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|章間|:武術大会(鈴香編)②

戦闘開始の宣言と同時に相手が詰めて来る。


(今までの相手よりも数倍速い!)


「うおおおおおおお!!!!」


相手の咆哮と共に刀が振り下ろされる。


ここはティアニールさんとの特訓の際で春華ちゃんに教えてもらった技で!


「小鳥遊流守りの型———流水」


刀同士が接触した瞬間滑らせ、相手の攻撃を受け流す。


「はぁ!!」


そのまま相手の腹に当て身をして吹き飛ばす―――硬ぁ!!


「その技は既に見たぞ!!」


「そう?でも当たってるわね」


「はん!こんなのかすり傷にもならねえ!」


「そうでしょうね!!」


(獣人の筋肉ってあんな硬いの!?まるで石みたいじゃない!!)


今度は私から攻める、懐に飛び込んで柄1撃、そこから踵で相手の顎を蹴り上げる。


「このまま!!」


手応えを感じて空中で体を横に捻り2刀で斬りかかると相手は防御も碌に取らず吹き飛ばされる。


「ぐぅ!!!」


その瞬間視界が揺れる。ぶちぶちという何かが千切れる音と共に、頭と背中に衝撃が走った。


身体強化していたので痛みはあまり無いが衝撃のせいでまだ若干視界が揺れている。


「ふぅ……あぶねぇあぶねぇ……丁度掴むものがあって良かった」


相手が手に持っている赤いものを捨てる、よく見ると私の切れたりむしり取られた髪の毛だった。


「いやぁ~危なかったさ、利き腕は持ってかれたし、お相子って程には遠いが、お陰で叩きつけられずに済んだよ!!」


ケラケラ笑う相手に刀を取って立ち上がる。


「よくしゃべるわね……もう限界が近いのかしら?」


今ので切れた口内の血を吐き捨てる、視界も片方赤くなる。


「へぇ……まだそんな軽口叩く余裕があるんだ……」


そう言って相手は獣に変身した。


「見せてやるよ!!獣人の恐ろしさを!!」


「あぁ……そうゆうの良いから」


私はユフィさんに教えてもらった抽出・精製の魔法でマグネシウムのみを取り出す、そして投げつける。


「なんだ!そんな石ころしか出せないのか!!」


「爆ぜろ」


火球を当てて化学反応を起こす。


「ぎゃああああああ!!」


唐突な発光を間近で見たのでそりゃそうなる。


「はぁっ!」


視界の潰れた相手の顔に膝蹴りを入れる。


「これで!終わり!!」


そのまま再度接近し双刀で相手の両膝ともう片腕を砕き、そのまま蹴り上げて空中に浮かせる。


「クソっふざけるな!」


落ちてくる際に目が未だに見えないのか、もがいている。


「あんたの敗因は!私の髪を無下にした事よ!」


逆さのまま落ちてきた相手を殴り飛ばし、防御魔法ごと場外まで吹き飛ばした。


『え?防御魔法って壊れないはずじゃ……えっ、えっと……ともかくアビラ 選手戦闘不能!優勝はリンカ選手です!!!』


「「「「「「うあああああああああ!!」」」」」」


歓声が爆発した。


あぁ、やっば……意識が。


倒れる寸前に目の前に飛んできた優希さんが抱き留めてくれた。


「お待たせ、よく頑張ったね……優勝おめでとう」


優希さんの回復魔法が私の体を巡り傷や髪を治していく。


「あぁ……あったかいですね……」


抱きかかえられてた治療が終わり立たせてもらうと、更に歓声が大きくなった。


「あっそうだ優希さん、相手選手は?」


「今、治療師達が見てるから大丈夫だと思う、でも一度見て来るね。鈴香はお客さんにアピールしてあげて」


そう笑いながら軽く口付けした優希さんが相手選手へ向かう、気付いたら歓声が賞賛から「お幸せに!」とか「結婚おめでとう!」とかに変化していた。


(うん、すっごく恥ずかしい!!)


