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第50話:悪意の塊 ※残酷描写有り

◇第八階層—セーフエリア—◇

起きたら耀から冬華に変わっていた。


「冬華?おはよう…」


「う、うん!おはよー」


冬華の頭を撫でてありがとうと伝えると顔が真っ赤になった。


「よし、一眠りして元気になったし行こうか」


装備の確認をして準備を完了する。



◇第九階層◇

9階層は通路と広間の二つだけだ。


「探知…この階層には居ないみたいだ」


最前線に来ていた鳳さんに伝えると、この先の広間まで行ってから先程の部屋を調べに行くらしい。


そして、広間に入った途端違和感に襲われた。



「探知……敵が来る!気をつけてください!!!」


全員が広間に入った直後下の階層に繋がる階段から大量にモンスターが現れた。


「クソ!前からこんなにモンスターが!」


前衛に居た精鋭と言われる探索者が愚痴る。


しかも様子がおかしい、何かから逃げている?いや錯乱してる?まさか…これは…


「優希、何かおかしい…モンスターの動きがいつもよりあやふやなの」


大量にモンスターが出てくる、しかも錯乱状態……魔物暴走スタンピードだ。


異世界で一度会った現象だがその時は数万のモンスターの大群が攻めてきたのを思い出す、被害も凄くて道中の小さな村は壊滅、砦で防衛線をし、兵器を使い、昼夜問わず大魔法を撃ち込み、水攻め、火攻め、兵糧攻めをして数を減らし、最後は他国からの援軍と共に数でやっと圧し潰して勝てたくらいだ。


「これは撤退しないと不味い…」


振り返り撤退を指示しようとした瞬間、爆音と共に天井が崩落して中衛に居た探索者達の元へ大量のモンスターが落ちてきた。


「何だ!この数は!」


「ありえない!こんなにたくさんのモンスターが!」


「助け、助けてk……」


「いやああああああああ」


阿鼻叫喚の地獄絵図が突然に生まれた、崩落した一部の天井から大量のモンスターが落下してきたのだ、それに巻き込まれた人数名が即死、重傷を負ってしまった。



更にはモンスターの波に飲まれた探索者が数名居た。


「春華!前線の抑えを!冬華は抜けそうな敵の排除を!」


「任せて下さい!」


「了解!」


「回復します!援護して!」


周囲の探索者に落下してきたモンスターを排除して、生きている人のみ回復する。


「ありがとう」


「たすかった…」


「死ぬかと思った…」


「じゃあ前線に戻ります!生きてる人は死んじゃった人の遺品を回収しおいてください。撤退をしますので」


「あぁ…わかった…」


前線に戻り春華の援護に回る。


「春華、状況は?」


「あそこの穴と、下の階層に続く階段からどんどん湧いてきます」


「冬華!あそこのモンスターが沸く穴の上、どうにか崩せないか?」


「やってみる!」


冬華の放った攻撃は穴の上部を崩し多くのモンスターを下敷きにした。


「良くやった!ナイスだ冬華!」


「へへーん!もっと褒めていいのよ!」


「よーし、えらいぞー」


冬華を撫でまわしながら褒める、そんな事をしていると敵を殲滅していた耀が戻ってくる。


「優希、そろそろここで守るのも限界になりそう、崩落も怖くて大きい技使え無いし」


「わかった、とりあえず鳳さんがリーダーだし聞いてみるよ」


「お願い」


そう言って耀は戻り魔法をぶっぱなし始めた。


耀との話が終わった直後、鳳さんが寄ってきた。


「優希さん。この状況どうなさいますか?撤退した方が良いと思うのですが…」


「同じく、俺も撤退した方が良いと思う、この事態だし耀も俺も広くないと本気で戦えない…崩落も怖いし」


「そうですね」


「では伝えてまいります」


「撤退します!耀さんと春華さん、冬華さん、それと神楽坂さん以外の神楽組で退路を確保してください!」


「わかったわ…優希死なないでね…」


駆け寄ってきた耀にキスをされる。


「大丈夫、他の皆を頼んだよ」


「他の探索者で残る方は優希さんの元へ、それ以外の方は皆と共にその後に続いてください」


そう号令がかかると春華がやってきた


「優希さん!あの…」


「帰ったらご褒美だな…」


そう言って頭を撫でる。


「冬華も一緒にですよ!」


そう言って皆は集まり来た道を戻って行った。


「じゃあ後は…俺達だけだ」


その30分後撤退するために俺と残ってくれた数名の探索者が撤退を開始する。


「我が魔力よ!巨塊となりし岩石よ愚か者に死の裁きを!————ブレイクダウン!」


空中に創りだした複数の大きな岩を砕き叩きつける、様々なモンスターの悲鳴が響き土煙が上がる。


「さあ、皆!脱出を!」


そう振り返ると神楽坂さんが目の前に居た。


その直後、崩落音と共に俺の体と神楽坂さんの体は貫かれた。




◇久墨side◇

「ははは、やってやった!やってやったぞ!あの目障りなゴミ野郎を殺してやった!あの魔物の数だ、俺が手を下すまでも無い!」


崩落したダンジョンの階段を横目に俺は走り出す。


「これで里菜も耀も俺の物だ!」


本当に優希ゴミが俺の所有物に口付けした時はその場で殺したくなったが、良く抑えたもんだww


後で俺で上書きしないとなぁ…思い出すだけで虫唾が走る!


あぁそういえば…目障りなガキ三匹も居たなぁ…有象無象の女共と同じく、ちょっと


優しくすれば股開くか!いやぁ楽しみだなぁ…


まぁ、神楽坂が手に入らなかったのは予定外だったな…まぁいいか。


これからの事を考えるとニヤけが止まらない。


逃走ルートに居るゴブリンやコボルトを仕留めつつ出口へ向う。


ダンジョンの外に出て倒れ込む、息を切らしていると里菜達が駆け寄ってくる。


「優希は?優希はどこ?」


「久墨さん神楽坂さんは?」


「ゴメン耀、里菜。上凪と鈴香はモンスターの波にのまれて…」


「そんな…」


その言葉に耀は崩れ落ち嘆く。


(あーあ心配しなくていいよ俺が慰めてあげるからw)


「耀…泣いてる暇は無いよ、スタンピードが来る!皆さぁ立ち上がれ!」


その声に俯いていた耀達や神楽組が立ち上がる。


いやー俺ってマジ天才役者!これなら主演男優賞も貰えるんじゃね!?


各々武器を構えダンジョン入り口へ向き直る。


だが、それから一時間、待てども待てどもスタンピードは来なかった…


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