第25話:生き返らせられるので大丈夫です!!
それから先入りしていたエアリスの元に転移して、エアリスと巴ちゃんと合流する。
話し合いが行われる迎賓館まで移動した後、控室でアル様の事を話すとエアリスは大きなため息を吐いていた。
「お父様……年甲斐も無く……」
「で、でもお子さんの性別によっては後継者問題も何とかなるんじゃないですか?」
「そうね、元々私とユウキ様の間に生まれた子が男子なら次代の王になる訳だったし、子供と離れ離れになる事が無くなる分いいとは思うのですが。その経緯を聞くと子供としては、年甲斐も無くはしゃいだ父様が恥ずかしいと思うんですわ……」
「あはは……確かに……」
「でも巴さんも同じような物でしょう?」
「そうですね、私と優希さんの間の子供が男の子なら紡家の次代の当主に、女の子なら婿養子を取ってという事になりますね」
「どこも大変ねぇ……」
「そうですね……」
「あはは……」
「という事で、ユウキ様♪」
「こっ、子供は最低三人お願いしますね!」
「エアリスはともかく巴ちゃんはまだ世間が許してくれないでしょ……とゆうか俺が捕まる」
「私と春華ちゃんと冬華ちゃんをてっ、手籠めにしといて!」
「言い方!! 同意の上でしょ!?」
その言い方だと、俺が襲ったって事になっちゃう!!
「でも、そういえば優希さんの年齢はどうなってるんですか?」
「それ、私も気になります!」
「この流れで年齢の事を聞かれると怖いんだけど……今は18歳って扱いだね」
「一応結婚出来る年齢ですね」
「こちらの世界は結婚に年齢制限が必要なんですね……」
「確かに……異世界じゃ年齢関係なく結婚してたしね」
「異種族同士じゃ100歳差なんて普通でしたからね」
そんな事を話していると、シド様と厳徳さんと方厳さんがやって来た。
「おお! エアリス、元気にしてたか、ひでぶっ」
「おお~綺麗な一撃ですね」
巴ちゃんが感心する程、思い切り振り抜いた一撃が、シド様の右頬を撃ち抜いた。
そのままギャグマンガの様に吹き飛ばされるシド様、南無南無。
「全く……このクソ父様は!」
まぁ、確かにエアリスが怒るのも分からない訳じゃない、異世界の人族じゃ30代にもなれば高齢出産扱いになるし。
「ま、まぁエアリス。一旦落ち着いて、それ以上やるとシド様が死ぬ」
「生き返らせられるので大丈夫です!!」
「一応、この世界じゃ故意の殺人は駄目だからね」
「仕方無いですわね……『ハイヒール』」
シド様に回復魔法をかけるエアリス、まぁ本気で殺すつもりは無いだろうしね。
「シド様立てますか?」
「おーいてて……ユウキよありがとう」
「あ、シド様、帯剣は不味いので、こっちの刃を落としたの使って下さい」
空間収納から、同じ装飾の剣を取り出して渡す。
「そうなのか、まぁお主たちが居るから心配は無いか……」
入れ替えた剣を受け取り空間収納にしまう、後は一応これを渡しておくか。
「これ、5分間だけ使える防御魔法を込めた簡易的な魔道具です、実験品なので使わないに越したことは無いですが……」
シド様には指輪型、厳徳さんと方厳さんにはラペルピン型に魔石を加工した魔道具を渡す。
「不意打ちの一撃は俺が防ぎますが、5分間は絶対防御が可能です、こっちの世界で言うと10式戦車の砲弾なら魔法攻撃と合わせて防げますね、異世界風に言うなら龍之閃光を防げます」
「なんと……」
「えっと……よくわからないけど戦車で撃たれても大丈夫なんだね?」
「全く……お主は”ちーと”が過ぎるわい」
「あぁ、そうだ。その魔道具【蛟】の魔石使ってるんで値段はウン十億しますから下手に使わないで下さいね・使い切りですし」
「ウン十億って……」
「お主はどんどん凄くなるのぅ」
「金額は二人を見るとわかるが、これは国宝クラスじゃろ……」
三人とも三者三様で唖然としている。
「そうだ、エアリスと巴ちゃんこっち来て」
「はい」
「わかりましたユウキ様」
二人に同じ様な魔石で作ったネックレスをつける、まぁ巴ちゃんの方は半永久的に使える様に世界樹の実で作ってるんだけどね。
(また始祖様に貰いに行くか……ユフィの結婚式の写真も長老達にあげたいし)
大分こなれて来た手つきでネックレスを、付けると二人共嬉しそうにする。
「ありがとうございますユウキ様!」
「ありがとうございます優希さん!!」
「二人にも同じ効果を持ったネックレスだからね、後巴ちゃんの方は半永久的に使用可能だよ」
「そうですね、巴さんの守りは厳重な方が良いですから」
そんな事を話していると、扉がノックされ綴さんの声が聞こえた。
「おはようございます、皆様揃っていらっしゃいますね?」
その言葉に一同頷く。
「では、ご案内致します」
そうして綴さんに連れられ、会議室の様な……ホールの様な場所に通された。
そこには現職の総理大臣の宮田さんと名前は分からないけど外務大臣でテレビに出てた人が居る他は、数名の職員とゴンさんが居る位だ。
「本日は、真にありがとうございます、私は日本国の総理大臣を務めております宮田 良一といいます」
「私はリーベルンシュタイン国の国王でシルヴェーラ・ドゥーデール・リーベルンシュタインだ、よろしく頼むミヤダ殿」
次に外務大臣がシド様の前に出る。
「私は日本国の外務大臣を務めております、橋池 慎一と申します、よろしくお願いいたしますシルヴェーラ様」
「こちらもよろしく頼む、ハシイケ殿」
それから各々、簡単な自己紹介をして着席をする。
「それでは、日本国・リーベルンシュタイン国双方の国交樹立の為、会議を始めたいと申します」