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第16話:ゴンさん

綴さんに案内されて通されたダンジョン庁の長官室には一人の男性が居た。


「やぁ、君が上凪 優希君かね?」


「はい、よろしくお願いします」


「私の名前は高岡たかおか権蔵ごんぞう、ゴンさんと呼んでくれ」


少し怖いけど人懐っこそうな顔でこちらに頭を下げた。


「それで君には、無理をさせてしまったね……今ここで謝罪をさせて欲しい」


「いえ!とんでもないです、今回のダンジョンは簡単な方でしたし……」


「上級ダンジョンを簡単と言いうか……流石だな……」


「いやぁ……俺の仲間達でも一人で突破できる人は居ますし、全員ならもっと楽ですね」


「以前言っていた異世界の人達か……」


「そうですね、俺の身内でもエルフと獣人が居ますよ」


「そうか……考えられないが、本当なんだろうな」


「だから言ったじゃないですか!異世界に行ってたって……」


「流石に信じれる訳無いだろう!仕事を与えすぎて精神が逝ったかと勘違いしたぞ!」


「だったら休み下さいよ~!!」


「わかった……どの道、諏訪にも行ってもらうんだ、4日の出張の内2日は休日にしておくから羽休めして来い……」


「綴さん……上司にそんな口調で良いんですか?」


「あはは!気にしなくて良いんだ、ウチの庁はいつ起きるかわからない災害を常に対策している、そんなとこで細かく敬語やら云々で文句を言っても、堅苦しくなるからね。それに出てこないお飾りの幹部を除けば、綴君はここのナンバー2、彼女がこうゆう態度なら他の者も接しやすくはなるだろう?」


「長官の場合は顔の怖さもあると思いますよ」


「休み減らすよ?」


「すみませんでした!私この後諏訪に向かいますので、準備させていただきます!」


そう言って綴さんは足早に出て行った。


「はぁ……あれで優秀なんだよなぁ……」


ため息をつくゴンさんが、とてもお疲れの様だった……



◇◆◇◆◇◆◇◆

それから長官にエアリス達の入国の事だったり、俺の戸籍が急遽変更された事などを説明され、気付けば18時を過ぎようとしていた。


「それじゃあ何かあったら又来てくれ、対応が出来る事ならこちらでも対応をしよう」


「ありがとうございます、助かります」


「それじゃあ帰りは……」


「あーっと……綴さんを連れて行くので、呼んでいただけると嬉しいです」


「わかった、少し待っててくれ」


そう言って内線電話で綴さんを呼び出してくれた。


「それじゃあ、今日はありがとうございました」


「あぁ、またいつでも来てくれ」


「それでは行ってきます」


そして部屋から見送られてすぐに耀に通話をかける。


『はいはーい、どした?』


「今転移して大丈夫?」


『ちょっと待ってて、ホテルの玄関に向かうわ』


「了解」


スマホの向こうから皆の声が聞こえている、楽しそうで何よりだ。


それから数分でホテルの入り口に着いたとの事で、綴さんと一緒に転移をする。


「おっとっと……」


ホテルの前に降り立つと、耀が浴衣で待っていた。


「ただいま。うん、似合ってるな」


貸し出しの浴衣は普通の温泉浴衣と違って華やかな柄をしていた。


「おかえり。ありがと、綴さんもこんばんは」


「こんばんは、耀ちゃん。部屋取りありがとうね」


「いえいえ~綴さんもお疲れ様です~」


「それじゃあ私、チェックインして来るわ~」


そう言って綴さんはホテルの中に入っていった。


「夕食って何時だっけ?」


「七時半にしたわ」


「そうか……なら風呂に入って来るかな~」


ぐっと伸びをしながら答えると、耀がニヤニヤしてる。


「ん?どうした?」


「いやね~こんなものがあるんだけど~」


そう言って耀は鍵を羽織の袖から出した。


「部屋の鍵?」


「ぶぶっー、はっずれ~」


「じゃあ何だろう……」


「ヒント①特別な場所への鍵です」


「んーわからん……」


「ヒント②家族で入るところ」


家族で入る特別な所……


「そういう事か……」


「わかった?じゃあ行きましょう!」


俺の手を取って歩き出す耀。


それから家族風呂に向かいまったり湯船に入ってると脱衣所が騒がしくなってきた。


「なぁ耀……」


「んー?」


「ここの風呂って何人までは入れる?」


「脚伸ばすと7、8人よね」


(絶対何人か、膝の上に乗るよな……)


「よし!もう出るか!」


「だーめ!ちゃんと皆と入りなさい!」


「ですよね~」


そうして扉が開くと各々がタオル一枚の姿で現れるのだった。


「わぁ!そこそこひろーい」


「そうね、家族風呂と聞いてたから狭いと思ってたけど広いわね」


「ここがこの世界の温泉なのね」


「先程とは感じが違いますね」


「ここ寒い……」


「わぁ!お兄様だ!」


「ユキさん走ると危ないですヨ」


「皆さん……大きくて羨ましいです……」


「あはは……なんかごめん」


「ほらー皆、さっき教えた通りに体洗いなさーい」


耀が湯船から出て洗い場に行く、後ろから見ると眼福だなぁ……


「寒いって言ってたし……『風よ、わが力を使いこの空間を覆いたまえ――エアドーム』」


空気の循環する様な穴をあけて風のドームで覆う、これで寒くは無くなるだろう。


よし、これで大丈夫だろ。

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