第18話:みんなと温泉・下
先に上がった春華達との交代で今度はユフィとユキが入って来た。
「ユウキお兄様!どうですか?」
「どうって……せめて降りて下さい……」
「メアリーお姉様は、胸が邪魔で座れないのです」
「邪魔……」
「確かに、浮いてるもんな……」
その浮いている、すごく大きな胸を見ながらしみじみと言う。
「あノ……流石に恥ずかしいのですガ……」
「あーすまん……あまりに魅力的で……」
「まぁ……見られて困りはしないのですガ……」
そう言いながらメアリーはユキを見る。
「むぅ……メアリーお姉様ずるい……」
「あうぅ……ユキさんハ、その内大きくなりますかラ……」
「良いですもん!こうすれば!!」
空間収納からユキの武器を取り出し【獣化】する。
うん……以前見たけど中々に成長してるんだよね、それも胸の大きさは耀位に、腰はファッションモデルをやっていた鈴香位の細さに、尻はミュリ位の安産型のかなりグラマラスな体型になる。
「どうですか!へへん!」
「うん、いつもは可愛らしいけど、美人だね」
まぁ裸にガントレットはどうかと思うけど……
「ユキさン、錆びたり痛んだりしないとは思いますガ、流石にお風呂に浸けるのは駄目ですヨ」
メイドモードのメアリーが窘める。
「はい……」
【獣化】を解除してガントレットを仕舞うユキ、まぁあれで触られるとちょっと痛いからね。
「ユキはそのままでも、十分愛らしいよ」
頭を撫でながらそのまま肩まで浸からせる。
「はい、じゃあユキ九九を最後まで数えてね!」
「はい!!1×1は1、1×2は2……」
段々と指折りしながら数えるユキ、指折りは必要だけどものの2日で九九をマスターした位は勉強が出来る。
「凄いねユキは」
「はイ、もう既に漢字も書けてまス」
「そうなの?凄くない?」
「えぇ……一応、来年度かラ、初等教育の六年生に編入してもらいますネ」
「おっ、ユキちゃんの話かな?」
メアリーと話し込んでいる身体と頭を洗い終えたユフィがやって来る。
「そういえば、ユキの名前はどうするの?」
「名前って?」
「漢字で書かせる?それともカタカナ?」
「あーそうだね、メアリーはどう思う?」
「そうですネ、まずはユキさんに聞いてからでも遅くは無いかト」
「「それもそうだ……」」
「ユキ?ちょっといいか?」
恐らく九九を数え終わって待っていたユキがこちらを見る。
「どうしました、ユウキお兄様?」
「ユキの名前の由来は教えたよな?」
「はい!雪の様に白い私の髪から連想されたと」
「それでなんだけど、名前は漢字にするか?それともカタカナにするか?」
「それは何か違いがあるのですか?」
「そうだね、公的に登録される名前が決まるわね」
「それでしたら漢字が良いです!!ユウキ様と同じですので!」
「そうか、じゃあ練習しないとな」
「それハ、任せて下さイ。沢山巴さんの家で習いましたのデ」
「そっか、じゃあ任せようかな」
「おねがいします!メアリーお姉様!」
万遍の笑みでメアリーがノックアウトされている。
「じゃあ、春までに勉強頑張らないとな」
頭を撫でていると、湯船でも軽く浮いてるユフィが声を上げた。
「ユウキ、私も学校に行きたい」
「いいけど、どこの学校?」
「ユウキと同じ所、魔力のある技術者が欲しいのと、技術継承の体系製作がしたい」
「そうか……そうなるとカリキュラムとかも変わるだろうし、うーん……ゴンさんに相談かな」
「「「ゴンさん?」」」
「あぁ、今日会って来たダンジョン庁の長官さん、気さくな人だったりエアリス達の戸籍関係でもお世話になるかな」
「そうなのね、じゃあその内会った方が良いわね……」
「ん、わかった」
そんな事を話していると、春華が「夕食の時間ですよー」と伝えに来てくれたので皆で風呂から出て着替えた。
◇◆◇◆◇◆◇◆
その後2泊3日で諏訪湖周辺のお店や観光名所を回ったりして帰宅した。
そしてそれからは、ゴンさん含め政府の高官や議員の方々との話し合いを済ませ。
1週間たった頃である。
「それじゃあ、いよいよ明日だね」
「そうね」
「やっとですね」
「そういえバ、リッカルド様より連絡がありましテ、明日到着するそうでス」
「え?聞いてないそれは……」
「どうやラ、エメラルダさんとレオナルドさんと何故か向こうで下っ端やってル、釘寺さんが来ますネ」
「あはは……あの人まだ向こうに居たんだ……」
そう明日は、エアリス達異世界が存在する事の発表と。俺達、政府公認の一夫多妻制の第一例として婚約会見が開かれる事になる。
名目上、全員婚約者としての表明だけどね。
「そうだ、忙しくて忘れてたけど、あそこに行かなきゃ」
「どこですか?」
「何か必要な物あったっけ?」
「うーんとね、耀と春華と冬華はもう既に持ってるものだね」
「私と春華ちゃんと冬華ちゃんが……」
「既に持ってる物……」
「何でしょう?」
三人が考え始める。
「それじゃあ綿貫さんお願いしても良いですか?」
「はい、以前お話だけお伺いしたあのお店ですね」
「はい」
綿貫さんに伝えておいた場所へ向かうようにお願いをする。
「ユウキ様?どちらに向かわれるのですか?」
「んーとても重要な物を買いに行こうと思って」
そんな疑問を浮かべる異世界のメンバーを乗せ車は走り出した。




