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第27話:何かがおかしい…

昼前に辿り着いた雛菊さんのお店は、原因不明の火災によって焼け落ちていた。


そして焼かれた2階にてヒナギクさんの焼死体が見つかった、その後駆け付けた警備隊に連れられ俺達は事情聴取されていた。


「わかりました、あなた方が飛び込んでいくのを見てた方も居ますし、なによりあの燃え方は魔法じゃないですから…」


「そうなんですか?」


「えぇ…ここは土地柄火災も多い地域ですので、そうゆうのを見分するのが得意な連中が多いんですよ。」


「じゃあ何で事情聴取を?」


「一応ですよ、世界を救った勇者様が戻って来てこんな事件は起こすはずないと信じてますから」


「あーあはは…なんかすみません…」


「寧ろ我々の捜査に協力してもらってるという体裁を整えたいのでお時間をいただきました」


「そうですか、ありがとうございます」


「兎に角、色々とおかしい部分がありましたので、もし何か気付いたら詰所まで来てください」


「わかりました」


時間にして30分程だったが疲れる時間だった。


そして詰所の廊下にミュリは力無く座って居た。


「ミュリ…」


「あぁ…ユウキか…検死の結果、炭化してわからないが背格好から雛菊と断定されたよ」


「そうか…」


「なぁユウキ…」


「どうした?」


「あの5年の旅で辛いものはたくさん見てきたが、やっぱり友人となるときついものがあるな…」


「そうだな…」


落ち込むミュリの背中をなでていると嚙み殺すような泣き声が聞こえた。


◇◆◇◆◇◆◇◆

しばらくして泣き止んだミュリを背負い、控室に居た神楽坂さん達と共にユフィの家まで帰って来た。


ベッドに寝かせリビングへ降りるとユフィが居た。


「聞いた、ヒナギクの事」


「そうか…」


「少し引っ掛かる事がある。ユウキ、ヒナギクのお店、見に行こう」


「わかった」


それからユフィを抱え屋根伝いに跳んで行くとものの20分程で到着した。


そうして警備の方に事情を説明すると、中に入れて貰えた。


中に入ると相変わらず焼けた木材の匂いが強い。


「………」


「どうした?」


「やっぱり、おかしい…」


「どこがおかしい?」


「燃えてるものが少ない…」


「少ない?燃え尽きたんじゃなくて?」


「ん、あの棚も明らかに燃え残ってるのに中に布が無い」


「布は燃え尽きちゃうんじゃ?」


「普通の布なら」


「そうか…魔法式の刻まれた布は元々燃え辛いのか」


「そう、それと、この店に使ってる、魔力の供給源はアレ」


ユフィが指差したのはミュリの甲冑オブジェだった。


「つまりこの店の商品は、必然的に燃え辛いものが多くて。それなのに、燃え残ったものが少ないという訳か」


「そう、それと。魔石は燃え残る」


「つまり…」


「この火災はおかしい…」


◇◆◇◆◇◆◇◆


次は2階を見たいとユフィが言ったのでユフィを抱えて2階へ飛び乗る。


「ここ、倉庫、開けて?」


「わかった」


鍵が解けているので空間収納アイテムボックスから刀を取り出し扉を真っ二つにする。


中に入ったユフィが一言「物がない」と言った。


「やっぱり…」


そして雛菊さんが亡くなっていた部屋に入るとユフィが呟いた。


「やっぱりって?」


「ん、遺体があった部分、あそこだけ燃え方、おかしい」


「確かに…」


ショックが大き過ぎて、よく見て無かったが確かにおかしい。


「それに…」


天井を見上げたユフィ、俺もそれにつられて見上げる。


「……っ!」


「やっぱり」


血痕が天井に飛び散っていたのだ。


「こうなると、死体も見たい」


「おっ…おう…」


そのままユフィを抱え詰所へ向かった。


「おや、ユフィリール様に勇者様…どうなされました?」


「ヒナギクの遺体に、会いに来た」


いつの間にか手に花束を抱えてるんだけど…


「わかりました、どうぞ…」


衛兵さんに付いて行くと簡易の安置所があった。


「では…私は、外しますので、お帰りの際は入り口の衛兵に声を掛けて下さい」


「ん」


「ありがとうございます」


「では、ごゆっくり」


そそくさと衛兵の方は出て行った。


「ユウキ、この遺体どう思う?」


「どうって…」


表面上はわからない、ただ大きさは雛菊さんに酷似している…


「そうか、忘れてた…鑑定」


---------------------------------

名前:エクヘナ 性別:女 年齢:9

状態:死亡(死因は失血死)

備考:南部より避難途中、盗賊団により捕まる。両親は既に死亡。殺された後に遺体を焼かれる。

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「うっ……」


結果を見て吐き気がして胃から。


「ユウキ、どうした?」


「今鑑定を使ったんだ…この子は、雛菊さんじゃない…」


「そう…やっぱり。それとユウキ、鑑定使えたんだ」


「今は良いでしょ…」


マイペースだなぁ…まあ、それより今は確定した事がある。


「ユフィ」


「うん、わかった」


「え?」


「ユウキ、今滅茶苦茶怒ってる。そして私も……潰す」


「じゃあ、動こうか…」


◇◆◇◆◇◆◇◆

それから、俺は帰りがけに衛兵の休憩所で鑑定した結果、3人が引っかかった。


---------------------------------

名前:ザヴロ 性別:男 年齢:35

状態:緊張 ジョブ:盗賊

備考:衛兵に潜入してる盗賊団一味の1人、仲間を逃がした後合流予定。

---------------------------------


---------------------------------

名前:アデルク 性別:男 年齢:18

状態:高揚 ジョブ:盗賊

備考:盗賊団の新人、衛兵に潜入中。

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---------------------------------

名前:ヴァンノ 性別:男 年齢:24

状態:平静 ジョブ:処刑人

備考:殺しの達人、暗殺者、盗賊団一味の1人、アデルク・ザヴロを処分する予定。

---------------------------------


それから詰所を出た俺は、ユフィを抱え、屋根伝いに跳びながら、役所に向かっている。


「うわーまじか…」


「どうだった?」


「3人居た」


「絶対、まだ居る」


「ん」


「とりあえず、役所なら鑑定使える人居るんだよね?」


「ん、町長が使える」


「じゃあ急ごうか!」


そうして俺達は役場へ到着した。


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