第15話:その、魔法鎧って何ですか?
とんでもハプニングでミュリの魔法鎧が弾け飛び静まり返る裏庭。
そして全裸で固まったミュリの元に、ユフィがふよふよと浮きながら寄ってきた。
「とりあえず、着て…」
自分のローブを脱いでミュリに掛けるユフィ丈は足りないので下半身は丸出しだけど、つかユフィよ面倒だからってローブの下がノーブラタンクトップとパンツなのは如何なものかと…
そんなユフィに大き目なTシャツを取り出し被せる。
小さいユフィなら股下まで隠れるだろう。
「ん、ありがと」
「とりあえずミュリは皆に任せるよ」
「わかった………ユキなら、服とか知ってるから呼んどいて………」
リビングに入りメアリーと共に居たユキを呼ぶ。
「どうしましたユウキ様?」
呼んだはいいがなんて話そう…
「あーユフィの魔法が失敗して、ミュリの服がダメになったから、ミュリの服を用意してほしいんだ」
「わかりました!準備してまいります!」
タッタッタとユキはミュリの部屋へ行った。
入れ替わりで神楽坂さんが入って来た、どうやらシャワーを浴びていた様だ。
「えっと…上凪さん、何があったんです?」
「あぁ…実はね…」
神楽坂さんに説明をすると途端に不安気な表情をする。
「私の魔法鎧もそうなっちゃうんですかね…」
「いや、今回の魔法鎧はユフィとの合作で、多分通常の魔法鎧の機能に魔力蓄積用の人工魔石を装着して一時的に能力を底上げする様に作ったんだと思う」
「ぱちぱちーユウキ、大正解」
推察したことを言うといつの間にか背後に居たユフィがひょっこり顔を出す。
「でも、正確には。魔力蓄積型じゃなくて周囲の魔力を取り込んで、形状変化させるもの。その過程で改良した魔力蓄積用の魔石は使ってる、今回はそれの許容量が限界だった…でも、大体あってるから正解」
「そうか…つまり周囲の魔力を吸い過ぎて、魔法鎧を維持する魔法の形が崩れたのか」
「そう、書き込んだ魔法式と、注がれた魔力そのもの兼ね合いが悪すぎた」
「あのー、聞いても良いですか?」
「何?神楽坂さん?」
「何?リンカ?」
「その、魔法鎧って何ですか?」
そうだ、ミュリが説明してると思って、詳しく説明してなかった…
「まぁ俺が説明するより魔道具専門のユフィのが詳しく説明できそうだし、任せた」
「わかった、簡単に説明すると、文字通り魔力を使った鎧。形は全身を覆うのから急所防御のみまである。」
「そうなんですね、でも今回の事故って従来のとは違うんですか?」
「うん、従来の魔法鎧は魔石を使って服や普通の鎧に刻んだ魔法式を発動させて発動をさせる、つまり…なんだっけユウキの世界のアレ」
「乾電池だよユフィ」
「そうそれ、乾電池だから交換しないといけなかったそれが【従来型】、それを私が従来の魔石から使用者が一定まで先に魔力を溜めれる【魔力補充型魔石】という魔石を創りだした」
「まさか異世界に来て早々にユフィに誘拐されるとはね…」
「あの時は私の研究も行き詰ってた、異世界の知識がほしかった、それで早まった」
来て3日目に起きたらユフィの研究室に拉致されてたんだもんなぁ…同じ城の中だったから見つからなかったってのも大きかった。
「それで話を戻す。私がユウキの知識で得た【魔力補充型魔石】を使い、魔法鎧の使用者が垂れ流しにしてる魔力を勝手に吸収していくように改良したのが【魔力蓄積型魔石】」
「そうだったんですね、もしかしてユフィさんって相当凄い人なんですか?」
「うん、この家の殆どの家電…とゆうか魔力で動てるから魔電って言う方が正しいんだけど…まぁそれをユフィが作ったんだ」
「そう、今まで使いづらかった魔道具がユウキのお陰で大躍進した、ユウキは革命児」
「まぁ、代わりの異世界人でも同じ発想は出てきただろうけどね」
「でもユウキが来たからユウキのお陰」
「そうですね、ユウキさんだからこそだと思います!」
二人して褒められるとすごく恥ずかしい…しかも好意を向けられてる相手だから余計にだ…
「それでユウキのお陰で出来た【魔力蓄積型魔石】に改良を加えて、周囲の魔力も勝手に吸収して補充できるのが【ユフィリール式魔力蓄積魔石】」
「ユフィの名前がついてるんだ新しいやつ…」
「ん、まぁ私はユウキと違って気にしないから」
「何かあったんですか?」
ヤメテ!ユフィサン!ヤメテ!
「元々【魔力蓄積型魔石】の名前は【ユウキ式魔石】だった、でもユウキが嫌がったから、名前を考えてもらった」
「そうだったんですね…」
「それで、その【ユフィリール式魔力蓄積魔石】通称【吸積魔石】を使ったのが新作の魔法鎧」
「おい、ユフィの魔石も通称あるんじゃないか…」
「ん、だって名前が長いんだもん、論文書くのに面倒」
「そうですか…」
まぁいいか。
「それで、結局どうしてだめだったんですか?さっき魔法式とか言ってたけど…それが関係してるんですか?」
「ん、正解。先にも説明したけど、魔法鎧は魔法式を編み込んだ服や刻み込んだ鎧を使う、その魔法式は防御と消費魔力を安定させる、魔力の形状維持のが入る。形状維持と消費魔力の魔法式を一時的に狂わせてあの大きな形に出来る、でも普通はあの半分が安定して使う限界の大きさ」
「つまりそれをオーバーしてしまったから、壊れたって事ですか?」
「それもあるけど、原因はユウキの魔力が大きすぎた事。あれだけ大きくした形の魔力を大量に魔力消費を行ってる【吸積魔石】に当てたら魔石の吸う力と魔法式が干渉して、壊れる」
「そうだったんですね…」
「ミュリには口を酸っぱくして言った、悪いのは忘れていたミュリ、ユウキは気にしない」
普段表情をあまり変化させないユフィが微笑む、心臓に悪い。
「今度作る、リンカの魔法鎧にも同じものつけるけど、忘れなければ大丈夫」
ビシッっと効果音が鳴るような勢いで親指を立てるユフィ。
「全く安心できないですよぉ~」




