第45話:因縁にけりをつけよう・上
ゴンさんから連絡のあった翌日、今日も学校への登校は中止してリビングで寛いでいた所、綴さんが頭を押さえながらやってきた。
「ごめんね優希君、こんな朝早くに」
「起きてたんで大丈夫ですが……何かありました?」
「お待たせしましタ、お茶でス」
「ありがとう、メアリーちゃん」
「ごゆっくりどうゾ」
メアリーが淹れたお茶を一口飲んで要件を切り出す
「優希君お願いがあるの……」
「どうしたんですか?」
「それがね、久墨被告人の居場所が分かったんだけど……少し問題が発生してね」
「え?マジですか……」
「どうやらテロリストの連中があきらめて無かったみたいでね……」
「それで、どうしたんですか?」
「今公安が動いてるけど旗色が悪いのよ」
「でもアイツ、脚は治したけど……そんなに苦労してるんですか?」
「どうやら新技術の義手と義足を付けてるみたいで、銃弾は弾くわ、爆弾は通じないわで困ってるのよ」
「その義手って何か特別な感じなんですか?」
少し気になって綴さんに聞くと、監視カメラだろうか、逃げている久墨の姿の写真を出してきた。
「言われてるいるのはモンスターの素材を使ってると言われているわ」
よく見るとオーガの腕、オークの腕、リザートマンらしきく脚部がついている。
「なんか猛烈に気持ち悪いですね」
率直な感想を言うと、綴さんが苦笑いをする。
「辛辣ね……」
「いやだって、気持ち悪くないですか?」
「普段モンスターを相手にしてるのに……」
「それはそれ、これはこれです」
きっぱり言うと、綴さんも苦笑いをしている。
「よし、じゃあさくっと倒してきますね」
「良いの?」
「流石に見過ごせないですよ、原因の一端を担ってる身としては」
「それは言いすぎ、優希君の悪い所なんて全くないもの、だからこうして依頼をするのも躊躇してる位なんだから」
「その割には迷いなく来た気が……」
「あはは、それはねぇ……お偉いさんの判断だし……」
「わかりました。今回の件、流石に行きすぎても大丈夫ですよね?」
「それを大丈夫とは言えないのが日本の法律だけど……」
「ともかく行きましょうか、耀、エアリス、メアリーちょっと出かけてくる」
テレビ前のソファーで雑誌を読んでいる耀と、初めての料理を行っているエアリス、それの監督をしているメアリーに声を掛ける。
「いてらー」
「行ってらっしゃいませ、御夕食までにはお帰りになって下さい。今日は私が作るのですから!」
「いっテ、らっしゃいまセ」
綴さんと靴を履いて玄関を出る。
「それで、どうやって行きます?」
「車だけど……」
「場所は?どこらへんですか?」
「えっと……山下埠頭の倉庫よ」
「じゃあ飛んで行きましょうか?」
「え? 飛ぶ? ——ひゃあっ」
綴さんを抱えて、飛翔魔法を発動させる、ここから横浜まで30分位だろう。
「ひゃああぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁ!?」
◇◆◇◆◇◆◇◆
「はい、到着。それでどっちですか?」
「ええと……あっちね……」
生まれたての子鹿の様にプルプルしている、飛ばし過ぎたかも……
「じゃあ早めに済ませましょう、お昼ご飯までには帰りたいですし」
「えぇ……優希君、性格変わりすぎじゃ……」
「まぁ、今までが甘ちゃんでしたから。それで色んな人に迷惑かけたんで……これからは、敵には容赦しないでいいかなと……」
「そうだったのね……これからの優希君は敵も増えるだろうし良い事だと思うわ……」
そうして未だにプルプルしている綴さんに声を掛ける。
「意味ないかもしれないですが……回復魔法かけます?」
「お願い……」