第40話:カフェテリアでごはん
補講もこれで4時間目が終了、という事で皆でお昼ご飯となった。
「おっ、出てきた」
「お疲れ~二人共」
「お疲れ様です、エアリスさん、ユフィさん」
「おつかれ~」
「お疲れ様、エアリスさんにユフィさん」
「流石に長い事机に張り付いていたので疲れましたわ……」
「ん、肩が凝る」
各々久々の授業でお疲れの様だ。
「さて、お昼はカフェテリアに行こうか」
「そうね、ここのカフェテリアの食事は美味しいしね」
「そうなんですか?」
「なんでも、どっかの有名店のシェフを引っ張って来たらしいですね」
「そうそう!前に仲良くなった友達が教えてくれたんだ~」
「へぇ……それは楽しみですね」
「ん、楽しみ」
それからわいわい話しているとカフェテリアのフロアまでやって来た。
「「「「「おお~!!!」」」」」
今日は通常の授業に参加してないので時間がずれている、それもあってかカフェテリアの中は混雑をしているものの、空いているテーブルなども見受けられる。
「それじゃあ、俺はテーブルを取っているから皆買ってきなよ」
「よろしいのですか?」
「大丈夫大丈夫、ゆっくり選んできな」
「はい」
「は~い!」
「ありがとうございます」
「ん」
「お任せします」
そうして皆メニューを見に行った。
「それで、優希は何食べるの?」
「ん~耀に任せる」
「了解、パン、ご飯? 肉、魚? ガッツリ系?」
「ご飯で、肉のガッツリ系で」
「了解、任せて」
短いやり取りだけど、今ので耀は俺が昼に食べたいものを把握してくれたのでお任せする。
「さてと……どこか空いてるかな?」
入り口からは見えないが、半月状に座席のフロアがあるので歩いて行く。
お昼のラッシュは過ぎたとはいえ、グループで座ってる人たちも多い。
(あぁ、ここはスイーツ系も充実してるんだな)
女子のグループが多く、皆ケーキやプリン、中にはパフェまで食べている人もいる。
舌鼓を打ってる人たちを見ながら歩いていると丁度良く、10人掛け位の長机が空いたのでそこに陣取る。
空間収納からウェットティッシュ等を出して拭いていると、皆が戻って来た。
「優希、お待たせ~」
「ありがとう、どうだった?」
「中々いいわよ、お肉もお魚もあるし、うどんやラーメン、後はハンバーガーとかもあるわ」
「凄いな、そのラインナップ」
「それにスイーツも結構色んな種類があるし、結構値段もリーズナブルなのよね」
「だからか、皆がああなってるのは」
エアリス達を見るとスイーツコーナーを見て来たのか、凄くほくほく顔の皆が居る。
「はぁぁ~美味しそうなデザートがあんなに……」
「ん、楽しみ」
「兜塚さんってあの有名パティシエさんだよね?」
「そうですね、昔巴ちゃんも教えてもらってました」
「巴ちゃんって凄いわね……」
「私もびっくりしました、聞いてみたら凄い人に習ってるとは言ってたんですが……」
皆スイーツの方に目が行ってるらしい、どうやら凄い人が作ってる様だ。
「それで耀は、何を買ってきたの?」
「えっとね……私がさばの西京焼きで、優希のは炭火焼グリルセットにしてきました」
「さっきから良い音が鳴ってたのはこれか……」
耀が目の前にグリルセットを置く、俵型のハンバーグにエビフライとメンチカツ、グリルチキンと厚切りベーコンにウインナー、肉満載だがちゃんとニンジンやブロッコリーといった野菜も乗っている。
「凄いな、この量が学食で食べれるのか……」
「しかも驚くなかれ、それで700円なのよ。ライスとスープ付きで」
「原価率ってなんだろうと思わせるな」
「そうねぇ……私の方も凄いわよ……」
耀の方を見てみると、鯖の半身が西京漬けに、煮物と葉野菜の小鉢が二つが乗っている、それにちゃんと味噌汁やご飯もついている。
「そっちも、美味しそうだ」
「しかもこれで500円、日替わりの焼き魚定食だからランダムらしいんだけどね、凄いわ」
「いやぁ……凄いな……」
他の皆を見てみると。
春華ちゃんはグラタンセット。
鈴香とエアリスがラーメン。
ユフィがカレーとサラダ。
冬華がハンバーガーだった。
しかもどの料理も本格的なもので、かなり美味しそうだ。
「しかもあれ、大体ワンコインぐらいなのよ」
「凄いな……」
このカフェテリアのポテンシャルに驚いていると、冬華と目が合った。
「どうしたの? おにーちゃん?」
「あぁ、メニューの凄さもだけど、美味しそうだなーって思ってね」
「そう? じゃあ少し食べる?」
「良いのか?」
「うん、デザートも食べたいし、少し食べて欲しいな♪」
そう言って、目の前にハンバーガーを出してくる。
「ささっ、がぶっといっちゃってよ」
ぎりぎり口に入るサイズのバーガーを持ってかぶりつく。
「んん!? 美味しい!」
口の中に広がる肉汁とソースの味、それをマイルドにするレタスと厚切りにしたトマトの味が口の中を駆ける、美味すぎる……
そのまま皿に戻して冬華に返そうとしたら、冬華が横からそのままかぶりつく。
「んんっ~!! なにこれ超美味しい!!」
口の端にソースを付けながら絶賛する。
「あぁっ、冬華ソースが垂れる垂れる」
慌ててバーガーを置いて、口の端についたソースを手で取り、そのまま舐める。
「うん、肉もだけどソースが美味しい、つぎはこれでもありかなぁ……」
そんな事を思っていると、皆がこちらを見ていた。
「やられましたわ……」
「その手があった」
「いいなぁ……」
「レンゲで間接キスならいけるか?(ボソボソ」
「あはは……」
その後は言うまでもなく、皆が俺にあーんをする戦いが始まった。