第1話:ちょ…神様ぁぁぁ!
「知らない天井だ…」
目が覚めると知らない天井だった。
ガッシャーン
音の方向をみると懐かしい顔がそこにあった。
「ユキ?」
「あぁ…あぁ…あぁぁぁ!!」
「ぐえっ」
唐突に現れたユキに突進される。
「ユウキ様ユウキ様ユウキさまぁ〜!!!」
「!?!?!?!?」
「ユキだよな?」
「はい!ユキです!」
「ちょちょ!って事はここは!?」
「はい!リーベルンシュタイン城です!」
「え?ええええ!!!!!!!」
「神様!話が違う!何でここなの?」
虚空に叫ぶと空間が裂けて神様がひょっこり顔を出す。
「えっとね…まだ肉体が力に慣れて無くてね、神力の強い所で養生してもらいたくて送ったんだ、後でまた説明するけど…ユキちゃん、とりあえずエアリスちゃん呼んで来て?」
「わかりました!」
そう言うとユキは急いで部屋を出て行った。
「それで、神様。神力の強い場所はどこになるの?」
「この世界だとリューンの世界樹の湖か、ドクリンの神山の山頂だね、回復能力もある世界樹の湖が理想的かな…」
「わかった…とりあえず又皆が来たら話して…」
「そうそう、鈴香ちゃんだけど生きてるからね」
「そうなの?よかった…」
「優希君と同じく、魂の定着が進んで無いから世界樹の湖にも浸けとけば完全回復するよ~」
「わかった、じゃあそれも後で伝えないとな…」
そうこう話してる内にユキがエアリスと聖騎士を連れてきた。
「ユウキ様!よかった!生きていてくれた!」
再度同じ様にエアリスに抱き付かれる。
「久しぶり、エアリス」
手も動かせないけど。
「もう、会えないかと思って…でも諦めきれなくて…」
「あーあはは…ところでエアリスそんなに抱き付いてると、婚約者に良く思われないだろ?」
そう言って俺は背後に居る聖騎士を見る。
「へ?婚約者?何の事ですか?」
「え?だって…その後ろの…」
「まさかとは思いますがユウキ様、ちょっと貴女来なさい!」
そう言って聖騎士を引っ張って来るとその兜を取り外した
「ちょちょ姫様あああああ」
その声と共に現れた顔は良く見知った顔だった。
「ユミュリエルさん?」
そう、異世界に行ってからずっと俺の訓練の面倒を見てくれた人だ。
「まさか…ミュリ。貴方、ユウキ様の前で一度も喋らずにいたんですか?」
「そそそ、そんな事はありませぬぞぉ」
目が泳いでるなんてものじゃなく高速移動してる。
「嘘ね…まったく…」
ミュリが聖騎士だったのか…じゃあ俺の決意なんだったんだよ…
「まぁ優希君の異世界行は限定的な物だったからね」
「うん…まぁ考えるのはやめよう…」
「それでユウキ様、ここに居るという事は…あの女性と貴方がしていた大怪我との関係があるんですよね?」
「ここからは僕が説明するよ~」
「えっと…ユウキ様この方は?」
「神様」
「え?神様?」
「やっほーこの世界のと優希君の世界の神様」
「「「ええええええ!?」」」
それから神様が向こうの世界であった事を説明してくれた。
「とりあえずその男殺したいですわね」
「打ち首でしょう」
「牛裂きでもいいかと!」
「ともかく、俺と神楽坂さんをリューンに連れていって欲しいんだけど…」
「そうですね、殺せもしない相手に憤るのはやめましょう…ユフィが丁度城に居るので呼んできましょうか」
そう言った直後壁がぶち抜かれた。
「ユウキ!」
壁をぶち破ったユフィが抱きついてくる、あれ?離れた?
「誰お前、私の知ってるユウキと違う魔力」
「え?」
「ユウキの魔力もっと少なかったし、青臭かった」
「ちょっと待てユフィ!青臭いって何だ青臭いって!」
「童◯の臭い」
ユフィがそう言うと全員がぐるりとこちらを向いた。
「ユウキ様、どうゆう事か聞いてもいいでしょうか?」
「ユウキ様…つがいできた?」
「ユウキの童◯…クソっ…」
何で皆怒ってるの!?
「優希君って…たまに異常なくらい恋愛に鈍感だよね…」
そうして洗いざらい吐かされました。
「どうしましょう…ユウキ様をこのまま地下に監禁するしか…」
「私!お世話係やります!」
「じゃあ、私は警備を!」
「ん、魔法干渉不可の材質で作る」
「あのー君達、さっきも言ったけど、このままだと優希君の肉体と魂が乖離して死んじゃうよ?」
「それは、困りましたね…世界樹の湖にユウキ様の監禁部屋を作るしか!」
「どうしてこうなった…」
◇◆◇◆
それから3日、馬車に揺られリューンへ来た。
一応里長のユフィがてを上げると大きな門が開いた。
「ユフィリール、帰った」
「お帰り、ユフィリール。いらっしゃいませ、エアリス王女、グロウナイト卿、そして異邦のお客人」
「お久しぶりです、今はなんとお呼びすれば?」
「そうですなぁ…今迄里長とかしか呼ばれなかったからなぁ…」
「名前はないんですか?」
「何だったけなぁ…忘れたよ!なんせ5〜600年呼ばれてないからね!」
あっけらかんと答える里長…それでいいのか…
「仕方ないかぁ…まぁ里長って呼ばせてもらいます」
「そうしてよ、多分名前呼ばれてもわからないからさ」
そう言って里長は笑って行った。
「それじゃあ行きましょう」
「ん、行こ」
「私は、宿や食事等の手配をしてきます」
「それでさ、皆」
「はい?」
「ん?」
「何でしょうか?」
「何で俺、裸なの?」