表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

240/715

第5話:迷子の迷子の小鳥さん

耀達と別れ俺達は巨大なショッピングモール内を歩き回っていた。


先程から数店舗の調理器具や食器のお店を回りながら春華が目を輝かせている。


「凄いですね!」


エアリスが店の多さに圧倒されつつも、少し不思議そうな顔をしている。


「そうですね……私達の世界でもお店がひしめき合う事はありますが、大体が区画毎に法則性があるんです、でもここはその……」


言葉を濁したエアリスに、綿貫さんが答える。


「あぁ~そうですね~異世界には行ってませんが。恐らくこのお店の並びは無秩序というのが正しいかと♪」


「でも何故その様な並びにしているのですか?」


ミュリが頭にハテナを浮かべている、実際俺も何故この店配置なのか良くわかってないない。


「それはですね~このショッピングモールの配置が多核型サーキットモールという形で構築されているからですよ♪」


「多核型サーキットモールって何ですか?」


「それはですね……ショッピングモールをぐるりと回る事で、お客様に色々な景色を見てもらえるからです♪、例えば今回って来たお店もジグザグに配置する事や少し離れた所に置くと、別の店舗まで見に行く間に他の店舗が目に入ります、それで目についた店舗にお客さんは足を止めやすいという設計ですね♪」


「確かに、この配置なら無理なく歩いて見て回れますね、他の店舗に対して道すがら目につくものがあれば手に取れる、いい考えですね」


どこからかメモを取り出したエアリスが書き込んでいる、参考にするつもりかな……


「エアリス、そのメモは?」


「これですか?今度帰った時に王都の改善すべき点を、少しづつ纏めいて行こうかと思いまして」


手渡されたノートをめくると様々な事が書かれていた。


お店の配置の事や道路の事、社会保障の面や生活に役立つ事、エアリスの所感交えつつ綺麗に書かれている。


「凄いな……」


「これでも民の暮らしが豊かになる事を、一番に考えてますから!」


確かに異世界だとあまり貧困層ってのは見なかったな、まぁ特定の領主が私腹を肥やして断罪されてたけど。


そんな事を話していると子供の泣き声が耳に届いた。


「どうしました?」


「あぁ……子供の泣き声が聞こえてな……あっちか」


子供が泣くことはよくあるのだが、どうやら迷子の女の子で「おねーちゃーん」と泣いている。


「うーん……男の俺が近づくと、怖がらせちゃうから皆頼める?」


「「「わかりました」」」


「私もここに残ろう……昔子供に泣かれたことがあってな……」


ミュリが苦笑いしながら隣に立つ。


エアリスが近づき目線を合わせて喋っている、春華ちゃんがバッグからお菓子を取り出して与えてる、泣きながら食べてるの見ると笑えて来てしまう。


少ししてエアリスが抱っこしてこちらに戻って来た。


「すみませんお待たせしました」


「大丈夫だよ。それで綿貫さん、迷子センターってあります?」


「えぇ♪ございますよ♪すでに連絡は入れてありますので♪」


すると館内放送で女の子の特徴と下の名前が呼ばれ、迷子センターまで来て欲しいとの放送が入った。


「それじゃあ向かいましょうか」


「そうですね」


道中歩きながら話を聞くと名前は白鳥しらとりすずめちゃんで以前出会った鶫さんの妹さんだった。


どうやら二人で来たは良いが、予想以上の人の多さにはぐれてしまったとの事だった。


「白鳥さんかー」


「おにーさん知ってるんですか?」


「うん、耀の中学時代の友達で、一度しか話した事無いけどね」


「そうなんですね、それじゃあ耀おねーさんが居た方が良いですかね?」


「そうだね、呼んどいた方が、向こうも面識があるだろうし」


スマホを取り出して耀に通話をする。


『優希?どうしたの、もう終わった?』


「えっとね、少し前に白鳥さんと会ったじゃん、その時に言ってた妹さんが迷子になってるとこを見つけて今迷子センターに送ってるんだけど……『わかったわ、今行く』」


状況を理解してくれた耀が来てくれる様だ。


「耀、来れるって」


「即断即決でしたね……」


「でも助かるよ……」


「それじゃあ、俺も白鳥さん探してくるよ」


「わかりました、迷子センターに居たら連絡しますね。」


「ありがとう」


春華の頭を撫でると別れて探索魔法を使用する。


「うーん……出来るかな……『鑑定+探知魔法』」


思い付きで探知に鑑定を追加して個々人の魔力を探知すると白鳥さんは3階に居た。


「なんか様子がおかしいな……」


白鳥さん一人に4人ぐらいの魔力が集まってる、これは……


『身体強化+飛翔魔法』


脚に力を込めて吹き抜けを飛び上がる、一息で三階まで到達すると人ごみを抜ける。


「ちょ!放してってば!!」


「いーじゃんいーじゃん!」


「そうそう!迷子センターに居るなら安心じゃん!」


「俺なんて、以前8時間くらい預けたよ!」


「ギャハハ……それもうベビーシッターじゃん!」


「あん?何見てんだてめえら!!俺達は中級探索者だぞ!!」


「ギャハハハハハ……ヤメロって!俺達が殴ったらパンピーは死んじゃうって!」


うーん……典型的なアホが集まってる……


「白鳥さん!!」


人だかりを抜け声を掛ける、すると……


「えっと……だれ?」


一同ズッコケた。


「えっと……耀の幼馴染の上凪だけど……」


「えぇ!?うっそだぁ……私と同じくらいだったじゃん!!」


「まぁ成長期だよ」


「そっかー成長期か」


さりげなーく近づいて白鳥さんを逃がそうとしてたんだけど、どうやら相手も気付いたようで。


「おめーよ!なにさらっと人のエモノ横取りしようとしてるんだよ!!」


「おっきくなったからって正義の味方気取りでちゅか~」


「舐めんなよ!!俺達中級探索者だぞ!!」


「おめぇ!!ぶっ殺すぞ!!!」


「ねぇ!どうすんの上凪!アンタ【戦士】でしょ!?」


あーそんなことあったね……以前会った時は【戦士】だって紹介したもんな。


「大丈夫大丈夫……」


「ギャハハ!【戦士】だって!!」


「ハヒ……ハヒ……息が出来ない!」


「何でそんな雑魚ジョブがイキッてんだよ!!」


「殺す……殺す……」


何か一人不味いの混じってるよな……


周りの人見てるしここはサクッと片付けますか……


「大丈夫大丈夫!俺クッソ強いし前に話題になったでしょ?」


「え?私バイト忙しくて知らなかったんだけど……」


「そっか……じゃあしょうがないかー、まあ余裕だよ」


そう言ってちらりと鑑定しながら見ていると。


「「「「「ぶっ殺す!!」」」」」


殴りかかってきましたとさ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