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第21話:婚約指輪⑤<ユキ・メアリー編>

ユフィの指輪を選んだあと、店内を見ていると先程とは打って変わって一つの宝石にくぎ付けになっているユキが居た。


「ユキ、どうしたの?」


「あっ、ユウキ様! 見て下さい!」


そう言ってユキが指差したのは2種類の光に交互に照らされている指輪だった。


「へぇ……これは凄い」


「です! こんなのお城の宝物庫でも見た事無いです!!」


そう言って目を輝かせるユキ、どうやらかなり気に入った様だ。


「ふむふむ……【冬暁】《ふゆあかつき》って言うんだ、宝石はアレキサンドライト?」


「あれきさんどらいと? ですか?」


「うん、えっと読めるかな?」


スマホでアレキサンドライトを調べるとその説明が出て来る。


「はうぅ……少し難しい字がありますが……なんとなくは……」


でもこの宝石はユキにぴったりかもしれないな。


「ねぇユキ、この指輪は気に入った?」


「はい! この色が変わるのがとても面白いです!!」


「俺も気に入ったな、こっちの光だと、ユキの瞳の色に見えるし」


ユキの顔と指輪を見比べる、ユキの瞳のが綺麗な色をしているけど。


「ユウキ様? どうかなされましたか?」


「いや、ユキの瞳の色は綺麗だなぁと思ってさ」


そう言うと珍しくユキが顔を赤くする。


「はっ……はい……ありがとうございましゅ……」


そんな照れてるユキの頭を撫でつつ考える。


(ユキの普段の姿だと、指が細すぎるんだよなぁ。かといって獣化した時に指輪がそのままだと壊れちゃうし……)


「うーん……うむむ……」


そんな事を考えて唸っているとユキが服の裾を掴んで来た。


「えっと……ユウキ様、お値段が高い等でしたら私は他のでも構いませんよ……」


どうやら別の勘違いをさせてしまった様だ。


「あぁ、それは大丈夫なんだ。問題はお金じゃなくてユキは【獣化】するだろ? その時に普段のユキの指のサイズだと、壊れちゃわないかなぁなんて思ったんだ」


「そうですか、そうですよね……大きなったらこわれちゃいますもんね……」


そう二人でうんうん唸ってると、神様がひょっこり俺達の間に顔だけ出してきた。


「優希君、それなら任せてよ」


「あれ神様?」


「こっ、こんにちは!」


「はい、ユキちゃんは挨拶出来て偉いね~」


そう言ってユキの頭を器用に撫でる神様。


「それで、その任せてとは?」


「あぁ、以前僕があげた指輪があるじゃん。アレと同じように、後で魔法式を書き込んであげるよ。そうすればサイズが自動で調整できる様になるよ」


「ホントですか!?」


「それは、願っても無いですね」


それを聞いたユキが耳をぴこぴこさせ喜ぶ。


「じゃあ、特に問題無いですね。ユキ指輪は夜の渡しになるけど大丈夫?」


そう言うとユキは抱き付いてきて尻尾がぶんぶんと振られる。


これはとてつもなく喜んでいるときの表現だ。


「それじゃあ、また夜にね~」


そう言って神様は戻って行った。



◇◆◇◆◇◆◇◆


「じゃあ、他の人を見て来るね」


それからしばらく抱き付いていたユキが離れると、俺は次の人の所に向かう。


とゆうより先程から覗いていたメアリーに声を掛ける。


「メアリーは決まった?」


「あっ、優希さン。えぇ、一応ハ」


「そうか、どんなの?」


そう聞くとメアリーは「こちらでス」と言って、狭い通路を進んでいく。


「えっと……こちらでス……」


そう言ってメアリーが指差したのは翼をモチーフにした指輪で、中央にはオパールが嵌め込まれていた。


「うん、良いと思うよ」


なんとなく翼のデザインを選んだ理由が分からないでもないけどにっこりとしながら返す。


「うっ……見透かされてる感じガ……」


「大丈夫、ちゃんとわかってるから」


「なんかムカつきますネ」


「でも、好きなんだから良いんじゃない?」


「うっ……はイ……」


「だってさ、神様」


「いやー照れるなぁ……」


呼びかけると頬をかきながら、俺達の間に顔を出してくる神様。


「うぅ……」


「でも、嬉しいよ。てっきり僕は嫌われてると思ったから……」


「いエ、そんな訳無いですヨ。優希さんと一緒デ、とても感謝してまス」


「そっか……ありがとう……」


その言葉に微笑みを浮かべてメアリーの頭を撫でる神様、形は違うとはいえ親子の様だ。


この光景を見ていると、異世界での頑張りは無駄じゃなかったんだなと思えるし、メアリーの事が更に愛しくなってくるから不思議だ。


そうしてしばらく、二人を見ていたら神様が切り出した。


「それじゃあ、僕はもう行くね、あまりここで長居するのもだし」


「はイ、ありがとうございましタ」


「わかりました、ユキの件もありますしまた夜に」


「じゃーねー」


そう言って神様は戻って行った。


「さて、指輪の調整をしてもらいますか」


「はイ、そうですネ」


清々しい気持ちでカウンターを向くと、凄まじい顔をした金守君がこちらを見ていた。


「あーまずったかも……」


「あはハ……そうですネ」



今回は神様繋がりで纏めました。

以下設定です。


ユキ:【冬暁】《ふゆあかつき》

→色の変わるアレキサンドライトを使用した指輪、ユキの瞳の色である緑色から変化するのがユキを表しているから。

名前は一年で一番澄んだ空気の日が昇る様がアレキサンドライトの緑から赤に変化するのにマッチしていたから。

アレキサンドライトの石言葉:秘めた思い・情熱・誕生・高貴

ユキ自身の生まれや、戦闘スタイル、優希への感情からこれにしてました。


メアリー:【翼】《つばさ》

翼をモチーフにした指輪で素材に銀が使われている、宝石はオパールを使用。

オパールは神の石とも言われていて初期設定にあった天使の部分を引き継がせました。

神様がくれた翼を大事に思ってたり、実は神様をもう一人の親だと思ってたりするので翼のモチーフにしました。

オパールの石言葉:純真無垢・歓喜・希望・幸運・忍耐です

物語に乗せる上として邪神としての設定にした彼女ですが。

皆から一番好かれるキャラになった感が……

そして評されるオパールは自信を様々な色に変える所がメアリーらしいなと思いこの石にしました。


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