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第34話:あーア、これはやっちまいましたネ…

王城に転移してきた俺は、メイド長にエアリスへの言伝を頼み手持ち無沙汰になった。


「そういえばメアリー、羊羹なんて持ってたんだな」


「はイ、ユキさんの餌付…懐じゅ…仲良くなるためニ、甘いものが良いかと思いましテ」


「本音が漏れてる漏れてる…」


「はっ…つイ…」


「メアリーって子供好き?」


「それハ、『俺の子供を産ませてやるぞ』ト、いう意味ですカ?」


「違うよ!?可愛いものが好きなのかなって思っただけだよ!?」


「そうですカ…まァ、施設ではぼっちでしたのデ、ぬいぐるみや人形が友達でしタ」


「そっか、なら今は不要かな?」


「そうですネ、優希さん含メ、独りにはしてくれないのデ」


そう言ってクスクスと笑う。


「お茶、新しいの淹れますネ、優希さん預けていたトランク、出してもらえますカ?」


「了解」


からトラベルバックを取り出し、お茶の缶を取り出す。


魔道具で沸騰させたお湯で淹れ蒸らしていく、ふわっと広がる香りに鼻腔がくすぐられる。


「なんか良いな…」


「どうしましタ?」


「いやぁ…穏やか過ぎて、眠くなるなぁ…って」


つい欠伸が出てしまう。


「それでしたラ、少し眠ってハ?」


「でも…約束が…」


「人間、15分仮眠を取るト、仕事効率が上がるんですヨ?」


「そうなのか…じゃあ…ゴメン…10分経ったら…Zzz」


◇◆◇◆◇◆◇◆

◇メアリーside◇

寝てしまった優希さんの頭を持ち上げ自分の膝上に乗せる。


「仕方ないですね…」


撫でながら自分で入れた紅茶を飲みながらぼーっとする。


豪華な調度品から柔らかいベッド、美味しい食事、ちょっと前の自分じゃありえなかった。


「そして世界を超えるんですから…この人は…」


そのまま優希さんの顔を撫でつつ眺めていると扉をノックする音がした。


「どうぞ」


「失礼します…」


入って来たのはエアリスさんと先程のメイド長さんである。


「あら、ユウキ様…お昼寝されてるんですか…」


「むぅ…ずるいです…」


「姫様、あの方はユウキ様の奥方様ですよ…あれは奥様の特権ですよ」


「もし良かったラ、変わりましょうカ?」


「良いのですか!」


「えェ、今日の所はこれ位デ、満足しておきまス。それニ、旦那様が目覚めた瞬間が楽しみですかラ」


その光景を想像すると自然と頬が緩む。


本当にこの人は私を笑顔にさせてくれるなーと思いつつ寝顔を見守る。


お姫様に膝枕を代わり、頭をひと撫でをして、広げた荷物の片づけを始める。


いつか叶うのであれば、彼と共に私の世界を見に行きたいと思った。


◇◆◇◆◇◆◇◆

目が覚めると、視界が白かった。


「んあ、柔らかい…」


極上の肌触りと柔らかい枕、そして吸い込むと鼻腔に感じる甘い花の香りに至福の時間に溺れたいが、起きないといけないが……


「旦那様…もう時間ですヨ」


肩を揺さぶられながらメアリーの声を聴く、起きるのが億劫で枕に抱き付く。


「きゃっ……」


ん?メアリーの声じゃない?


恐る恐る目を開けると、そこには真っ白な謁見用のドレスを纏ったエアリスが赤くした顔で俺を見下ろしていた


「え?エアリス?」


「はっ…はい…」


突然の事で頭の回路が繋がっていない、どうゆう事?


「あーア、これはやっちまいましたネ…メイド長」


「そーですね、メアリー様、これは不味いですよね…」


「嫁入り前(相手無し)の女性ニ、抱き付いて頬を擦り付けるなんテ…」


「そーですね、これは勇者様に責任を取っていただかないといけねぇですよおおおおおおお」


いや二人楽しそうだな…メイド長なんて今までに見た事無い程、万遍の(満面の?)スマイルでこっち見てるよ。


「えっと…エアリス?大丈夫そうなら、説明して貰えると嬉しいんだけど…」


手で自分の赤くなった顔を、パタパタ扇ぐエアリスに声をかける。


「えぇ…まぁ話は単純なのだけど。メイド長の話を聞いた私が、すぐに許可を出して、あらかじめ手配をしてくれていたのもあって準備が出来たの。それでユウキ様を迎えに行ったらメアリーさんが膝枕をしていたので変わって(代わって)もらいました。その後はユウキ様に体をまさぐられた位ですね」


あっ…まさぐりはしたんだ…そこは変えられない事実か…柔らかかったし。


「そうゆう事で今に至ります、大丈夫でしょうか?」


「はい、俺が悪い事が確定しました…」


「それで、ユウキ様。少しお時間よろしいでしょうか?」


「あー良いんだけど。えっと…その前に、俺どのくらい寝てた?」


「そうですネ、恐らく40分程ですネ」


「えぇ…起こしてよ…」


「流石にお疲れの所、無理に起こすのモ、忍びないかなぁと思いましテ」


そう言われると言い返せないんだよなぁ…警戒の為。昨日も軽い仮眠で済ませたし。


「ありがとな、心配かけたよ」


「それで、お時間を気にされてどうしたのですか?」


「えっとね…神様~お待たせしました~」


「はいはーい、おはよう優希君」


ニュッと空間に穴が空いて降りてくる。


「すみません…待たせちゃて」


「大丈夫だよー指輪と便利な物できたから〜」


そう言って神様は複数個の指輪と…オルゴール?をテーブルに置いた。


「いやぁ〜オルゴールじゃないよ〜形は似せたけど」


「じゃあ…これは?」


「ポートだね」


「ポート…港ですか?」


「それもあるけど、どっちかというとパソコン関係だね、これが転移をする為の目印に出来るんだ」


「つまりこの指輪ト、同じものという事ですネ」


「つまり皆さんで移動しても、それが置いてある所になら帰って来れるという事、便利ですね」


「そうだね~結構疲れたよ」


「でもお陰で、自由にこちらの世界と、向こうの世界を行き来出来ますね」


「これが本来の、世界を救ってもらった特典にしようと思ったんだけど。優希君が本当にこの世界に来たいかわからなかったし、何より誰でも使えるとなると悪い事に使えちゃうからね…」


「神様も人が悪いですね…これがあれば、俺一回死ななくて済んだような気がするんですが…」


「一応神の縁者を手にかけるという、神の世界じゃかなり重い罪、それこそ神格落ちも生温い、完全消滅という所まで出来るし。一応保険として僕の神格を一つ落とすことで優希君は蘇生できるようにしてたんだ。それに元の体と異世界用に作った体を混ぜ合わせたかったし、その為に一回魂を分離させたかったのもあって…」


段々と声が小さくなりバツが悪そうな神様の頭を撫でる。


「まぁ、そのおかげで敵に甘いとどうなるか、実感できたからいい機会だったよ」

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