳳さんが居た。


「私の高校入学時の写真ですね、これならそんなに顔も変わってないので問題無いかと思います」


「ありがとう、大切にさせてもらうよ」


写真を受け取り空間収納アイテムボックスへしまう。


「それじゃあ、鳳さん、行こうか」


「えっと……どこに?」


そのまま、俺の自宅に鳳さんと転移する。


「びっくりしました……」


「あはは、ゴメンね。とりあえず急いでコピーを取りたかったから……」


そうしてスキャナーでパソコンに取り込み大量に印刷する。


500枚くらい印刷したけど大丈夫でしょ……。


「お待たせ、それじゃあ異世界に行こうか!」


「え? ええぇぇぇぇぇぇ!?」


鳳さんの驚きの声と共に異世界へ転移した。

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フリー○ン様wwwww
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