そして手を上げると観客たちの最高潮に達した。


◇◆◇◆◇◆◇◆

それから表彰式が終わりアビラ選手が「煽ってごめんなさい」と非常に申し訳なさそうに謝って来たので、それを許したりしてると私を呼ぶ声が聞こえた。


「鈴香大丈夫だったかい!?」


「鈴香ちゃん大丈夫!?痛い所は無い?」


そう抱き付かれながら母さんにこねくり回される。


「大丈夫ですよ、お母さん!」


「見てて凄く心配だったったんだよ!」


「大丈夫よお父さん」


「クフフ……それ位にしてやれぇ、リンカも困っておろぅ」


ティアニールさんが出て来ると二人が止まった、そして二人が頭を下げる。


「ありがとうございますティアニールさん」


「頑張ったのはリンカ自身、妾はその手助けをしただけじゃ、それでお主ら、リンカに言う事は無いんかぇ?」


「すまなかった、鈴香の事ちゃんと見れてなかった」


「私も……自分の事ばかりで鈴香ちゃんが頑張ってきたなんて知らなかったわ……」


そう言って二人は私に頭を下げる。


「リンカも、言いたいことがあるなら言うといぃ…」


「私は……」


何を今更とか……どうせ才能の持ち主を見たらわすれるんだろうとか……言いたい事は沢山あるが……まぁ良いか……


「大丈夫です、何かあったらぶん殴りますから!」


「クフフ……良い心意気じゃのぅ……」


これからは時間も沢山ある、両親は帰ってきたし、優希さんと恋人以上になれた、じっくり進めていけば良い。


なんてったって私はまだ生きているのだから。



---------------------------------

鈴香の決勝戦が終わった翌日武術大会の特別興業として、今日は闘技場で二つの模擬戦が行われる。


午前の部

【勇者】カミナギ・ユウキVS【獣王】ガリウス・アストラ・ゲルジウ


午後の部

【勇者】カミナギ・ユウキVS龍頭リョウズウフウ劉英リーエン伯爵


となっている。


両方とも観覧席は満員で通路にも座席が増設された状態だ。


この光景を見て俺の胃が重くなってくる。


「うへぇ……」


「ほら!しゃきっとしなさい!!」


思い切り背中を叩く耀、——パァンと小気味いい音がした。


「ありがとう、耀気合が入るよ……」


「その割に気乗りしない顔ね……」


「大丈夫?おっぱい揉む?」


「うん……」


「集合!!」


そう言うと巴ちゃんの胸が顔にエアリスの胸が左手に耀の胸が右手にくっつけられた。


更に背後に誰かが乗る……この感じ冬華と見せかけて春華だな。


「ふご!ふごふご!!(おっけー!元気出た!!)」


「ひゃんっ、いきなり動かれるとびっくりします」


そうして世界一の山脈から解放されると耀が再度聞いてきた。


「どうしてあんまり気乗りしないの?」


「多分ユウキ様は体裁を気にしてるのかと……」


「そう、それなんだよ、一応ガリウスにも劉英さんにも勝てるけど両方にすんなり勝つと【獣王】の癖に弱くね?ってなるのよ」


「あぁ……そうゆう事ね」


「しかもアストラは実力至上主義だからね……下手にあっさり勝っちゃうと余計な混乱を招きかねないから……」


「厄介ね」


「厄介だね」


「厄介ですわね……」


「あはは……」


『それでは特別興業!!【勇者】カミナギ・ユウキ様VS【獣王】ガリウス・アストラ・ゲルジウ様の模擬戦を開始いたします!!!お二方は中央の舞台まで来てください!!』


「さて……行ってくるよ」


「頑張って下さい!!」


「ユウキ様!治せる範囲での怪我でお願いします!」


「優希!勝ってきてね!!」


「任せろ」


カクヨムコンに出ます!ですので!

ここから読んでいただけますと嬉しいです!!


https://kakuyomu.jp/works/16817330658131008519




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