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|幕間|広がる反響

◇総務省職員A◇

ダンジョン庁―長官室―


この日俺は人生で最大の後悔をしていた。


「という事で、君の進退に関しては我々は《《特に》》干渉はしないが。今後君の昇進は難しいだろうね」


「はい……」


(どうして俺はあの時あんな事を言ってしまったのだろう……)


「聞いてるかね?」


「はっはい!!」


「何、もし君が我が省庁で働きたいと言うならポストは用意しよう。何……ヒラとしてのスタートだが頑張り次第で、信頼は取り戻せるだろうね」


「はい……」


(どこで間違った?どうして?何で俺が……)


「あぁ……そういえば君は、《《あの》》野党議員の肝入りか……」


ぎろりと睨まれる。


「あぁ……一つ言おう、彼は紡家に婿入りが決まっている。手を出さなきゃ命は大丈夫だよ」


そう言われ背筋に冷たいものが流れた。


「わかり……ました…………」


部屋を追い出され自分の省庁に戻る、すると座席は綺麗に片付けられていた。


「あれ?俺の机……」


「あぁ……部署移動だそうですよ」


そう言って部下に指差された掲示板を見ると、移動部署が、通称左遷部署《ゴミ捨て場》と言われる場所だった。


「あはっ……あはは……ははははは……」


そうして膝から崩れ落ちた俺は、周りの職員から蔑まれるような目で見られ続けた。


---------------------------------

◇上凪チャンネル◇


ユフィと巴が優希に黙って開始した上級ダンジョン配信は同接150万人という、物凄い数を叩きだしていた。


そしてカメラの前でユフィがドヤ顔をしていた。


「という訳であれが私達の旦那様のカミナギ ユウキ、ドヤッ」


”は?”

”え?”

”エルフ!?”

”ええええええ!?”

”情報が多すぎて、とんでもねーことになってる!!”

”コスプレ?”

”イヤ、本物だろ?”

”でも耳は付け耳じゃないでしょ”

”とゆうか今旦那様とか言った?”

”ドヤ顔可愛い”

”なんだこの美人”

”おっ〇いでかぁ!!”

”デッ……”

”デッ……!!!”


「ん、それじゃあ今日は終わり、見てくれて感謝」


そう言ってユフィが配信を終了した。


「凄かったですね…」


「ん、優希なら妥当」


「後は……お祖父様達にお任せですね」


「大丈夫、上手くいく、優希は誰もが欲しい存在」


「そうですね!」



---------------------------------

◇ダンジョン庁―長官室―◇


「という訳ですね。以前計画されてた通りに進めましょう」


「まさか、本当に生きているとは」


「まぁ……あの坊主には文字通り、神が付いてるからのう……(ボソッ」


「何かおっしゃいましたか?厳徳殿?」


「いやいや、何も無いよ」


「?そうですか……」


「とりあえず坊主を中心とした法案と、魔石周りの法整備に乗り出すかのう……」


「わかりましたこちらもお手伝いは出来るかと……」


「ともかく世間への公表と、一夫多妻法案は通さなければいけないしのう……」


「そうですね、おねがいします」


「ったく……そろそろ引退したんじゃがのぅ……」


---------------------------------

◇ガールズside◇

――エアリス――

無事に子供の脳手術を終えた私達は病院で怪我人の治療をしていた。


「エアリスさん、ありがとうございます」


「いえ、私は私の出来る事をしたまでですから」


「それでも、数多くの方が、元気に去っていきましたので」


「こちらこそ、場所を開放していただいて、ありがとうございます」


医師の方と話していると今一番効きたい人の声が背後からした。


「エアリス!」


「ユウキ様!」


振り返り最愛の人と抱き合う、詳細は分からなかったが断片的に情報が入って来てたので無事は確信していた、でも心配なものは心配なのである。


二人で抱き合ってるとミュリが丁度戻って来たところだった。


「ユウキ!」


「ミュリ」


次いでミュリと抱き合いミュリはユウキ様の体をペタペタ触って無事を確認する、ずるいわ。


「ねぇ、ユウキ様」


振り返るその顔に口付けをしておく、こうゆうのはやったもん勝ちと耀さんから教えられていたのだ。


「お帰りなさいユウキ様」


そう、笑いかけるとユウキ様も少しはにかんで照れくさそうにしていた。



◇◆◇◆◇◆◇◆

――鈴香——

私とユキちゃんが二人で防衛と救出をおこなった後休んでいると優希さんの無事を伝える報告が飛んできた。


「はぁ……よかったですね」


疲れ切った私はその場に座り仰向けに倒れ込む。


「わわっ、鈴香お姉様大丈夫ですか?」


「大丈夫よユキちゃん。流石に獣人の速度だと追い付くのが大変ですね」


「はぅ……すみましぇん……」


「いいのよ、ユキちゃんのお陰で私は救助に専念出来たんだから!」


近づいてきたユキちゃんの頭を撫でながらニッコリと微笑む。


「鈴香、ユキ!」


まったりとした時間を過ごしていると優希さんの声がした。


「あっ!お兄様!!」


「優希さん、お連れ様です」


「二人共お疲れ様、頑張ったね」


「私いっぱい倒しました!!」


「そっか!よく頑張ったな!!」


わしゃわしゃーと撫でまわす優希さん、こうしてみると親子に見える不思議さだ。


「鈴香もお疲れ様、立てる?」


私を起こしながら回復魔法をかけてくれる優希さん。


「ありがとうございます」


「それじゃあ戻ろうか」


お姫様抱っこで私を持ち上げた優希さんが空に飛び上がる。


「わぁ!!」


「綺麗ですね……」


夕日を映す諏訪湖の上をゆっくり飛びながら私達は進んでいった。


◇◆◇◆◇◆◇◆

――春華——

「冬華、終わった?」


「うん!終わったよ~」


「今回は、多かったね」


グループで上陸してくるマーマンが多く、私達は別れたり合流したりでどんどん討伐していた。


「まーでも!無事終わったし!」


「そうだね、優希さんも無事だし」


そんな事を話していると私達を輸送してくれた警察の方がやって来た。


「お二人共お疲れさまでした!」


「「お疲れ様です!!」」


「お二方のお陰で、市民の皆様の避難が無事終わりました!」


「良かったです!」


「よかったね!」


「それでお二方はどちらにお送りすれば……」


「あっ、大丈夫です!」


「そろそろ迎えが来るしね~」


「迎えですか?」


「はい!」


「二人共お待たせ!」


聞きたかった声の人が頭の上から聞こえた。


「おにーちゃーんここだよ~」


「おにーさん!!」


私と冬華はその声に振り返る。


「ゴメンね、最後になって」


「大丈夫です!」


「わーい久しぶりのおにーちゃんだ!スウウウウウウウウウウウウ」


冬華が抱き付いて思いっ切り息を吸う、私も優希さんも乾いた笑いが出る。


「はは……春華もする?」


空いている片手を広げて待つ優希さん、行きたいけど警察官さんの方を見る。


「それでしたら私はこれで!!ご協力ありがとうございました!!」


そのまま車に乗り込み帰っていってしまった。


「春華……どうする?」


今の状況ならだれも見てないから……いっちゃえ!


「おにーさん!!すうううううううううううう」


抱き付いて思いっ切り息を吸うと鼻腔まで優希さんの香りが広がる。


「ただいま春華、冬華」


そう言いながら優しく頭を撫でてくれる。


その底なし沼の様な心地よさに私達はちょっとの間溺れていた。


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