第49話:ダンジョンの異変②
綴さん話では今回のダンジョンは全10階層でモンスターハウス等は無し、9階層までは探索されていて地図もある。
「前回の探索では9階層までモンスターが出ないとの事だったので。今回は9階層まで一気に動いてもらいます」
綴さんの説明に探索者が手を上げる。
「道中モンスターが出た場合は?」
「倒してしまって構いません、ただその場合カメラを渡すので写真を撮ってください、何階層で何が出たか報告をして欲しいので」
「わかりました」
更に他の探索者が手を上げる。
「4階層に入った所、9階層へ入る手前にセーフエリアがあったはずだがそこで休息は?」
「そこはこれから説明します、今回はセーフエリアでの休息エリアを作っていただきます、夏風さんがサポーターなので今回は荷物の運搬をお願いします、もう一人くらい補助が欲しいですね」
「それでしたら私が、同じ女性ですし力もそれなりにあるので」
「ではお願いします」
「前衛は上凪君のパーティー、君たちにお願いするわ。中衛はその他の探索者に、殿は神楽組の子達にお願いします」
「「「「了解しました」」」」
「後は…リーダーは鳳さんにお願いします」
「はい、わかりました、では1時間後に集合して調査開始としますご協力をお願いします」
鳳さんの言葉に各々解散する。
◇◆◇◆◇◆◇◆
1時間後から合流した探索者含め全56人が今回の調査の為に集められた人員だ。
「では優希さんお願いしますね」
「はい、任せて下さい」
「優希さん!頑張って下さい!」
「ありがとう巴ちゃん、入り口の確保と後方支援は任せたよ」
「はい!」
◇第一階層◇
ダンジョンに入り探知魔法をかけると本当にモンスターの魔力を感じない。
「どう、優希?」
「うん、報告通りモンスターの影はいないね…」
そのまま不気味なくらい静かな階層を下っていく。
◇第四階層◇
一~三階層同様、探知魔法を使い周囲をチェックする。
「ここも敵は無し…」
「凄く不気味だね…ここまで敵と出会わないと…」
「そうだね、とりあえずセーフエリアに入るし、皆には警戒してもらおうか…」
「わかりました、後ろの人達にも伝えてきます!」
「おにーちゃん、これは」
恐らく以前にここに探索に来た人たちのものだろう、墨になった薪や使用済みの竈の跡が残っている。
「多分前回来た探索者の人達のかな?」
「結構汚いんだね…」
「そうだね…ちょっと掃除しようか…」
◇◆◇◆◇◆◇◆
◇第四階層—セーフエリア—◇
汚かったセーフエリアの掃除をしていると後続の皆が来た、そこは日本人なのか掃除をしていると手伝ってくれる人がちらほらいた。
(あそこの人達が外国の人かな…とりあえず注意は促しておくか…)
掃除が終わり皆に支給品のスープや簡単な食事がふるまわれた。
「皆集まって」
食事中の皆を呼び寄せる。
「無いとは思うけど、情報を共有しておくね、綴さんからは他国の工作員の人が入り込んでいるみたい、掃除のときや食事の際に態度が悪かった人も居るしそこら辺は気を付けて」
「わかったわ」
「わかりました」
「わかったよー」
◇◆◇◆◇◆◇◆
◇工作員side◇
「チッ、進みが遅いな…」
「言うな、日本人は几帳面だからね、焦れたら負けだ」
「全く、この国は住み心地は良いが面倒事が多いな…」
「そうだな、まぁ国に帰れば贅沢三昧出来るんだ我慢しとけ」
「まぁなんにしてもさっさと国に帰りたいぜ…」
「それはそうと、手引きした奴との接触は?」
「済ませたよ、例の物を渡して無いから問題ない、早く寄こせとうるさいがな…」
「仕方ねえ、坊ちゃんだもんな」
「ちげえねえ…」
◇◆◇◆◇◆◇◆
◇第七階層◇
「ここまで敵は無しか…」
久しぶりに探知に引っかかり出会ったコボルト2体を倒して刀を収める、中級ダンジョンでこれは異常だ、中層以下で出会うのが何の変哲もないコボルトなのが余計に気持ち悪い。
「とりあえず、写真撮っちゃうねー今が七階層だから…はい出来た」
冬華が写真と情報を綴さんに送ってくれた。
「とりあえず…探知…」
さらに広げて探知魔法を使うが全然引っかからない。
「この階層にはもう居ないみたい…先に行こう…」
◇第八階層◇
「探知……居るには居るんだけど。一か所に集まってる、でも数体だなこれ…」
地図と照らし合わせると八階層からはいけない場所の一部に集まっている。
「鳳さんと作戦会議をしよう…」
「呼んで来るね」
「お願い~」
程なくして鳳さんが来たのでモンスターが溜まっている場所等の照らし合せをした結果そこに向かう為に一度、九階層は降りてから確認しに行くという事になった。
「ともかく、セーフエリアへ行きましょう。そこで休息を取ってから九階層へ行き、そこに行きましょう」
「わかりました、じゃあ先行します」
◇第八階層—セーフエリア—◇
やはり緊張しているからか皆の疲れが目に見えているかぁ…
「ここで2時間程休憩を取ります!各々休んでください!」
鳳さんの声に次々に皆が腰を下ろし休み始める。
「優希、お疲れ様…」
「耀、ありがとう」
「今は休んでて…」
「うん、少し休むわ…」
目を瞑ると気が張ってたのか眠りに落ちた。
周りの探索者達(((((羨ましいなチクショウ!!!)))))