第45話:神楽坂さんとパーティメンバー②
色々と衝撃事実が出てきたけど、話は進んで行く。
「まぁ、とにかく、あの事件で上凪さんが注目された事で、華々しくデビューするはずだった私達は見送りにされたの」
「………」
「まぁ気にしないで、あのモンスター相手じゃ私達全滅してただろうし…その面では助かったわ」
「でもなぁ…力になりたいけど、うーんなんかいいアイディアないかなぁ…」
「ねえ、ならいっそ勝手にデビューしちゃえば?」
「いやいや、耀だめでしょ…」
「それでダンジョン部分は優希監修にしちゃえば良いのよ」
「んな、むりやりな…」
「それ…良いわね…」
「神楽坂さん!?」
「ただ、私がデビューするんじゃない…上凪さん貴方よ」
「ふぇ?」
「だから、あ・な・たがデビューするの!」
「えええええええええええ!?」
◇◆◇◆◇◆◇◆
「えっと…つまり、配信者として事務所を作って、そこに俺達と神楽坂さん達を在籍させてタレントとして活動するって事?」
「そうね、社長は貴方が務めて私達は配信者としてデビュー、【英雄】上凪優希の弟子として私達は配信者としてデビューする」
「でもそんな簡単にいくかなぁ…」
「失敗しても、私達は貴方の弟子として名を上げる事が出来るわ」
「まぁ、それが他のパーティーメンバーが納得すればね」
「私は良いわよ」
「ウチもオッケー」
「私もだいじょうぶですぅ」
「歌?歌える?」
「頑張り次第ね」
「…………(コクリ)」
「良し、じゃあ決まりね。どの道デビューは遅れるし、上凪さんに鍛えてもらえばいいわね」
「うーんそれ位なら…いいけど…デビューはなぁ…」
「それじゃあ上凪さん。貴方、権力者との知り合い居ないかしら?」
「え?」
「だから、権力者よ出来れば財界の人がいいわ」
「いるけど…なんで?」
「一つは力と知恵を借りたいのよ、私達だけじゃ無理があるからね。もう一つは財界の人なら出資してもらいたいのよ、一応、株式会社という形にするし」
「そうゆう事か…まぁOKしてくれるかわからないけど紹介はしても良いよ」
「ありがとう、じゃあ行きましょう!」
「え?今から?」
「そうね、明日から学校だし話を早く進めたいしね」
◇◆◇◆◇◆◇◆
「それで、ワシの所に来たって事か…」
「初めまして、柊厳徳さん。私、神楽坂鈴香とお申します」
「おう、そこの小僧の知り合いにしては中々は商売人の顔をしておる」
「はわわわ…」
アポが取れなかったので翌日になったが神楽坂さんに連れられ厳徳さんの会社へ来ていた。
そして今俺の目の前には厳徳さん、隣には巴ちゃんと神楽坂さん、後ろにメアリーが暇そうにしている。
「のう優希よ、お主は次々問題を持ってくる悪癖は、どうにかならんのか?」
「悪癖ってひどくないですか?」
「だってお主、一昨日警察に行っておったじゃろ」
「げっ、何でそれを…」
「連絡が来たんじゃよ…あそこの署長は知り合いでな」
「知り合いって…なにしたんですか…」
「いやいや、あの署長の両親の結婚の仲人をしたんじゃい、それで幼き頃から知っとるだけじゃい」
「電話来たときは、マジビビったわ。なんじゃ左手を保管してるって…」
「優希さん、一体何があったんですか?左手って…ついてますよね?」
「そ奴、一昨日面倒な野郎に絡まれてのう。左手を囮にして相手をぶん殴ったらしいんじゃ」
「流石にアレは胆が冷えました…」
「ん?なんじゃそこの娘っ子は当事者かいのう」
「えぇ、優希さんに助けてもらいました」
「ほうほう」
「だから厳徳さんそのエロ爺みたいなニヤニヤはやめて下さい…」
「エロ爺ってひどいのう…」
「それで、厳徳さんさっき話した内容なんですが…」
「うーむ、残念じゃがその計画は叶いそうにないのう…」
「「え?」」
「ほれ」
厳徳さんがタブレットをフリスビーの様に投げてくる。
「うわっ…とと。タブレット投げないで下さいよ、びっくりするじゃないですか!」
「なぁに、お主なら余裕で取れるじゃろ」
「取れますけど…ビックリはするんですよ」
「まぁまぁ、とにかく見てみぃ」
タブレットを見ると、そこには厳徳さんの元に次々と情報が入って来ていた、そこに一つ目を疑う様な情報があった。
『神堂グループ、芸能事務所のKを買収するそうです』
との報告がそこにはあった。
「ちょっと待ってください!そんな情報どこにも…ましてやウチの両親も!」
「そりゃ家族といえど会社の一大事じゃ、おいそれと口には出せんしのう」
「…っ……くっ…」
「でもなんで厳徳さんわかったんですか?」
「そりゃ、各所に根を張っておるからな、情報の回収ならお手の物じゃ」
「どうにかする事はできないんですか?」
「正直難しいな、神楽坂の娘っ子の親で保有株が50%を超えていればじゃがのう…」
「保有株は両親と姉二人私含めて49%他の人が所有している株が51%事務所の始動時に分けたんです…」
「正直各々が売り渡してしまった以上向こうに乗っ取られるのが関の山、これはどうしようも出来ない事じゃ」
「そんな…」
「優希よそれが株式会社の摂理じゃ…」
「でも…何か手立てが…」
「そうさのぅ…各事業部門が独立経営をしているとかであれば道はあるんじゃが…」
「それは…聞いたこと無いです、恐らく、営業・音楽レーベル・テレビ局・広告代理・全部ビルは別ですが、会社としては一つです」
「なーに、簡単では無いが…いくらでもやりようはある」
そう厳徳さんはニヤリと笑った。