第13話:それぞれの戦い。
◇ガールズside◇
「全く……数が多いわね……」
「えェ……一体一体は強くも無いのですガ、出現場所が散発的なので非常に手子摺ります」
「住居を壊さないのも難しいのよね……」
異世界やダンジョンなら兎に角片っ端から攻撃で倒せば良いのだが、市街地なのでそうもいかない、それにまだ避難中のお年寄りや子供達も居る、徹底的に手が足りない状況なのだ。
「春華ちゃん、冬華ちゃん達は大丈夫?」
「「はい!大丈夫です!!」」
「エアリスとミュリは?」
「負傷者の治療に回ってます!」
「私は今その護衛に付いている!」
「ユキは……大丈夫そうね……」
丁度聞こうとしたら遠方でユキの雄叫びが聞こえた。
「ユフィ、優希の状況は?」
「ん、シルバーオーガを瞬殺したところ」
「それって昔、優希が痛手を負わせられたって……」
「ん、そう。でも今回は瞬殺」
「流石優希ね」
「耀さん、自衛隊と中級探索者さんが到着したそうです」
「わかったわ。じゃあ、避難が終わってない区画を中心に動いてもらいましょう!」
「でハ、私が援護に回りまス」
「じゃあ引き続き私は遊撃に戻るわ」
そうして耀とユフィは別行動になった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
一方でエアリスは仮設で建てられた救護所で怪我人の治療を行っていた。
「『ヒール!』———はいこれで大丈夫ですよ」
「ありがとうねぇ……転んだ時はもうだめかと思ったよ……」
「私だけじゃなく、皆さんが手伝ってくれてるお陰ですから」
「任せな!」
「おう!」
地元の消防団の人達と連携してエアリスとミュリは怪我人を治療していく。
「すみません!!」
「どうしました?」
「避難中に転び頭を、打ち付けた子供が居るそうです!」
「わかりました!向かいますよミュリ」
「はい!」
その足で車に乗り込み出発する。
「こちらです!」
着いた先は病院だった。
「先生!お待たせしました!」
「どこに行ったかと思えば……ん、君たちは?」
「今こちらに、怪我をした子供が居るとの事ですが……」
そう聞くとベッドで寝かされている子供が目に入った。
「あぁ、それなら大丈夫だ、あの通り少しの怪我で済んでいる、今はCTを撮って脳内出血等が無いか調べている所だ」
「わかりました、一応こちらでも調べてみます」
「調べるって……どうやって……」
「ユフィ、頼みます」
「ん、任せて―――鑑定。わかった、頭の中でかなり出血してる」
「脳内で多量に出血してるそうです」
「普通なら血が止まるんだが……抗凝固薬を飲んでいるのか!」
その時、別の医師の方が飛び込んで来た。
「先生!この子【静脈血栓塞栓症】で現在、服用している薬のせいで脳出血が見られる!!早く手術を行わないと!」
「わかった。すまない、これから手術なので君達には……」
「それでしたら私も手伝います、傷を塞ぐなら私の魔法のが早いです!」
「魔法なんておとぎ話だろう!」
その医師の言葉にエアリスがナイフを取り出し自分の腕を裂く。
「———っう……」
「君!!」
「姫様!!」
「大丈夫……『——ヒール』これでも、問題はありますか?」
「わかった、手伝ってくれ。それと君、受付を救護所にして患者をこちらに送ってもらってくれ」
「はい!わかりました!」
そう言って看護師の女性が、救急治療室から出ていく。
「すまない、疑ったことを謝らせてくれ。出来れば君の名前も教えてもらいたい」
「構いません、こちらの世界は魔法が身近では無いですから。それと、私はエアリスと呼んで下さい」
「わかりましたエアリスさん、ご協力感謝いたします」
「えぇ、こちらこそ、ミュリここでもしものことが防衛線をします、構造把握を」
「かしこまりました!」
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◇優希サイド◇
――現在9階層――
9階層に降りてきてから20分、最速で進んでいるせいなのかわからないが相変わらず敵とは出会わない。
「また水が増えて来たな……」
「多分ゴールが近そう」
「そうか……水が諏訪湖に流れてるんだもんな……」
「ん、そう」
「じゃあ、そろそろか……うわぁ……」
最奥に着いたは良いが、魔法陣が置いてあるだけだった。
「なんかもう調べるまでも無いけど……『——鑑定』」
調べるとそこはボス戦に行く【転移魔法陣】だった。
「そこに乗るしかない」
「だよねー仕方ないか……」
【転移魔法陣】に足を踏み入れると目の前の景色が一瞬で変化した。
凄く大きな部屋に奥には何もない、ただ天井に相当量の水がある、その中で大量のモンスターが泳いでいる。
「フシュッルルルルル」
そして一際大きな龍とも蛇とも似つかないモンスターがそこにいた。
『——鑑定』
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名前:蛟 性別:雄 年齢:450歳
状態:怒り
備考:諏訪の明神の姿を取り込んだモンスター、守り神でも何でもない、水棲モンスターを使役する。
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「蛟って竜だったよなぁ……」