第24話:神楽組、帰還
みんなと結婚指輪を買いに行った翌朝、今日はエアリス達異世界が存在する事の発表と、俺達、政府公認の一夫多妻制の第一例として婚約会見。
おまけに世界初の上級ダンジョン攻略の記念式典の為にシド様、同じく式典でデビューするアイドル探索者の神楽組の面々を迎えに行く。
出発の為、軽くカップ麵辺りを食べて行こうと思いまだうっすらと日が昇り始めたリビングへ向かう、するとそこに人影が居た。
「あれ? メアリー、もう起きてたんだ」
「はイ、優希様が朝早いと聞いていたのデ、簡単な朝食をと思いましテ」
そう言って数種類のサンドイッチとカフェラテを用意してくれた。
「うわぁ、美味しそう!」
「はイ、それではどうゾ」
目の前に座って薄っすらと微笑みながら、俺の食べる姿を見るメアリー、やけに上機嫌なんだけど俺が食べるのを見てて楽しいのか?
その後もメアリーに見られながら朝食を食べ終える。
「ありがとう、美味しかった」
「それは良かったでス」
「それじゃあいって来るね」
「はイ、お気をつけテ」
メアリーに見送られながら異世界へ飛んだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「よっと……」
異世界の俺の部屋へ降り立つと、メイド長が現れた。
「ユウキ様いらっしゃいませ」
「うわぁ! びっくりした!」
「天井裏で、お待ちしておりました」
「ついには天井裏に忍ぶ事を隠さなくなりましたね」
とゆうかもう忍者じゃないか……
「それでは、こちらへどうぞ。神楽組の皆様と王様は既に準備済みです」
粛々と扉に近づき開ける、もう物音ひとつしないんだけど……
「アル(アルティティー)王妃は?」
「王妃様は、ご懐妊が確認されたので今回は……」
「え゛? マジ?」
「マジです、大マジです」
「いやいや、だって俺達帰ってからそんなに時間経ってないですよ?」
「戦勝してから大分ハッスルしてたので……」
ハッスル言うな……
「それに、ご懐妊を確認する魔道具がありますので、それで陽性が出ましたね」
んな《《異世界版妊娠検査薬》》なんてあるんかよ……
「一応王家の秘宝ですね、世継ぎの問題は重要ですから」
「あはは……」
「それで、先に神楽組の皆様を見に行かれますか? 丁度朝の鍛錬の時間ですので」
「わかりました、お願いします」
併設された訓練場に出ると、丁度ティアさんと神楽組の4人が模擬戦を開始した様だ。
「菫、行って!」
「わかった! はあああああああ!!」
「————」
天春さんが剣と盾でティアさんに切りかかる、それを援護するように夏風さんと冬爪さんの矢が襲い掛かる。
「良いぞ良いぞ! いい連携だ!!」
鱗を備えた腕で剣戟を抑え、もう片手で夏風さんの矢を止め、尻尾で冬爪さんの矢を弾く。
その隙を見逃さない様に秋谷さんが巨大な戦斧の攻撃を入れる。
「はああああああ!!」
すると戦斧が当たる瞬間、ティアさんが体を捻り戦斧を蹴り飛ばす。
「「くっ!!」」
「————」
それを補う様に冬爪さんの口元に魔法陣が現れる、天春さんと秋谷さんの体が光って受けた傷が癒える。
「ありがとう翠!」
「ありがとう翠ちゃん!」
そうして二人共ティアさんに切り込み攻撃の隙間に夏風さんと冬爪さんの連携が入る。
そうして約5分程戦うと、鐘が鳴った。
「よし、終わりじゃ!」
「ふう……」
「づがれだぁ~~」
「まだまだ届かないわね~」
「(がっくし)」
各々疲れた様に座り込んだり膝をつける。
「皆様、ユウキ様がいらっしゃいました」
「あ! 上凪さん!」
「おひさー 上凪君」
「そういえば、今日でしたわね~」
「(ふりふり)」
迎えに来たよ、調子はどう?
「いやーあはは……見てのとおりです……」
「まったく歯が立たない」
「この数日で強くなったと思ったんですけどね~」
「(こくこく)」
「まぁティアさんはこっちの世界じゃ最強だからね」
「そうじゃのぅ……簡単に負けたらぁ……妾の沽券に係わるわぁ……」
「あっ、ティアさんおはようございます」
出会い頭にティアさんに回復魔法をかける、最強とはいっても傷つかない訳じゃないからね。
「おおぅ……助かるのぅ……お主の回復魔法は心地よいのじゃぁ……」
回復し終わるとティアさんは満足げに城内へ入って行った。
「それじゃあ、軽く準備終えたら集合しようか、どのくらい時間が必要?」
「そうですね、一時間程あれば」
「私もそのくらいでー」
「間に合うかしら~」
「ん!(両手で丸を作りながら)」
「それじゃあ、また後でね」
それから準備を終えた皆と後、シド様と合流してこちらの世界に飛んだ。
「そうしたら、シド様は巴ちゃんの家の人に任せて……他の皆は一旦鈴香の家で良いかな?」
「はい」
「おっけー」
「お願いしますわ」
「(こくこく)」
「そう言えば、ユウキよ、お主の国の行政官と会うのは何時頃じゃ?」
「そうですね、10時ですので後2時間程したらになりますね、移動は1時間程かかるのであんまり準備する時間はないですよ」
「そうか、先にエアリスと会っておこうと思ったのじゃが……」
「エアリスは準備したら俺と一緒に行きますので、ちょっと早めに到着しますよ」
「わかった、頼んだぞ」
「任せて下さい」
そう言うとシド様達は巴ちゃんの家の人に連れて行かれた。
「さて……エアリスに話さないとなぁ……」
全く……いきなりの面倒事をやってくれたなぁ……
明日から昨年の11/22・23に投稿した。いい夫婦の日短編を投稿します。
ですので2日間けい6話程本編がストップしますのでご了承ください!