第37話:爆発四散…マジで?
会議が終わり龍頭伯爵とホークアイツ侯爵の二大貴族家が残った。
うん、これ俺を待ってるな…しかもどっちから声かけるかって待ってるだろ!
「お二方お久しぶりです」
「お二方とは?」
「どちらの事じゃ?」
二人がめっちゃニヤニヤしてる、この人たち趣味悪い!!
「あはは…お二方はお二方ですよ…」
二人の眼光に顔が引き攣りつつ返す。
「まぁこれ以上は」
「話が進まなくなってしまうからのう」
あんたら仲いいだろ…
「さて…久しいのぅ…ユウキ殿」
「お久しぶりです、劉英さん」
「しかし、まっこと良き男になったのぉ…姫のような未通女より妾の様な脂の乗った女はどうじゃ?損はさせんぞ?」
「ちょ!だめですよ!ユウキ様は私達のですから!」
「達と言うからには複数おるんじゃの?なら味見位よかろう」
「うっ…」
「カッカッカ、ほんに姫は腹芸が出来んのぅ…心配になるわぁ」
「そう虐めてやるな、姫も数カ月前は一線で魔物と相対してたのだぞ」
「仕方ないわねぇ」
「はぁ…」
「それはそうと、この爺驚きましたぞ、まさかユウキ殿がもう一度コチラに来られているとは…」
「まぁ、色々あってね。今こうしてまた来れたよ」
「ハッハッハ!それは良かった!これで姫様も報われるワイ!」
「もう!やめて下さい!」
「ハッハッハ!ユウキ殿が帰って約1週間も部屋から出てこなかった癖して何を仰るんですか!」
「いやぁぁぁぁぁ!誰にきいたのよぉぉぉぉぉぉ!!」
涙目になって止めに走るエアリス。
「専ら話題になっておりましたぞ!姫様が数日振りに部屋から出たと!!」
「ははは…エアリス、そんなに悲しんでくれたんだ」
「い~~~~や~~~~」
「カッカッカ、初いのう初のう♪」
ケラケラと笑う劉英さん、楽しそうにしている。
「さて、若者いじりはこれくらいにして、本題と行こうぞ」
「はぁ…はぁ…私もう、疲れました…」
「お疲れ、エアリス」
隣でくたくたになる、エアリスの頭を撫でる。
「もう、ヤダ………」
「うむうむ、これならばこの国も安泰そうだな」
「お主ら…話進めるぞ?」
「お願いします」
「さて、今回の我が国が相対してる魔物だが、今は【竜王】は既に行っておる、じきに【獣王】【神樹の主】も到着するだろう」
「随分、動いておるのう…」
「まぁ、獣王と我らが竜王は戦好きじゃからのう、真っ先に向かって行ったと聞いておるぞ」
「うーん、それだけ行ってるなら、もう終わりそうな感じなんだけどね…」
「それがな、どうやら敵は、未確認の敵らしくてな、それによって損耗もそれなりに出ているそうなんだ」
「未確認ですか?」
「どうやら今までに見た事無いモンスターらしいです」
「写し絵になるがのう、こちらの世界では見ない様な。全身が黒色の体表で囲われたモンスターらしい」
見せてらった絵には人の形はしているがそれにモンスターの腕やら甲殻やらを纏っている。
「うーん見覚え無いなぁ…メアリーは見た事無い?」
「うーン。私モ、見覚えが無いです…うっ…ぐあぁ…」
絵を見て考えていたメアリーが、突如頭を抱え呻きだした。
「メアリー!?」
「メアリーさん!?」
崩れるメアリーを支え回復魔法をかける、それでもメアリーの呻きは止まらない。
「うぐっ……ぐっ…ぎぎっ…」
そしてそのままメアリーは倒れてしまった。
「すみませんお二方、俺は一旦失礼します」
「倒れてしまってはユウキ殿も気が気ではないだろう。妾もユウキ殿と肩を並べて戦いたいが…竜王様より許可が出るかのう…」
「そうじゃな、ワシもそろそろ戻らんと息子が面倒くさがってしまうからのう、ユウキ殿また戦場で」
そうして劉英さんは少し眉をひそめ、侯爵は腰を叩きながら歩いて行った。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「ユウキ様、こちらのお部屋へ」
会議室の隣の部屋に行きソファーに寝かせる。
「私、杖を持ってまいりますね」
「私は、水とタオルを持ってきます」
「ありがとう、二人共」
そう言って二人は出て行った。
「さて。神様、見てますよね?」
そう言うと神様が隣に出てきた。
「どうゆう事か、説明して貰えます?」
「メアリーちゃんはさっき、自分で鍵をかけたトラウマを無理に開けちゃったんだ」
「トラウマですか?」
「うん、今回、この世界を脅かしてる敵にも関係あるんだけどね」
「それって…まさか、メアリーが元居た世界の?」
「そうだね、メアリーちゃんの前世。つまりこの3つの世界を変えた一連の事件を引き起こした神が治めてた世界、その世界で蔓延る邪神教が今回の原因だよ」
「でも、前にその神は処分されたって…」
「処分はしたさ、でも今回はその世界の人達が、自分達でこの世界に通じてしまったんだ」
「そんな事ってあり得るの?」
「ありえるか、ありえないか、で言うと。十分あり得るんだ。ほら神隠しやフェアリーサークルみたいに、不意の事が異世界に繋がる事もあるんだ。後は人がその極致にまで行ったら、引き起こされたりするね」
「それって…今も繋がっている状態なんですか?」
「今は断ち切ったよ。でも、僕達神は一度入ったものは処分出来ない、だから勇者だったりに手伝って貰うんだ」
「つまり、二度目の邪神討伐ってやつですね」
「ごめんね、任せっきりで」
「仕方ないですね、任せて下さい!」
「それじゃあ、オマケと言っちゃなんだけど、君にかけたリミッターを解除しようか」
「リミッターですか?どうしてかけてたんです?」
「当然、かかる負荷が大きすぎたからね、そのまま向こうの世界に戻って使えるようにしてたら、下手すると爆発四散するとこだったんだよ」
「爆発四散…マジで?」
「うん、マジマジ」
なんか凄い爆弾発言をされたんですが!?