特別編:いい夫婦の日⑤
鈴香とのインタビューを終えた後、仕事がまだある鈴香と別れ俺はユキを待っていた。
そうして待っていると、リムジンが目の前に停まった。
巴の家で見た事ある使用人さんが降りてきて、後部座席のドアを開けると
おめかししたユキが降りてきた。
肩出しした薄いピンクのブラウスに、同じピンク色のサイドフリルのスカート、足元はニーハイソックスにブーツといった服装で、髪の毛は先端に方にかけて薄いグリーンのカラーが入っている。
普段と180度違うファッションでびっくりしたがユキの可愛らしさを損なってない、しかも薄ーく化粧までしてる。
「ど、どうですか? 旦那様?」
「うん、すっごく可愛いよ。ユキは普段グリーン系の服が多いけど、やっぱりピンクも似合うね」
頭を撫でながら褒めると、ユキの顔が赤くなってくる。
「優希様、受付などは済ませておきましたので、そのまま会場の方へ行っていただいて大丈夫です」
使用人さんが受付などを済ませてくれたので、ユキと手を繋ぎながらスイーツビュッフェへ向かう。
「でも……ユキは良かったの?」
「はい! この間テレビで見てとても美味しそうだったので!!」
「へぇ……でも今の時期だとハロウィンも終わっちゃったし、クリスマスもまだだしなぁ……」
「ふっふっふー今回は、旦那様も驚きのスイーツビュッフェです!」
「なんだろう……思いつかないな……」
そう話していると会場に着いたので案内役の人に席まで案内される。
「へぇ……いちごのスイーツビュッフェかぁ」
「そうです! 普通いちごのスイーツビュッフェは大体が春になってからなのですが、ここはこの時期からやってるんです!!」
えへんと胸を張るユキ、尻尾もぶんぶん振っていてご満悦の様だ。
「それでは、こちらのお席をお使いください」
「「はい!」」
それから少々の説明があり、一礼して案内役の人が離れたのを見計らって先程からそわそわしていたユキが立ち上がる。
「旦那様! 行ってきますね!!」
「あぁ、危ないから走らない様にね」
ぴゅーんと効果音が鳴る位のギリギリを攻めた早歩きでスイーツに飛んでいくユキを横目に俺も席を立つ。
さて……ユキはミルクティーで良いかな?
席を立ちドリンクの置かれている所へ向かうと、どうやらバーカウンターでユキの好きそうなものがあったのでそちらへ向かう。
「すみません、スペシャルドリンクを二つお願いします」
「はい、畏まりました、お時間を頂きますがよろしいでしょうか?」
「はい、大丈夫です」
「では少々お待ちください」
◇◆◇◆◇◆◇◆
そうして席に戻ると、テーブルの上が色とりどりのスイーツで埋まっていた。
「随分、持ってきたなぁ……」
「はうぅ……見てる内にどれもこれも食べたくなってしまって……」
「それならしょうがない、どれも美味しそうだもんね」
「はい!」
そう言ってパクパクと食べ進めるユキの顔は満足気だ。
「それとこれ、スイーツビュッフェで出してるスペシャルドリンクだって」
俺はユキの前に、先程貰って来たストロベリーフラペチーノを差し出す。
「ふぉおおおお! 美味しそうです!!」
ユキの尻尾がぶんぶんと振られる。
「いちごのフラペチーノにチョコソースといちごのフレークをかけたんだって」
その説明が終わる前にユキはストローに口を付けていた。
「————んくっ……!?!?!?!?」
ユキの尻尾がピン立ちして耳がぴこぴこ動き出す、これは相当美味しかった様だ。
「旦那様、すっっっっっごく美味しいです!!」
瞳を輝かせながら頬を上気させ喜ぶユキ、それを見るだけで連れて来て良かったと思える。
「あっ、でもユキ。程々にしないと、ご飯食べられなくなっちゃうよ」
「うぅ……そうですよね……」
「うん、だから俺にも食べさせてくれるかな?」
「はい! お任せ下さい!! ではまずケーキから、あーんです!!」
そう言って元気にケーキの乗ってるフォークを差し出してくるのであった。
