第63話:死者に会えるダンジョン④
ミミックの討伐が終わり室内を見渡しても鳳さんはおろかミミックに食べられた人は出てこない。
「うーん……居ないなぁ……」
「ですねぇ……」
二人も一緒になって探してくれているが、手掛かりも見つからない。
「さくら~そっちあったか?」
悠真君が妹のさくらちゃんに問いかける、すると……。
「何かここにあります!!」
その言葉と共に「ガコンッ」と音が鳴り上に行く階段が現れた。
「よし、じゃあ行こうか……」
「はい!」
「ごくりっ!」
◇◆◇◆◇◆◇◆
◇黄泉比良坂ダンジョン―??―◇
それからひたすらに階段を登るとそこには鳳さんの姿と若干名の探査者、消化されてしまった人たちの骨があった。
「二人共、生きてる人が居るか確認して、俺は今の内に骨とかを回収するから」
「はい!」
「わかりました!」
集まってる骨を大体一人分づつ大きめのビニール袋へ入れていく。
家族の元に帰れますように……。
「優希さん、確認終わりました」
「ありがとう、それで何人生きてた?」
「えっと……3人です」
「ありがとう……」
まず三人の溶けている顔や体の皮膚や筋肉を修復していく。
「よし、それじゃあ、戻ろうか」
「え? でも皆さん寝てますよね?」
「あぁ、それは大丈夫」
転移札を使うと全員まとめてダンジョンの外へ帰って来た。
「はい到着」
「「!?」」
「とりあえず二人は、俺と一緒にいて」
「「はい……」」
「すみません、戻りました。それと救急車と警察の手配をお願いします」
「は、はい!!」
今の内にゴンさんに連絡をすると、出てくれた。
『もしもし、高岡です』
「お久しぶりです、ゴンさん。上凪です」
『おぉ! 上凪君か! 今日はどうしたんだい?』
「鳳さんが戻って来てなかったので、探し行ったら、ダンジョンで亡くなった方と生存者を見つけました、それと【黄泉比良坂ダンジョン】攻略完了です」
『【黄泉比良坂ダンジョン】はそこまで難易度の高くないダンジョンだったと思うのだが』
「それが――」
隠し部屋と恐らくボスであろうミミックの事を伝えると驚いていた。
「それと子供二人を確保してるんですが、二人共ダンジョンに誘引されたみたいだったんです」
『誘引?』
「恐らく今回倒したミミックの特性ですね。獲物を招き入れる特性が出ていてそれに付随してダンジョンも影響を受けたのではないかと思います」
『そうか……それだったら注意しないといけないな……改めてガイドラインの変更をしなければ』
「そうですね……。それで、この二人は影響が無いか経過観察をしたいので、私と一緒に行動してもらいますね」
『ダンジョンの事はそちらが分かっているからね、任せたよ』
「ありがとうございます。それと白骨化した遺体は警察に引き渡しますね、それでそのまま保管をしてもらって、ご遺族の希望があれば体を修復します」
『わかった、ありがとう』
それから警察への引継ぎをしてもらう事なんかを聞いて、通話を切った。
「さて、これで二人は大丈夫」
「「ありがとうございます」」
「ごめんね、色々手伝ってもらって」
二人の頭を撫でるとくすぐったそうにしている。
「でも、優希さんのおかげで、お父さんとお母さんの姿が見れたのでよかったです」
「わたしも、おかーさんの姿がみれたのでよかったです」
少し寂しそうに答える二人。
「そっか、それじゃあ今日は奮発して、美味しいもの食べようか?」
「美味しいもの!?」
「こら、さくら!」
「気にしないで良いよ、明日偉い人に会って話もするしその為に泊まらないといけないし、それに話したいこともあるしね」
二人の戦闘力は高いし、二人次第だがちゃんと学べばかなりの強さになる。
「さて俺は少し警察と救急車の人と話してくるから、待っててね」
「「はーい!」」
◇◆◇◆◇◆◇◆
それからは、いったん家に戻り皆で旅館に泊まりに行き、楽しい時を過ごした。
そして翌日ゴンさんとの話も終わり、帰りの時間になった。
「それじゃあ、二人共、ちゃんと勉強する事」
「「はーい!」」
「小学校を卒業して気持ちが変わらなかった。それか探索者になるならここに電話してね」
会社で使うスマホの番号が書かれた紙を渡す。
「「ありがとうございます!」」
「それじゃあ、ユフィと耀は頼んだよ」
「ん、飛行機、楽しみ」
「まかせてよー」
そう言って二人は飛行機に乗りたがったユフィと案内役の耀と共に帰って行った」
「さて俺は鳳さんが目を覚ますまで待ちかな……」
(今日起きなかったら、ポートを置いていったん帰ろうかな)
そんな事を考えながら戻ると、鳳さん達が目覚めていた。
「鳳さん、おは……もう昼だから、こんにちはだね」
「あれ優希さん? 確か私、お父さんとお母さんの姿を見て……追いかけて階段を降りたら……あれ?」
「ダンジョンのモンスターに食われかけてたんだ、今は討伐して帰って来たところだよ」
「そうだったんですか……ありがとうございます」
そして俺は、鳳さんに向き合い本題を伝える為に口を開いた。