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第32話 ミンチよりひでぇや…

ダミサンを倒して二人の元へ行くと、魔法で作った椅子とテーブル、それとお茶会セットでのんびりお茶を飲んでいた。


「これ美味しいですね」


「ん、多分行商人が運んでた奴、盗賊の癖に良いもの飲んでる」


「おーい、二人共!」


「あっ!優希おっそーい」


「ん、もう片付いた」


「そうか…人質や怪我人は?」


「ん、あっちで休ませてる、皆足が焼き潰されてた。私が使える回復魔法でポーション作って飲ませてあるから、今すぐ死にそうな人は居ない」


ユフィが指差した先で石の簡易ベッドで寝かされていた。


「全く…あのクソ魔法使い、胸糞悪いったらありゃしない…」


「ん、クソ野郎」


二人共敵の魔法使いがウザかったらしい。


「勢いあまって、魔力半分くらい使っちゃったし」


「私は、人質巻き込まない様に、岩を弾き落としたら、疲れた」


「あははーありがとうございます…」


「ん、気にしない。ヒカリがやらなきゃ私がやってた」


「それでこんな崖が吹き飛んだのか…」


「ヒカリの魔法、ヤバい」


「いや!この杖が凄いのよ!まさか魔力だけで、洞窟吹き飛ばせるなんて思わないじゃん!」


「なにそれ…怖…」


「それに、世界樹の実も強力。増幅、安定、魔法式変換どれも一級品」


「そういえば、加工して装着した冬華の魔法鎧、火魔法が複数当たっても無傷だったな…」


「トウカ、無茶しすぎ…」


「魔力纏った銃弾も防いだし、やばいわね…」


「でもヒカリの魔法は、多分貫通する。威力段違い」


「流石にもう無暗に撃たないわよ…威力も判らなかったし、つい力入っちゃったし…」


「あれ?そういえば敵の魔術師は?」


見渡すがさすがにこの崩落だし書き込まれたかな?


「ん、あれ」


そう言ってユフィが指差したのはなんか木っ端になった肉片と右手首から上しかなかった。


「それでその魔法使いの名前はわかる?」


「なんだっけ?」


「憶えてない…」


「そっか…」


仕方ないので1人足を生やして起こす。


「わぁ!?、だっ誰だ?」


なんて答えるかな…まぁわかりやすいように勇者でいいか。


「あー勇者です」


「勇者というと…カミナギ様?」


「よかったぁ…盗賊の頭目も知らなかったし通じるか焦ったよ…」


「あぁ…私は行商してますので、それなりに勇者様のお話しは聞いてますよ?」


「そうなんだ、どんな話か知ってる?」


「そうですね…獣国のお姫様に結婚を迫られたとか、最上位ドラゴンと模擬戦やって引き分けたとか、夜の街で100人切りしたとか、極めつけは神様が降臨するとかありますね」


なんか俺の知らない事が混じってたけど…気のせいだよね?


「ちょっと今、聞き捨てならない事が聞こえたんだけど?」


聞き耳立ててた耀がにこやかな顔で背後に立つなんか魔族じゃないのに角が見えるんですが!?


「夜の街で100人切りなんて知らないぞ!?」


「え?でもごろつき100人切って歌劇場の姫を攫ったんですよね?」


「あぁ!そのことか!、でもあれは町の住民に不当な借金を乗せた悪徳高利貸しを壊滅させただけで!!」


「そっちじゃないの、獣国のお姫様の事よ!」


「え?そっち?」


「ヒカリ、落ち着く。それは獣国の慣習」


「慣習?」


「そうなんだよ。獣国って強さ至上主義で、決闘に勝った者が相手に一つ命令出来るんだけど。ガリウス…つまり獣王に負けてね、娘と結婚するって話になったんだ」


「でも、ユウキはその娘と決闘して勝って、結婚を帳消しにした」


「そうだったのね…よかったぁ…」


「まぁ…状況的に引き分けに持ち込んで、やる予定だった最終戦をすっぽかして、元の世界に帰ったからこっちで見つかりたくはないけどね…」


「今の優希なら勝てそうじゃない?」


「うーん…多分、どっこいどっこい」


「そんなに強いの?」


「条件の相性が悪いって感じ…」


「ガリウスが【獣化】すると、並みの魔法は弾かれる」


「そう、だから致命傷か、殺す位の威力なら余裕なんだけど」


「決闘で殺したら、その場で死罪だから不可」


「凄いバイオレンスな国ね…」


「まぁ自爆で死んだりしたら、罪には問われないけどね」


「でも約1年前でしたっけ?あの戦いは凄かったですね」


「そっか、もうそんなに前になるのか…」


「ユウキとの5年は、短かった」


「むぅ…何かずるいなぁ…」


「でもヒカリは、私の知らないユウキを知ってる、ずるい」


「それで勇者様?何故私を起こしたんですか?」


「そうそう、盗賊に居た、この二人が倒した魔法使いって、知らないですか?多分皆さんの足を焼いた奴だと思うんですけど…」


「あーそれなら、ヴィクアンですね、子供を何人も焼き殺したり、人の焼ける匂いが好きなクソ野郎ですね」


「まーたどぎつい屑ですね…」


「それでそのヴィクアンがどうしました?」


「いえ、名前を知りたかったので」


「そうですか…でも皆さんが居るという事は。死んだか、逃げたんですね」


「まぁ、死んでると思いますよ…この状態ですし」


上を指差すと行商人さんは空を見上げて笑った。


「ははは…これじゃあ無理でしょうね」


「おーい!ユウキ!ヒカリ!ユフィ!」


ミュリがこちらに駆けて来る。


「ミュリさーん!」


「ミュリ、やっほー」


「やっぱり、心配なかったか…」


「すぐ終わったわよ?」


「ミュリも、お茶飲む?」


「大丈夫だよ、二人程魔力を使った訳じゃ無いから、少ししたら手伝ってくれ。今日はここで野営をする予定だから」


「わかりました」


「ん、ありがとう」


「それじゃあ、先に他の人足治そうか」


さくっと横たわる人達の足を治し、すぐに立ち上がらない様に言うと耀とユフィがお茶を配っていた。


「それと、———鑑定」


---------------------------------

名前:ヴィクアン 性別:男 年齢:28

状態:死亡 ジョブ:魔法使い

備考:現在右手首しか残ってない

---------------------------------

死亡判定も出るのか…


「念の為に―――広域探索!」


同じ魔力は感じないし、大丈夫だね。

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