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ユキと、スイーツビュッフェを堪能した俺は次の順番であるエアリスの指定した場所へ到着した。
「えっと……写真館?」
どうやら貸衣装で撮影が出来るコスプレ写真館の様だ、中に入るとカウンターに居た女性と目が合う。
「いらっしゃいませ、ご予約の上凪様でよろしかったでしょうか?」
「はい、えっとエアリスは……」
「エアリス様でしたら、先にご来店なされまして、只今ご準備されております」
「そうでしたか、それで俺は?」
「旦那様はこちらへどうぞ、お衣裳と、メイクをさせていただきます」
「はい、わかりました」
そのまま入って行くと中にはドレスとウィッグがあった。
「あのーこのドレス……サイズとか諸々が合わないと思うんですが……」
「えっと、エアリス様よりこちらを飲んでいただくようにご指示を頂いておりまして……」
手渡された小瓶には、水色の液体が入っていた。
警戒して鑑定をしてみるが特に問題は無いとの事だった。
「まぁ良いか……」
蓋を開けて一気に呷る、すると視点が……下がっていく!?
「まぁ……これは……」
「えっ、どうなったんですか俺!?」
係りの人が鏡をもって俺の姿を映すと……
「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁ!!!」
小学生位の俺が居た。
◇◆◇◆◇◆◇◆
それからあっという間に着替えさせられメイクやウィッグを付けられた俺は男装をしたエアリスと対面していた。
「ユウキ様!!」
そのまま抱き付かれ思い切り抱きしめられる、騎士服の装飾が痛い。
「エアリス……これはどうゆう事?」
困惑する俺に若干ヤバい目をしたエアリスが答える。
「リエ様に協力していただきまして、数時間ですが肉体を子供に変化していただきました」
「そうゆう事だったのか……」
「駄目でしたか?」
「いや、駄目じゃないけど……なんか落ち着かなくて……」
そう、俺は今下着を含めたALL女装スタイルなのだ。
「大丈夫です、その下着もドレスも私のですから」
「ちょっ!?」
なんでそんな冷静に伝えて来るの!?
「それはそうと! 時間もありませんのでお写真を撮りましょう!」
そうして騎士と姫(俺の)コスプレ撮影が始まった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
そうして用意された子供服に着替えて、写真の仕上がりを待つ。
「最後の方は、ユウキ様もノリノリでしたね♪」
「あはは……なんかもうこのまま楽しんじゃえ!! ってなったからね」
「あぁ……でも、ショタなユウキ様……あの時に戻ったみたいで楽しいです」
「ショタとか言わないでくれ、とゆうかどこで習ったんだそんな言葉……」
「耀さんからですね、あとユウキ様の秘蔵コレクションからおねショタ物の同人誌を読みました」
「ちょっ待てい!! 俺の秘蔵って!?」
「はい、倉庫を探していたら丁度ありまして……」
「丁度あったって!? ばれない様に厳重に保管してたのに……」
そうゆうヤバいのは、鍵付きのキャリーバッグに入れといたのにどうして……
「それは……ユフィが……」
「ユフィいいいいいいい!!!」
とゆう事は全員に俺の性癖が周知済みなのか!?
「やばい……もうお嫁に行けない……」
「その時は私が貰ってあげます♪」
そうして俺の心が大ダメージを受けていると、写真が出来上がった様なのでアルバムを渡される。
「ありがとうございます♪」
「いえいえ! こちらも貴重な体験をさせた頂きました!」
ガシッと握手をしている店員さんとエアリス、俺のショタ化によって友情が芽生えていた……
「それではユウキ様♪ このまま夕食会場に向かいますね♪」
「ちょ……まって!?」
いつの間にか転移札を持っていたエアリスによって、強制連行されたのであった。