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第10話:メアリーに108本の祝福を。

可愛くなったメアリーと電車を乗り継いで30分、二人でお台場まで来た。


「優希さン、ここは家とは違う方向ですヨ?」


「いやーせっかくメアリーがおめかししてるのにすぐ帰るのも馬鹿らしいなぁ…って」


「えっト…それっテ…」


「まぁ…メアリーとデートしたいなって思ったんだよ」


「優希さン…」


見つめ合っているとメアリーのお腹だろう「くぅ~~(自主規制)」と音を立てた。


「そうしたら…先ずは食事にするか…」


「せっかくのムードヲ!どうしテ!ぶち壊すんですカ!そのまま無視で良いんですヨ!!」


「いやほら、今日の朝まで病院だったし……お腹空いてるかなって」


「すいてますけド!滅茶苦茶すいてますけどおおおおおお!」


メアリーの叫び声で周りの人達の視線が集まる。


「ほら、とりあえず視線集まっちゃってるし。ご飯行こうか」


「はいィ~(ぐすっ」


恥ずかしさや周りの視線で少し錯乱気味のメアリーを左手にひっつけながらフードコートへ向かった。


◇◆◇◆◇◆◇◆

「いやさ、メアリー。お腹空いてるでしょとは言ったけど…それは多すぎない?」


「五月蠅いでス!どうせ私ハ、ムードもへったくれも無い女ですヨ!」


「そこでそんな言い回し覚えたんだよ…」


「冬華さんの持ってる少女マンガでス」


「あぁ…そう言えば最近人気の奴だっけ?」


「そうでス、今度実写映画をやるみたいですけド」


「へぇ…皆で観に行くか…」


そう、ポテトをつまみながら言うとメアリーは呆れた様な目でこっちを見てくる。


「そこで誰か一人となんて言わないのガ、優希さんらしいですネ」


「うーん…不味いかな?」


「不味くは無いでしょうガ。出来ればその映画見る時ハ、冬華さんと一番に見に行ってあげて下さイ」


「いいの?」


「皆さんと話してた時は満場一致デ、先に見るべきとなりましタ」


「そうなんだ…メアリーが一緒にそんな話してるの意外だね」


「私も一応、普通の女性ですヨ…」


俺の知ってる普通の女性はフードコートでポンド肉を、わんこそばみたいに食べないよ…


「何ですカ?」


「ほら、メアリーほっぺたについてる」


紙ナプキンを取って、顎を抑えてメアリーの頬を拭う。


「優希さン…不意打ちは狡いでス…」


「いや、拭っただけじゃん…」


そしてメアリーがおとなしく食べ始めた。


「とりあえず食べたら、腹ごなしに遊ぶか」


更に積み上がるお皿を見ながら今後の予定を考えながら。


◇◆◇◆◇◆◇◆

それからボウリングや室内サバゲーで遊んでいたら夕方になった。


「そろそろ、時間だよな…」


「どうしたんですカ?」


「あっ、あそこかな?」


予約していたお店に向かう。


「いらっしゃいませ」


「すみません、予約していた上凪ですが…」


「はい、ご予約ありがとうございます」


「すみません、朝いきなり無理な注文を…」


「いえいえ、プロポーズ記念という事で、私共もお祝いできて光栄です、ではコチラに」


「メアリーは船大丈夫だよね?」


「はイ、大丈夫ですガ」


「なら…はい、手を取って」


メアリーの手を取りお姫様抱っこで船に乗る


「それでは出発致します」


掛け声と共に離岸する、貸し切りクルージングの始まりだ。


「優希さン、どうしてクルージングヲ?」


「あーあはは…朝にメアリーからプロポーズされたじゃん。耀に話したらメアリーを楽しませてこいって言われたんだよ」


「耀さン…後でお礼を言わないとですネ」


「それで、なんかいいとこ無いかなーって探してたら、ディナークルージングっての見つけてね。朝に無理言って貸し切りの準備をしてもらったんだ」


「そうだったんですカ…」


「まぁ…ディナーと言うには時間が時間だけどね!」


「でモ、嬉しいでス…」


「喜んでくれて良かったよ」


並んで夕暮れに染まるレインボーブリッジを見ていると、係の方がやって来た。


「お客様、こちらをどうぞ」


話の切れたタイミングで、係の方が持ってきてくれたのは淡いピンクの薔薇108本、花屋さんに相談したら「絶対この本数だ!」と言われた本数だ。


「メアリー」


「はっ、はイ!」


緊張してきた……よく見るとメアリーも緊張した顔してる。


「この色の薔薇の意味は『祝福』、それに本数の意味は『永遠とわ』って言うみたい合わせると永遠の祝福って意味になるんだ。まぁ実はもう一つ意味があって…メアリーにとってはこっちのが分かりやすいよね『Marry me(結婚してください)』」


「それっテ…私で良いんですカ?」


「むしろ、俺で良いのかなーって思うんだけど…」


「言ったじゃないですカ…優希さんじゃないとダメだっテ」


メアリーが涙をぬぐい、こちらをしっかり見つめる。


「私を絶望から救ってくれタ、私を諦めから救ってくれタ、私を幸せにしてくれタ、そんな貴方だから良いんですヨ。いや、貴方じゃなきゃ駄目なんでス!」


「そっか…じゃあよろしくお願いします」


「はイ!どんな世界の果てでモ、貴方と共ニ!」


少し揺れる船の上、バランスを崩さないようにメアリーを支えそのまま口付けをする。


偶然通りかかった夕方クルージングをしている船上から様々なお祝いの言葉と拍手が降って来た。


それに二人で手を振り返す、メアリに耳を寄せ「少し恥ずかしいね」と言うと「私は大丈夫でス。だって今、最っ高に幸せですかラ」と今まで一番の笑顔をした。



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