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第6話:ただいま③

姫華さんに鷲司さんがテイクアウトされ、それを見送ると入れ替わりで巴ちゃんと綿貫さんが帰宅してきた。


エレベーターを降りた瞬間巴ちゃんとしっかり目が合う。


「お帰り巴ちゃん」


そう言うと巴ちゃんは手に持っていた荷物がバサバサと音を立てて落ち、初めて見る速度で抱き付いてくる。


「優希さん!!」


「おっと…」


「うぅ…ぐすっ…よかったぁ…よかったぁ…」


「心配かけてごめんね」


背中をさすりながらゆったりと声を掛ける。


「わだじ…みんなが大丈夫、生ぎでるっていっでも…心配で!」


「そうだよね」


「指輪が、優希さんと繋がってるけど…本当に不安で!」


それから泣き続ける巴ちゃんを部屋に連れて行き撫でているといつの間にか巴ちゃんは泣き疲れてしまった。


「優希さんが帰ってこないけど頑張らなきゃって、ずっと言ってましたからね…」


慈しむような声で綿貫さんが最近の巴ちゃんの事を説明してくれた。


最近では厳徳さんに習いながら会社の経営や動かし方を学んでるらしい。


「そうだね、優希おにーちゃんが居なくなった日から凄い頑張ってたよ」


「優希おにーさんに足りない政治力を補うんだってって息巻いてましたね…」


「そっか…頑張ってたんだね…」


膝に乗せて寝ている巴ちゃんの頭を撫でると巴ちゃんが嬉しそうな顔になる。


「まったく、皆が巴ちゃんの働き過ぎを心配してたら一発でこの通りよ…あいされてるねぇ~うりうり」


隣に座る耀に肘をぐりぐりされる、痛くは無いけどくすぐったい。


「あ~耀おねーちゃんずっるーい私もやる~」


ささやかな柔らかさが後頭部に伝わる。


「わ、私も…どこにしよう…」


もう引っ付ける場所が無いので、出遅れた春華がおろおろしている。


「春華ちゃん変わるわよ、私もう寝る準備してくるし」


そう言って耀が隣を開けると交代で春華が入って来て腕に抱き付く、その割に真っ赤になっているのが可愛い。


「優希さん少し、お嬢様を見ていて下さい。私、今からお部屋の準備をしてきますので」


そう言って綿貫さんが2階に上がる、我が家の。


実は俺の家と巴ちゃんの家、実は2階部分が繋がっているので行き来が出来るようになっている。


もう一つの家(皆で集合する共用部屋)とは繋がってないので食事などをする場合は一々部屋を出ないといけないけどね。


「それじゃあ、二人共。綿貫さんの準備が終わったら終わりだぞー」


「はーい」「おにーちゃんのけちー」


「はいはい。どうせ冬華は、後で布団に潜りこんでくるんだから文句言わないの」


「あはは…ばれたか…」


せめて潜り込むくらいなら、春華みたいに堂々と寝る前に来なさい。


「でもおにーちゃん、凄くイケメン度が増したね…」


「私も思いました、腕もいい感じに筋肉がついてて、腹筋も凄い…」


隣に座った春華がぺたぺた触ってくる、くすぐったいのだが。


「それに匂いも…すぅーーーーーー」


首筋顔を埋めた冬華によって物凄く吸われる、まだお風呂入ってないから臭うんだよな…


「冬華…まだお風呂入ってないから…」


「いやいや(すぅーー)…この匂いが(すぅーー)。癖になるんですよね春華さん」


「そうですぅーね…冬華さん(すぅーー)。はぁーーーーー」


もう春華に至っては会話<匂いを嗅ぐになっている。


それからたっぷり10分色んなとこを嗅ぎ回った二人は「それじゃあ私達、お風呂に行ってきます」と言って2階から向こうの家に戻って行った。


「それで、巴さんや…いつまで寝たふりしてるんですか?」


先程から目が覚めたのか寝たふりをしている巴ちゃんに問いかけると体がビクンと動いた。


「まぁ…いいか、俺はお風呂に行くけどどうする?」


「わ…私も行きます、わわっ」


巴ちゃんの言葉を聞いた後に立ち上がり、お姫様抱っこで巴ちゃんとお風呂へ向かう。


「へ?へ?えぇ!?」


よくわかってない巴ちゃんを抱え脱衣所へ入っていく。


今日のお風呂は長引きそうだな…



◇◆◇◆◇◆◇◆

入浴後、すっかりばててしまった巴ちゃんを部屋に連れて行き、綿貫さんにいじられた後、ベッドに寝かせてから自室に戻ると耀達が待っていた。


「それで、耀達はなぜここにいるんですか…」


「まったく…一番乗りを巴ちゃんに取られるなんて…」


「予想外でした…」


「完全な伏兵だったね…」


最早俺の言葉を聞いてない…どうしたもんか…


「とりあえず優希!」


はい、優希です。


「優希おにーちゃん覚悟してね!」


はい、優希です。


「優希おにーさん!」


はい、優希で…春華ちゃんその下着はアウトでしょ!


なんか透けてるし!なんかいろいろ見えてるし!


「あーおにーさんガン見してるー♪」


あーあ…冬華も色違いだよ……


「いや、春華の方が攻撃力高いな…」


「なんでや!」


「いや、ほら…冬華なら着るなって想像出来ちゃったから?」


「くっ…確かに提案したのは私からだけど…なんか悔しい…」


「大丈夫似合ってるよ!冬華ちゃん!」


「大丈夫よ冬華ちゃん、私なんて初めての時下着褒められて無いから!」


「あの時はテンパってたので…すみません…」


「それで…どう?」


「ベビードールの下に着てるの…リボン?」


「なんかかわいいなーって思ったヤツ、前がリボン風で後ろが紐なの」


くるりと回る耀、うん最高。


「最高!」


「よっしゃ!」


「ねぇねぇ私達は?」




◇◆◇◆◇◆◇◆

「うーん…朝か…」


昨晩、両手合わせでベッドの上に膝立ちになってる春華と冬華見てから記憶が無い…


寝ている三人を起こさない様にベッドから降りてシャワーを浴びる。


「そういや…向こうに顔出してこないと…」


そう思い転移しようとして気が付いた…


「指輪が無いから、エアリス達の魔力がわからないじゃん…」


シャワー浴びたのに冷汗が噴き出してきた。


「やべえ…どうしよう…」

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