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第31話:捕虜の命

皆とのいちゃいちゃで心を休めていたら、宮田総理やシド様達がいつの間にか居てなんか凄いものを見る様な顔をしていた。


「なんだろう……気を張ってる私達が、間抜けに見えて来るな」


「そうだな……まぁ英雄とはかくあるべきで、こうしている姿に人は憧れを抱くものじゃしの」


「はっはっはー、流石優希じゃな、誰が見ても羨む様な姿じゃよ」


「確かに男の憧れの最高点ではあるよね、可愛い女の子に囲まれるなんて」


「父さん……それ母様に言って良いですか?」


「ちょっと待った、巴ちゃん!! それをされると私の命が……」


「冗談です♪」


最近所々強かになってる巴ちゃんが俺の膝上から方厳さんを弄る、まぁかんざしさんみたいな人が怒ったら怖いだろうしなぁ……


「オホンッ……とりあえずここに来た目的を話そう」


そう言って宮田総理が手近な椅子に座る、俺達も流石にばらばらに座る。


「どうゾ、ありもので申し訳無いですガ、お茶になりまス」


「おっ、おお!? すまない、ありがとう」


いつの間にか宮田総理の近くに寄っていた、澄まし顔のメアリーが。これまたいつの間にか用意してた、カートに乗せたお茶を、皆に配っていく。


「ありがとう、メアリー」


「はイ、とんでもないでス」


そう言ってしれっと俺の隣に座るメアリー、それを見てその手があったかと驚き顔になる嫁達。


「兎も角、話を続けよう。先ずは今回の救出ありがとうと感謝の言葉を贈らせて欲しい」


「いえ、巴ちゃんのついででしたので」


「それを喜んでいいのか分からんぞ、ワシらは……」


「やだなー冗談ですよ、救出相手には皆さん含まれてましたし、何にしても総理とシド様は最優先です。巴ちゃんには自己防衛用の魔道具は渡してありますし、その魔道具だって私の仲間が作った物です、それをちゃんと信頼してるので」


「確かに、あの時使った力で弾は飛んで来なかったね、納得だ。それで次なんだが、こちらが本題だ」


居ずまいを正してこちらに向き直る宮田総理、真剣な顔とも取れるし気まずいという顔でもある。


「先の上凪君達との約束のあった、テロリスト内の数名の身柄引き渡しは撤回とさせてもらわざるを得なかった」


「得なかったとは……どういう事でしょうか?」


エアリスが、真剣な顔で問いかける。


「すまない。一度彼らを、法でしっかりと裁定しなければいけない」


「法治国家ですから仕方ないのはわかりますが、どうして反故にするのでしょうか?」


「すまない、これには理由があって……」


「よいよい、ミヤダ殿これからはワシが話そう」


宮田総理の言葉を遮ってシド様が喋り出す。


「まず、今回の件。日本国からリーベルンシュタイン国への正式な謝罪と賠償といった形となる、その上で洗脳とはいえテロリストに加担した者は両国の法で裁かねばならない。という事で日本での裁判の後、我が国に移送してもらいそこで裁判をするという形になった」


「そうですか、それでは仕方がありませんね……」


「まぁ建前はそういった形でり行い、我が国では奉仕刑ほうしけいとするつもりだ」


「あれ?エアリスの国での奉仕刑って何をするの? 労働?」


「はい、一般的には鉱山や、国営農地での無報酬労働になりますね」


「そっか、まぁ命は助かるし悪い話じゃないかな?」


「勿論それだけでは無いぞ」


「えぇ、日本国も恐らく執行猶予を付けた状態になりますから、実質異世界での半永住と言った形になります」


「それと、ユウキの会社? という物があっただろう?」


「はい、魔道具や魔法鎧を製造していく会社の予定ですね」


「その会社という物を、我々の国で支援するという事にしたのじゃよ」


「えっと……それって……」


「なんじゃまだ感が鈍いのぅ……そんなんで会社がやって行けるのか、優希よ……」


「あはは……実権は全部巴ちゃん任せになりそうですけどね……」


「まぁ、という事で、ワシの国からは。こちらの世界を詳しく知っている者を貸し出そうという訳でな、丁度奉仕刑になる者達が居て良かったわい」


「つまりそれって……」


「ほぼ恩赦おんしゃみたいなものだね」


苦笑いしながら宮田総理が答える。


「無論、異世界に居る間も、刑の進行はするから。その奉仕刑次第ではほぼ刑罰のすべてを異世界で消化する事になるね」


「とまぁ、ここまでがワシらの描いた流れなんじゃが……よいかのう?」


「そうですね、最良だと思います」


「そうですね、いつもこうして公務もてきぱきとやって頂けたら幸いなのですが……」


「それは言わんでくれ、エアリスよ……」


まぁ何にしても、状況はいい方向に進んだ様だ。


「それと上凪君。申し訳無いが、これから本来予定していた記者会見をやるつもりでね」


「やるんですか?」


「あぁ、テロがあった状況とはいえ。全員が無事、かつこの場に居るのであればやらないという選択肢が無い、国家としてはテロに屈せず無事撃退出来たアピールもあるしね」


皆を見るとしっかりと頷いてくれた。


「わかりました、それなら受けましょうか」


「そうしたら会見は夜にしよう、場所もここの予定だったがホテルの大広間を借りてしまおう」


「わかりました、それでしたら連絡を……」


「あぁ、後で直通の電話が出来る様に、機材を手配しよう」


「わかりました」


「それでは、また夜に」


宮田総理はそう言うと、そのまま出て行った。

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